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23/04/22

資産運用・経済

超低コストのNASDAQ100ファンドが登場!米国株インデックス投資どうする?

超低コストのNASDAQ100ファンドが登場!米国株インデックス投資どうする?

米国株価指数のなかで人気が高いのが「S&P500」と「NASDAQ100(ナスダック100)」です。しかし、NASDAQ100に投資するインデックスファンドの信託報酬はこれまで年0.44%と、少々高めでした。そんな中、2023年3月末に設定された「ニッセイNASDAQ100インデックスファンド」が大幅に最安値を更新。投資家に嬉しいニュースです。

今回は、ニッセイNASDAQ100インデックスファンドの紹介、NASDAQ100とS&P500の特徴や違い、NASDAQ100インデックスファンドの比較、今後の米国インデックス投資戦略まで紹介します。

ニッセイNASDAQ100インデックスファンドの信託報酬は?

<購入・換金手数料なし>ニッセイNASDAQ100インデックスファンドは、2023年3月31日に設定された新しいファンドです。名前のとおり、米国の株式などに投資することで、NASDAQ100指数の動きに連動する投資成果を目指して運用される、インデックス型の投資信託です。購入・換金時の手数料は無料で、為替ヘッジは行いません。

注目したいのが、保有中にかかる信託報酬です。ニッセイNASDAQ100インデックスファンドの信託報酬は年率0.2035%。これまで、NASDAQ100に投資する投資信託でもっとも信託報酬が安いもので年0.44%ですので、かなり安いものが登場した、というわけです。

NASDAQ100が投資家に注目されるわけ

NASDAQ100が注目される理由は、パフォーマンスの良さにあります。

●主な指標の推移(2003年3月〜2023年2月)

※2003年3月を100として指数化
(株)Money&You作成

グラフはNASDAQ100とS&P500・TOPIX(東証株価指数)・MSCI ACWI(MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス)の4つの指数の20年の推移を比較したものです。
パフォーマンスの違いは一目瞭然で、NASDAQ100の黄色のグラフが飛び抜けて上昇していることがわかります。直近は多少下がっていますが、それでも大きく儲かっています。そのため、NASDAQ100が投資家に注目されているのです。

●NASDAQ100とS&P500のパフォーマンス

さらに、2007年12月末から2022年12月末までのNASDAQ100とS&P500のパフォーマンスを比較してみましょう。表では、
・Cumulative Return(累積リターン)
・Annualized Return(年率リターン)
・Annualized Volatility(年率リスク)
を比較しています。

累積リターンは、NASDAQ100がS&P500を凌駕しているのがわかります。年率のリターンも、S&P500の8.8%も本当はすごいのですが、NASDAQ100はそれをさらに4%も上回る12.8%になっています。
さらに、リスク調整後リターン(リスクに見合ったリターンが得られているかを表す指標)を算出したところ、NASDAQ100は0.56、S&P500は0.41となっていて、NASDAQ100がS&P500を上回っています。
直近のボラティリティが高まっている状況にもかかわらず、NASDAQ100のリターンは安定的にS&P500を上回っている、というわけです。

●S&P500とNASDAQ100の比較

(株)Money&You作成

S&P500とNASDAQ100の違いは表のとおりです。主な違いを確認しておきましょう。

【算出基準】
S&P500は、米国に本拠地を置き、時価総額が127億ドル以上あり、4四半期連続黒字を維持している企業のみで構成されています。
対するNASDAQ100はNASDAQに上場している企業で、金融業を除く時価総額上位100社で構成されています。NASDAQに上場していれば、米国企業でなくても対象になります。

【特徴】
S&P500は4四半期連続黒字維持が条件なので、安定成長している米国企業のみで構成されています。一方のNASDAQ100は、新興企業に見られる積極的な投資による赤字のある企業でも採用される可能性があります。イノベーションの種を早期に取り入れる期待ができます。

【米国株式市場カバー率・業種】
S&P500の米国市場カバー率は80%。幅広い業種に分散しています。それに対し、NASDAQ100の米国株式市場カバー率は35%と、S&P500よりも少なくなっています。NASDAQ100の業種は、情報技術系が中心になっています。

●NASDAQ100とS&P500の業種のウエイト

NASDAQのデータより(株)Money&You作成

NASDAQ100は一番上の「Technology」(情報技術)セクターの銘柄を55%も組み入れています。S&P500も情報技術セクターの銘柄を25%組み入れていて、このなかで一番割合が多いのですが、NASDAQ100ほどではありません。

一方、一番下の「Financial」(金融)セクターの銘柄をS&P500は11%組み入れていますが、NASDAQ100は0%と、まったく組み入れていません。金融市場が下落しても、その影響が少ないといえます。

同様に、NASDAQ100では石油・ガスセクターも少なく、エネルギー市場の混乱の影響も少なくて済みます。さらに、航空・旅行・レストランなどのポジションも少ないので、消費者の需要減によるマイナスも抑えられるでしょう。

このように、S&P500とNASDAQ100の投資先には差があります。ということは、S&P500とNASDAQ100を併用すると分散投資の効果があるということです。

SBI証券[旧イー・トレード証券]

NASDAQ100に投資できる代表的な投資信託・ETFは?

