22/01/21
「コロナ禍で副業」確定申告が必要なのはいくらから?
コロナ禍による収入減やテレワークの浸透で時間に余裕ができたことにより、本業以外に収入を得る副業を始めた人が増えています。大手企業でも副業解禁をする動きもあり、副業について社会の認識も変わりつつあるようです。
しかし、副業でも一定額以上の収入があればしっかりと税金を納める必要があります。今回は副業と確定申告について考えてみましょう。
副業の人気1位はWeb関連!
株式会社パーソル総合研究所が行った「副業に関する調査結果(個人編)」によると、現在副業を行っている正社員の割合は9.3%ですが、過去に副業をしたことがある人を含めると18.8%になります。さらに、副業をしていない人でも40.2%の人が副業をしたいと思っています。今後も副業をする人が増えていくと考えられます。
では、どんな副業が人気なのでしょうか。同調査の正社員が行っている副業ランキングを見ると、1位がYouTubeやブログ運営などの「WEBサイト運営」で全体の12.6%を占めています。2位が「配送・倉庫管理・物流」11.2%、3位が「ライター・WEBライター」8.6%と続きます。
Web関連の仕事やライターなどは、テレワークの隙間時間や、今まで通勤にかかっていた時間を使って自宅にいながらできるため、本業がある人にとっては、身体に負担をかけすぎずにできるというメリットがあります。
副業の確定申告は必要?
副業をしている人の多くが気になるのが確定申告ではないでしょうか。会社員の場合、給与から税金が天引きされ、年末になると会社が年末調整して過不足を調整してくれるため、原則として確定申告は不要です。しかし会社員の場合、本業の収入の他に副業による「所得」が20万円を超えると確定申告が必要になります。
所得とは、売上からその売上を上げるためにかかった費用、つまり経費を差し引いた金額のこと。副業の売上から、副業をするためにかかった経費を差し引いて、20万円を超える所得があれば確定申告が必要、というわけです。
副業の確定申告では、年末調整で終了したはずの所得税と住民税を正しく再計算し直します。そして、所得税は追加で支払いますが、住民税の金額は修正され住民税決定通知書が発行されます。
ここで注意したいのが、副業が会社にバレることです。会社で禁止されているのに副業をするのは論外ですが、中には副業をしていることを単に会社に知られたくないという方もいるでしょう。
住民税は原則、特別徴収といって、会社が給与から天引きして納付します。そのため、住民税の決定通知書は会社に郵送されます。このとき、住民税決定通知書に記載されている総収入額が会社で把握している金額と異なると、勤め先は「なにか他の収入があったのではないか」と分かってしまいます。
住民税決定通知書が会社に届かないようにするには、住民税を自分で支払うことです。
確定申告をするとき、確定申告書類の第二表にある「給与、公的年金等以外の所得に係る住民税の徴収方法」の欄に「自分で納付」のチェックを付ければ、副業の住民税の金額の通知や納付書は自宅に届きます。そのため、会社に副業が知られることはありません。
65歳以上なら兼業・副業がメリットに
副業は現役世代の人に限ったことではありません。定年退職を迎えていくつも仕事を掛け持ちでしている人もいることでしょう。そんな兼業・副業している高齢者に2022年1月から「雇用保険マルチジョブホルダー制度」が新設されます。
これまで雇用保険制度は、主たる事業所(主に働いている勤め先)の労働条件が
・1週間の所定労働時間が20時間以上
・31日以上の雇用見込み
のときに適用されていました。
雇用保険マルチジョブホルダー制度とは、65歳以上の高齢者が複数の事業所で勤務する場合、以下の条件を満たすと雇用保険の被保険者になることができる制度です。
●雇用保険マルチジョブホルダー制度の要件
①複数の事業所に雇用される65歳以上の労働者であること
②2つの事業所(1つの事業所における1週間の所定労働時間が5時間以上20時間未満)の労働時間を合計して1週間の所定労働時間が20時間以上であること
③2つの事業所のそれぞれの雇用見込みが31日以上であること
つまり、65歳以上の労働者の場合、2つの事業所の勤務を合計して条件を満たせば、雇用保険に加入できるようになります。
雇用保険の被保険者になると、一定の要件を満たせば、退職したあと高年齢求職者給付金を一時金で受給することができます。これにより、高齢者の兼業・副業も一層進むと考えられます。なお、手続きは本人がハローワークで直接行う必要があります。
まとめ
会社員であっても、20万円を超える所得がある場合は、正しく確定申告を行いましょう。住民税を自身で納めることで、会社に伝わることなく副業することも可能です。
コロナ禍などを背景に、副業を始める方もいるでしょう。雇用保険マルチジョブホルダー制度の新設によって、65歳以上の方でも仕事を掛け持ちする時代になってきたともいえます。将来何が起こるかわからない以上、副業で会社に頼らずとも稼ぐことができるスキルをつけておくことも、今後は必要になってくるでしょう。
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黒須 かおり ファイナンシャルプランナー(CFP)
女性を中心に、一生涯を見守るFPとしてmoney&キャリアのコンサルティングを行う。幸せになるためのお金の知識など幅広い資金計画とライフプランのアドバイスを手がけている。金融機関にて資産形成のアドバイザーとしても活動中。FP Cafe登録パートナー
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