22/03/29
40代からのFIRE戦略 賃貸・持ち家、子あり・なしでFIRE目標額と達成年齢はどう変わる?
FIREとは、日本語では「経済的自立を確立し、早期リタイアを目指す」というものです。FIREは大きく分けて「フルFIRE」と「サイドFIRE」の2種類があります。
フルFIREは資産運用の収入だけで生活するもので、サイドFIREは勤労収入+資産運用収入で生活する生き方です。
今回は40代からFIREを目指した場合、賃貸か持ち家、DINKSか子育て家庭でFIRE目標額と達成年齢がどう変わるのか、ケーススタディをしてみました。
40代夫婦(賃貸)の場合のFIRE目標額と達成年齢
【前提条件】
世帯年収1000万円(手取り770万円)
2人暮らし(子なし)
家賃:月10万円
日常生活費:月15万円
手持ち資産:500万円
●DINKsなど夫婦2人世帯なら約5年でサイドFIREも目指せる!
こちらの夫婦のケースでは、40代からFIREを目指して積立投資を開始。賃貸で家賃は月10万円、日常生活費は月15万円、手持ち資産が500万円あるとしています。
この場合、フルFIREに必要な資産は7000万円、サイドFIREに必要な資産は1600万円(勤労収入月18万円の場合)となります。
「いちからわかる!FIRE入門」より
この家族形態は、世帯収入が2人分ある上に教育費などの支出もないため、独身や子どものいる世帯よりもFIREに有利になることが多いです。
たとえば、夫の手取り年450万円(年収600万円)、妻の手取り年320万円(年収400万円)、世帯年収1000万円のいわゆる「パワーカップル」だとします。
手取りの合計770万円から年間の生活費を引くと、単純計算で月40万円弱が残ります。もしも、これを全額投資に回した場合、投資を始める年齢にもよりますが、フルFIREは大体55 歳〜60歳までの間で達成できます。
サイドFIREにもかなりの余裕があります。勤労収入を夫婦で月18万円、1人9万円ずつ稼ぐとすると、およそ4〜5年でサイドFIREができる計算になります。そこまで急がないのであれば、勤労収入を下げてプランニングしてもよいでしょう。
高収入で支出が少なければFIREしやすいことがわかりやすい一例でした。
「いちからわかる!FIRE入門」より
●収入が上がっても生活水準を上げない意識をもつ
年収が高くても貯金が少ない人もたくさんいます。それは、家賃の高い家に住んだり、高いものを身につけたりと、収入と生活水準を合わせるからです。
FIRE達成者の多くは、収入に関係なく生活は質素です。その生活をキープすることが、FIREの達成を早めることになります。「これで十分」というラインを知り、その中で生活する工夫をしましょう。
40代ファミリー(持ち家)の場合のFIRE目標額と達成年齢
【前提条件】
世帯年収800万円(手取り640万円)
3人暮らし(子あり)
家賃:月9.1万円
日常生活費:月20万円
手持ち資産:500万円
子どもの大学資金で準備すべきお金:400万円
●目標はサイドFIREに絞って子育てと経済的自立の両立を目指そう
マンションを3000万円で購入し、ローン返済額は月9万1000円。日常生活費は20万円、手持ち資産を500万円。また、大学資金で準備すべきお金は400万円としています。
この場合、フルFIREに必要な資産は8630万円、サイドFIREに必要な資産は3230万円(勤労収入月18万円の場合)となります。
なお、子どもが18歳になるまでに準備すべき大学資金は、簡易的にFIRE目標額に含めています。
「いちからわかる!FIRE入門」より
たとえば、夫と妻それぞれ手取りが年320万円(年収400万円)で、手取りの合計が年640万円(世帯年収800万円)だとします。ここから年間の生活費を差し引くと、最大で年290万円、月24万円積立できる計算です。
ただし、子どもが私立に通うことや、車の購入や旅行代などの大きめの支出、利率4%で運用できないことも想定しておく必要があります。基本的にはフルFIREではなくサイドFIREに目標を絞るべきでしょう。
サイドFIREの場合、勤労収入を上げることで達成が近づきます。このケースでは、勤労収入を月2万円アップ(2人で月18万円→20万円)すれば、サイドFIREの目標金額が2630万円まで下がります。
「いちからわかる!FIRE入門」より
40代からのFIREでは、目標に合わせて勤労収入の調整、家計を見直す、貯金の一部も投資に回して資産増加のスピードアップを狙うなどして、子育てとうまく両立させたいところです。
●大学資金は家計以外に別で準備する
大学資金は家計から捻出するのは難しいので、18歳までに400万円程度を準備します。ここでは400万円をFIRE資産に含めていますが、別に分けて準備する方法もあります。児童手当を満額貯めておけば、必要な資金は残り200万円です。その分は定期預金、ジュニアNISA、つみたてNISAなどを活用して貯めていきましょう。
『いちからわかる!FIRE入門』 頼藤太希 監修
本書では20代から50代までの年齢別・家族構成から、達成額や年齢、毎月の積立額を掲載しているので、FIREへの道筋がしっかりイメージできる!
「お金をつくる」「お金を増やす」方法もしっかりレクチャー。
FIREへの目標額がわかり、その目標に向かってしっかり貯蓄・投資を行えば、誰でも経済的自由が手に入る「FIRE」入門書の決定版
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頼藤 太希 マネーコンサルタント
(株)Money&You代表取締役。中央大学商学部客員講師。慶應義塾大学経済学部卒業後、外資系生命保険会社にて資産運用リスク管理業務に従事。2015年に現会社を創業し現職へ。ニュースメディア「Mocha(モカ)」、YouTube「Money&YouTV」、Podcast「マネラジ。」、Voicy「1日5分でお金持ちラジオ」、書籍、講演などを通じて鮮度の高いお金の情報を日々発信している。『はじめての新NISA&iDeCo』(成美堂出版)、『定年後ずっと困らないお金の話』(大和書房)、『マンガと図解 はじめての資産運用』(宝島社)、など書籍100冊、累計170万部超。日本証券アナリスト協会検定会員。宅地建物取引士。ファイナンシャルプランナー(AFP)。日本アクチュアリー会研究会員。X(旧Twitter)→@yorifujitaiki
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