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23/04/19

相続・税金・年金

年金「75歳繰り下げ」の人が亡くなったら、もらえるはずだったお金はどうなる?

年金「75歳繰り下げ」の人が亡くなったら、もらえるはずだったお金はどうなる?

年金の繰り下げ受給は、本来65歳からもらえる国民年金・厚生年金の受給開始時期を遅らせることで、将来もらえる年金額を増やせる制度です。ただ、人生何があるかわかりません。繰り下げ受給をしようと思って、65歳以降も年金の手続きをしない状態で(繰り下げ受給の待機中)亡くなる方もいるでしょう。
もしも繰り下げ受給の待機中に亡くなったら、年金はどうなってしまうのでしょうか。

遺族に支給される「未支給年金」

年金の繰り下げ受給では、年金をもらう時期を1か月遅らせるごとに年金額が0.7%ずつ増えます。最大で75歳まで繰り下げることで、もらえる年金額が84%増やせます。
たとえば、国民年金・厚生年金合わせて年180万円(月15万円・以下税金や社会保険料は考慮せず)もらえる方が70歳まで繰り下げすると本来もらえる年金から42%増えるため、年金は年255.6万円(月21.3万円)になります。さらに、この方が年金を75歳まで繰り下げると84%増え、年金は年331.2万円(月27.6万円)に増えます。大きな増額効果がありますね。

年金の繰り下げ受給をする場合には、あらかじめ「いつまで繰り下げ受給します」と手続きをする必要はありません。65歳になっても年金受給の手続きをしないでおけば、自動的に繰り下げ受給の待機をしている状態になります。そして66歳以降、年金の受給を希望する時期に手続きすれば、その時点で繰り下げ受給の増額率が確定し、年金の支給が始まります。なお、国民年金・厚生年金は別々に繰り下げることができます。

繰り下げ受給の待機中に亡くなってしまうと、本人は当然年金をもらえません。しかし、このもらえなかった年金は、亡くなった本人にかわって、遺族が「未支給年金」としてもらうことができます。

未支給年金とは、亡くなった方がもらえるはずだった、まだ受け取っていない年金のことです。未支給年金は、年金をすでに受け取っている方が亡くなったときにも、必ず発生します。なぜなら、公的年金は常に後払いだからです。
年金は偶数月の原則15日に支給されます。たとえば、4月15日に支給される年金は、2月と3月の2ヶ月分です。そのため、年金を受け取っている人が亡くなった時は、必ず未支給年金が発生するというわけです。

未支給年金は、請求することで遺族がもらえます。繰り下げ受給の待機中の方が亡くなった場合も同様で、65歳以降にもらうはずだった未支給年金を遺族がもらえます。

70歳まで繰り下げ予定の人が亡くなったら?

たとえば、70歳まで繰り下げ予定で待機している、年金額年180万円のAさんが69歳で亡くなったとします。このとき、Aさんの遺族が請求することでもらえる未支給年金額は、年180万円×4年(65歳〜69歳までの待機中の年金分)=720万円です。つまり、Aさんが65歳から69歳で亡くなるまでもらえるはずだった本来の年金額を未支給年金としてもらえます。遺族が720万円ももらえるなんて、ありがたいでしょう。

しかし注意したいのは、「未支給年金は繰り下げしても増えない」ということ。もしAさんが69歳で年金を受け取っていたら、年金額は本来より33.6%増えて年約240.4万円(月約20万円)となっていたはずです。しかし、遺族は繰り下げができないので、未支給年金は65歳時点の年金額をもとに計算されます。

また、Aさんが働いていて、月収と厚生年金の合計額が48万円を超えていた場合は、在職老齢年金のしくみによって厚生年金の一部または全部が支給停止になっていた可能性もあります。この場合は、未支給年金のうち厚生年金分が少ない(ない)こともありえます。このとき、支給停止になった厚生年金はもらえない点には留意しておきましょう。

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年金には5年の時効があることに注意!

さらに、年金には「5年」の時効があることにも注意が必要です。

例えば、75歳まで繰り下げ予定で待機している、年金額年180万円のBさんが72歳で亡くなったとします。もしBさんが72歳で年金をもらっていたら、年金額は本来より58.8%増えて年約285.8万円(月約23.8万円)となっていたはずです。しかし、BさんもAさんと同じで、未支給年金は繰り下げしても増えません。

さらに、たとえ7年繰り下げ受給の待機をしていても、年金の時効は5年ですので、未支給年金としてもらえる年金は、Bさんが67歳〜72歳までの間にもらうはずだった年金のみ。65歳・66歳の年金は時効を迎えているので、もらえなくなってしまいます。

つまり、Bさんの遺族が請求することでもらえる未支給年金額は、
年180万円×5年=900万円
となります。

なお、年金の繰り下げ待機中にまとまったお金が必要になった場合、それまでもらってこなかった年金を最大5年分さかのぼって一括で受給できます。

年金の繰り下げ待機をしている、年金額年180万円のCさんが、72歳になったときに年金を一括で受給すると、67歳から年金をもらいはじめたものとして、5年間分の年金(ここでは、(180万円×116.8%)×5年=1051万2000円)が一括でもらえます。
また、以前は、Cさんが一括受給した後にもらえる年金額は65歳時点のもの(繰り下げなしのもの)になっていましたが、2023年4月から導入された「5年前みなし繰り下げ」(特例的な繰下げみなし増額制度)によって、一括受給後も67歳時点の増額された年金額がもらえるようになりました。

しかし、今回ご紹介した未支給年金はこうした制度変更の対象外です。あくまでもらえる年金額は最大で5年分、繰り下げ待機も関係なしとなります。

未支給年金の請求はお早めに

繰り下げ受給の待機中の方が亡くなった場合はもちろん、すでに年金を受け取っている方が亡くなった場合も、未支給年金は発生します。未支給年金は、請求しないともらえません。

未支給年金を請求できるのは、亡くなった人と生計を同じくしていた
(1)配偶者
(2)子
(3)父母
(4)孫
(5)祖父母
(6)兄弟姉妹
(7)その他(1)~(6)以外の3親等内の親族
で、順位のもっとも高い人です。手続きは年金事務所または街角の年金相談センターに、死亡の届出とともに未支給年金請求の届出を提出して行います。

未支給年金をもらえる事態が発生したら、速やかに手続きをするようにしましょう。

高山 一恵 ファイナンシャルプランナー

(株)Money&You取締役。一般社団法人不動産投資コンサルティング協会理事。慶應義塾大学卒業。2005年に女性向けFPオフィス、(株)エフピーウーマンを設立。10年間取締役を務めたのち、現職へ。女性向けWebメディア『FP Cafe』『Mocha(モカ)』や登録者1万7000人超のYouTubeチャンネル『Money&YouTV』を運営すると同時に、全国で講演活動、執筆活動、相談業務を行ない、女性の人生に不可欠なお金の知識を伝えている。明るく親しみやすい性格を活かした解説や講演には定評がある。『はじめての新NISA&iDeCo』(成美堂出版)、『マンガと図解 定年前後のお金の教科書』(宝島社)、『11歳から親子で考えるお金の教科書』(日経BP)など書籍90冊、累計150万部超。ファイナンシャルプランナー(CFP®)。1級FP技能士。twitter→@takayamakazue

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