22/08/18
亡くなった親の株はどうなる?子どもがもらうことはできるのか
株式投資をしていた親が亡くなったときには、相続手続きをする必要があります。今回は、亡くなった親の株はそもそも子がもらえるのか、株をもらうにはどのような手続きが必要になるのかを説明します。
亡くなった親の株は子が相続可能
亡くなった人が持っていた株(株式)は相続の対象になり、相続人が相続します。相続人になる人は、亡くなった人の配偶者と、以下のうち優先順位の高い人です。
・第1順位:子
・第2順位:直系尊属
・第3順位:兄弟姉妹
子は第1順位の相続人なので、親が亡くなったときには子供全員が必ず相続人になります。もう一人の親(亡くなった親の配偶者)が生きていれば、その親も一緒に相続人になります。
なお、親が遺言書を書いている場合には、上記の法定相続どおりにはならず、遺言書の内容が優先されます。
株式の種類と相続の方法
株の相続手続きでは、株式の名義変更を行います。株式には上場株式と非上場株式がありますが、株式投資で保有しているのは通常は上場株式です。非上場株式を持っているのは、主に親族や知人の会社の株を持っているケースになります。
上場株式は、証券会社を通じて相続手続きをします。非上場株式の場合には、株を発行している会社に直接問い合わせをして手続きをします。
株の相続手続きの流れ
上場株式を相続する場合、次のような手順になります。
●株の相続手続き1:株の調査をする
親がどんな株を持っていて、どこの証券会社で取引をしていたかを調べます。自宅に証券会社からの郵便物や株主総会の招集通知が届いていないか確認しましょう。
なお、上場株式は電子化されており、現在は株券自体が発行されていません。しかし、電子化の手続きをしていない株券が自宅に放置されていることがあります。このような「タンス株」が出てきた場合にも相続はできますが、相続手続きと合わせて電子化の手続きが必要になります。
●株の相続手続き2:証券会社に連絡
親が取引していた証券会社がわかったら、問い合わせをし、相続の必要書類等を確認します。証券会社がわからない場合には、証券保管振替機構(ほふり)に開示請求をして調べます。ほふりとは、証券会社から預けられた投資家の株式等を集中保管している組織です。開示請求の際には、相続人であることを証明する戸籍謄本や本人確認書類が必要になります。
●株の相続手続き3:遺産分割協議で株を相続する人を決める
相続人が複数いる場合、相続人全員で遺産分割協議をし、誰が株を引き継ぐか決めます。遺言書で株を相続する人が指定されている場合には、遺産分割協議は不要です。
●株の相続手続き4:証券会社で名義変更手続きをする
証券会社に必要書類を提出して相続手続きを行います。必要書類は証券会社によって多少異なりますが、以下のような書類が求められます。
・株式名義書換請求書
・遺産分割協議書及び相続人全員の印鑑証明書(または遺言書)
・戸籍謄本
親の株を相続する際の注意点
亡くなった親の株を相続する際には、以下のような点に注意が必要です。
●相続手続きの期限に注意
株の名義変更そのものに期限はありませんが、相続に必要な各種手続きの期限が影響してくることがあります。速やかに株の調査を行い、遺産分割協議もすませるようにしましょう。
【相続で必要になる各種手続き】
筆者作成
●株を相続する際には証券口座が必要
子が親の株を相続する場合、子は親と同じ証券会社に証券口座を保有していなければなりません。親と違う証券会社の証券口座で相続する、といったことはできませんので、あらかじめ親と同じ証券会社に口座開設の手続きをしておきましょう。
●相続した株を売却する場合も税金に注意
相続した株を売却する場合、株が値上がりして譲渡所得(売却益)が出るようなら、譲渡所得の20.315%の譲渡所得税が課税されます。譲渡所得は株の売却金額から取得費(取得価額)と売却手数料を差し引いて計算します。相続税の申告期限から3年以内に株を売却した場合には、払った相続税の一部を株の取得費に加算できるので、税金を抑えられます。
まとめ
株の取引をしていた親が亡くなった場合、子がその株をもらうことができますが、株の相続手続きが必要です。相続した株をすぐに売却したい場合でも、一旦相続人名義に変更しなければなりません。他の相続の手続きに影響が出ることもあるので、速やかに手続きを完了しましょう。
【関連記事もチェック】
・退職金・年金の金額「1日違いで大きな手取りの差」3つの例
・【アニメ動画/本要約】会社も役所も銀行も教えてくれない「定年後ずっと困らないお金の話」【Money&You TV】
・60歳からの国民年金と厚生年金、1年間保険料を払うと年金はいくら増えるのか
・宝くじ「高額当せん」に要注意!? 驚くほど税金がかかるケースあり
・「お金持ち夫婦」と「貧乏夫婦」を分ける、決定的な違い5選
森本 由紀 ファイナンシャルプランナー(AFP)・行政書士・離婚カウンセラー
Yurako Office(行政書士ゆらこ事務所)代表。法律事務所でパラリーガルとして経験を積んだ後、2012年に独立。メイン業務の離婚カウンセリングでは、自らの離婚・シングルマザー経験を活かし、離婚してもお金に困らないマインド作りや生活設計のアドバイスに力を入れている。
この記事が気に入ったら
いいね!しよう