22/06/14
子供名義の口座で知らないと損する5つの注意点
子供の進学・入学などのタイミングで、子供名義の金融機関の口座を作る人も多いでしょう。子供名義の口座には、子供のためのお金を用意したり、子供への金銭教育のために利用したりできるメリットがあります。
しかし、子供名義の口座のお金を子供のために生かすには、注意しておきたいこともあります。
今回は、子供名義の口座で注意すべき5つの点を紹介します。
子供名義の口座の注意点①:子供が成人したら原則として本人しか手続きできなくなる
子供が未成年の時は、親が子供の名義の口座を開設したり、入出金したりできます。しかし、18歳を迎えて成人するとそうはいきません。
子供名義の口座から親が窓口で出金したり口座を解約したりする時には、委任状の提出を求められます。子供名義の口座の管理は、遅くとも子供が成人する18歳のタイミングまでに見直しましょう。
子供名義の口座の注意点②:贈与税の対象になる場合がある
子供名義の口座で貯めたお金は、贈与税の対象になる場合があるので、注意が必要です。
本来、親や祖父母が子供にお金を渡しても、それが日常生活に必要な範囲であれば贈与税の対象になることはありません。たとえば教育費やお小遣い、仕送りなどは必要なお金なので、贈与税の対象にはなりません。
しかし、そうではないお金が子供に渡されれば、一定額を超えた分について贈与税の対象になります。
●贈与税の速算表(一般税率)
(株)Money&You作成
具体的には、その年の1月1日~12月31日までの1年間で110万円を超えると、超えた分が贈与税の対象となります。
たとえば図のとおり、親が子供に成人のお祝いで200万円を贈与した場合には
課税価格:200万円−110万円=90万円
贈与税額:90万円×10%=9万円
となり、贈与税は9万円となります。
贈与税を非課税にするには、学費などの資金が一定金額まで非課税で贈与できる「教育資金贈与」や、年間110万円以下の贈与が非課税となる「暦年贈与」を活用しましょう。
子供名義の口座の注意点③:相続税の対象になる場合がある
贈与は、贈与する人と贈与される人の合意があってはじめて成立します。ですから、もしも子供名義の口座の存在を子供が知らなければ、そもそも贈与になりません。仮に親や祖父母など、贈与する人が亡くなった場合には、口座のお金は子供のものではなく、亡くなった人の財産として扱われ、他の財産とともに相続人たちで相続されることになります。子供名義の口座の存在は、早いうちから子供に伝えておきましょう。
子供名義の口座の注意点④:長期間使用しないと休眠口座になる
子供が生まれた時にさまざまな方からいただいたお祝いを、子供名義の口座に貯蓄しておくケースがあります。特に子供が親戚の中で初孫などの場合には、たくさんいただくかもしれません。
しかし、そうしたお祝いも子供の成長とともに、徐々に少なくなることも珍しくありません。そうして子供名義の口座を長期間使わないで放置していると、子供名義の口座が休眠口座になるリスクがあります。
●放置している口座は休眠口座に
著書「1日1分読むだけで身につくお金大全100」より
休眠口座とは10年間なにも取引がない口座のこと。休眠口座の中のお金は、公益事業などに活用される可能性があります。仮に休眠口座になっても、手続きをすれば返金されます。しかし、窓口での手続きなどが必要で、ATMで即出金とはいきません。
1度でも取引があれば休眠口座にはなりませんので、ときどき入出金するなどして管理しましょう。
子供名義の口座の注意点⑤:内緒にしておくと同じ銀行で子供が口座開設できない
「子供のピンチやお祝いごとのためにお金を子供名義の口座に預けておこう」と、内緒で子供名義の口座を持ち続けている人は意外と多くいます。しかし、子供がその事実を知らずに、同じ銀行に口座開設の手続きをすると「すでに口座があるので開設できない」と断られてしまう可能性があります。
子供も高校生以上になると、アルバイトなどで稼いだお金を受け取るために金融機関の口座を利用することがあるでしょう。勤め先から振込先の金融機関や支店を指定される場合もあります。すでに同じ金融機関で子供名義の口座があると、同じ金融機関や支店で複数の口座を持てないなどの制約があるときに、口座開設できない…ということになりかねません。
相続税のところでもお話ししたとおり、口座があることを子供と共有しておくことが大切です。また、何も子供名義の口座でお金を貯めておく必要もありませんので、親名義の口座でお金を用意すればいいでしょう。
まとめ
子供名義の口座には子供のお金を用意したり金銭教育に活用できたりするメリットがありますが、今回ご紹介した5つの注意点もあります。これから子供名義の口座を作るのであれば、注意点をよく確認したうえで開設することをおすすめします。
今回の内容は動画でも紹介しています。ぜひご覧ください。
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頼藤 太希 マネーコンサルタント
(株)Money&You代表取締役。中央大学商学部客員講師。慶應義塾大学経済学部卒業後、外資系生命保険会社にて資産運用リスク管理業務に従事。2015年に現会社を創業し現職へ。ニュースメディア「Mocha(モカ)」、YouTube「Money&YouTV」、Podcast「マネラジ。」、Voicy「1日5分でお金持ちラジオ」、書籍、講演などを通じて鮮度の高いお金の情報を日々発信している。『はじめての新NISA&iDeCo』(成美堂出版)、『定年後ずっと困らないお金の話』(大和書房)、『マンガと図解 はじめての資産運用』(宝島社)、など書籍100冊、累計170万部超。日本証券アナリスト協会検定会員。宅地建物取引士。ファイナンシャルプランナー(AFP)。日本アクチュアリー会研究会員。X(旧Twitter)→@yorifujitaiki
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