23/03/07
年収増えると年金はいくら増える?公的年金シミュレーターで試算してみた
大企業を中心に賃上げが見られる昨今。「ユニクロ」や「GU」を傘下に持つファーストリテイリンググループは、国内従業員の年収を最大約4割引き上げることを発表して注目されています。
年収が上がれば家計にゆとりが生まれ、将来に向けた資産形成もしやすくなります。しかしそれだけではなく、将来受け取れる年金も増えるといったメリットがあるのです。
今回は年収が増えるとどのくらい年金額が増えるのか、厚生労働省の「公的年金シミュレーター」を使って試算します。公的年金シミュレーターの使い方も解説するので、ぜひ活用して老後の資産づくりの参考にしてみてください。
年収UPで増える年金額をシミュレーション!
厚生年金保険に加入している会社員の場合、年収UPにより将来の年金額が増える可能性があります。65歳以降からもらえる老齢年金にはほぼすべての国民がもらえる「老齢基礎年金」と会社員や公務員がもらえる「老齢厚生年金」がありますが、老齢厚生年金は報酬額と厚生年金保険の加入期間をベースに計算されるためです。
今回はファーストリテイリンググループの賃上げを例に、年金額をシミュレーションしていきます。まず、新入社員の初任給で見ていきましょう。同グループの初任給は現行の月25.5万円から月30万円に引き上げられる予定です。年収に換算すると306万円から360万円と約18%の増額となります。
たとえば23歳から60歳まで同じ給与で働き続けたと仮定すると、現行と引き上げ後の見込み年金額は以下のようになります。
●月収25.5万円と30万円の見込み年金額の違い
筆者作成
上記の例ですと、年金額が年約11万円増える結果となりました。
次に、途中から年収が上がった場合の年金額を試算してみましょう。以下は23歳から40歳までは月収30万円(年収360万円)、41歳から60歳までは4割増の月収42万円(年収504万円)で試算した結果です。
●月収「41歳から4割増」の見込み年金額の違い
筆者作成
上記の例では、月収30万円から変わらない場合と比べて、年収が4割UPすることで年金額が年15万円増えています。このように、年収アップが将来の年金額に大きな影響を与えることがわかりますね。
カンタン4ステップ!公的年金シミュレーターの使い方
ファーストリテイリンググループほどではなくても、今後賃上げをする企業は少なからずあるでしょう。転職・独立などで、年収や働き方が変わる人もいるかと思います。
今回はファーストリテイリンググループの例で試算しましたが、年収や働き方は人それぞれ。自分の将来の年金額をざっくり知りたい場合は、実際にシミュレーションしてみることをおすすめします。
ここでは厚生労働省の「公的年金シミュレーター」の使い方をカンタンに解説します。公的年金シミュレーターは以下のような特徴があり、誰でも使いやすいつくりになっています。
・スマホでカンタンに試算できる
・ID・パスワードは不要
・過去の年金記録は「ねんきん定期便」の二次元コード※から読み込める
・試算結果はグラフで表示されるのでわかりやすい
具体的な操作方法は以下のとおりです。
●STEP1:スマホから「ねんきん定期便」の二次元コード(下図赤枠)を読み込む
ねんきん定期便は毎年誕生日の1か月前くらいに送られてくる、これまでの年金加入状況が記されたハガキです。ねんきん定期便の二次元コードをスマホなどで読み取ります。
日本年金機構「「ねんきん定期便」の様式(サンプル)と見方ガイド(令和4年度送付分)」より
●STEP2:公的年金シミュレーターの画面が表示されたら、生年月日を入力→「試算する」ボタンを押す
●STEP3:現在の働き方を続けた場合の年金見込み額が表示される
●STEP4:今後の年収、就労完了年齢(何歳まで働くか)、受給開始年齢を変更すると、年金見込み額が再計算される
厚生労働省「公的年金シミュレーター」より
※二次元コードは2022年4月以降に発行された「ねんきん定期便」に掲載されています。公的年金シミュレーターのサイトに直接アクセスして、必要な情報を入力することでも試算が可能です。
ねんきん定期便が手元にない場合や、途中から年収や働き方を変更したい場合は、公的年金シミュレーターを下にスクロールして「働き方・暮らし方」の項目を入力することで年金見込み額を試算できます。
詳しい操作方法は厚生労働省のYouTubeチャンネルでも公開されているので、こちらも参考にしてみてください。
なお、公的年金シミュレーターは簡易的に年金額を試算するサイトなので、実際の年金額とは一致しない場合があります。あくまで、大まかな年金見込み額を知るためのサイトとして活用しましょう。
まとめ
厚生年金に加入している会社員の人は、賃上げにより年金額の増加が期待できます。公的年金は生きている限りもらえるので、年金額が増えることは長生きリスクの備えとしても効果的です。
もらえる年金額は年収や働く期間、働き方などによって変わってくるので、大まかな金額を把握しておくことは大切です。今回紹介した公的年金シミュレーターで将来の年金見込み額を試算して、老後の資産形成を始めるうえでの参考にしてみましょう。
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鈴木靖子 ファイナンシャルプランナー(AFP)、2級DCプランナー(企業年金総合プランナー)
銀行の財務企画や金融機関向けコンサルティングサービスに10年以上従事。企業のお金に関する業務に携わるなか、その経験を個人の生活にも活かしたいという思いからFP資格を取得。現在は金融商品を売らない独立系FPとして執筆や相談業務を中心に活動中。
HP:https://yacco-labo.com
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