上で示した表にもありますが、ここで改めてNASDAQ100に投資できる代表的な投資信託・ETFを確認しておきましょう。

●NASDAQ100に投資する代表的な投資信託(信託報酬)

・eMAXIS NASDAQ100インデックスファンド(年0.44%)
・ニッセイNASDAQ100インデックス(年0.2035%)

●NASDAQ100に投資する代表的なETF(経費率)

・インベスコ・QQQ 信託シリーズ1(QQQ)(年0.2%)

今回紹介しているニッセイNASDAQ100インデックスファンドの信託報酬は年0.2035%と、ETFの「QQQ」とほぼ同じ水準になっています。NASDAQ100に投資する際に、手数料の面からQQQを選んでいた方もいると思いますが、今後はニッセイNASDAQ100インデックスでもいいのではないか、ということです。

●NASDAQ100インデックスファンド比較

(株)Money&You作成

日本で購入できる、手数料が低水準のNASDAQ100インデックスファンドを比較すると、ニッセイNASDAQ100インデックスファンドの信託報酬がダントツに安いことがわかります。同じ指数に連動するならば、コストが安いニッセイNASDAQ100インデックスファンドを選ぶのが合理的でしょう。

また、米国ETFの「QQQ」の経費率は0.2%ですが、積立投資や分配金の再投資がしにくいのが難点です。ニッセイNASDAQ100インデックスファンドのほうが、積立投資や分配金の再投資がしやすいメリットも得られます。
なお、ニッセイNASDAQ100インデックスファンドはSBI証券・楽天証券で購入可能です。今後も購入できる金融機関が順次拡大していくでしょう。

また、ニッセイNASDAQ100インデックスファンドが出てきたことで、今後eMAXIS Slimシリーズも出てくるのではないかと考えています。投資家としては、コストが安いものを出してくれるとありがたいですね。

米国インデックス投資戦略を再考しよう

以上を踏まえて、米国インデックス投資戦略を再考したいと思います。

リーマンショック開けからのリターンを見ると、NASDAQ100はS&P500を凌駕していました。直近のボラティリティが高まっている状況を見ても、NASDAQ100とS&P500に大差はありませんでした。NASDAQ100は金融セクターのポジションがないため、金融市場の下落リスクの影響が低いのです。

NASDAQ100とS&P500では、組み入れている投資先に差がありました。両方の指数に投資をしても、一定の分散投資効果が得られます。したがって、両者に投資をしておくのが戦力としては無難ではないかと思います。分散投資を意識するならば、S&P500の代わりに、米国株式市場の大型株から小型株まで、投資可能な約4000社ほぼすべての銘柄を網羅した「CRSP USトータルマーケットインデックス」を利用してもいいでしょう。

ただ現状、つみたてNISAや新NISAの「つみたて投資枠」では、NASDAQ100が指数の対象外のため、NASDAQ100インデックスファンドに投資できません。つみたて投資枠の指数にNASDAQ100もぜひ加えていただきたいのですが、まだ入っていません。2024年からの新NISAの「成長投資枠」であれば投資できるので、2024年から活用するのがよいでしょう。

すでに米国ETFのQQQに投資している場合でも、ニッセイNASDAQ100インデックスファンドに乗り換えた方がベターでしょう。NISAでETFに毎月自分で投資するのも面倒なものですし、分配金の再投資もできません。投資信託であれば、積立投資や再投資もしやすいので、ニッセイNASDAQ100インデックスファンドを利用するのがよいでしょう。
ぜひ投資行動に生かしていただければと思います。

今回の内容は動画でも紹介しています。ぜひご覧ください。

頼藤 太希 マネーコンサルタント

(株)Money&You代表取締役。中央大学商学部客員講師。慶應義塾大学経済学部卒業後、外資系生命保険会社にて資産運用リスク管理業務に従事。2015年に現会社を創業し現職へ。ニュースメディア「Mocha(モカ)」、YouTube「Money&YouTV」、Podcast「マネラジ。」、Voicy「1日5分でお金持ちラジオ」、書籍、講演などを通じて鮮度の高いお金の情報を日々発信している。『はじめての新NISA&iDeCo』(成美堂出版)、『定年後ずっと困らないお金の話』(大和書房)、『マンガと図解 はじめての資産運用』(宝島社)、など書籍100冊、累計170万部超。日本証券アナリスト協会検定会員。宅地建物取引士。ファイナンシャルプランナー(AFP)。日本アクチュアリー会研究会員。X(旧Twitter)→@yorifujitaiki

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