21/05/06
確定申告に遅れるとどんなペナルティがあるのか
個人事業主はもちろん、会社員でも確定申告をしなければならないケースがあります。日頃からマメに記帳しておけばいいのですが、さぼっていると申告期限に間に合わせることが難しい場合もあります。もし、申告期限を過ぎてしまうと、どのようになるのでしょうか。今回は確定申告期限を過ぎた時のペナルティをご紹介します。
確定申告期限に間に合わないと附帯税がかかる
確定申告期間は例年2月16日〜3月15日までです。2020年分の確定申告の期限は、新型コロナウイルス感染症の関係で例年より1か月延び、2021年4月15日でした。とはいえ、現時点で間に合っていない人は1日でも早く申告を行いましょう。
確定申告の期限を過ぎてから申告を行うことを「期限後申告」といいます。税金は申告して、期限までに納付すべきものなので、遅れると罰金的意味合いから附帯税を納めることになります。
附帯税の種類には、次のようなものがあります。
●無申告加算税
無申告加算税は、期限内に申告・納付しないときに加算される税金です。
税率は原則として課税される税額の15%で、納付すべき税額が50万円を超える部分については20%になります。しかし、税務調査の通知前の自主的な期限後申告の場合には、5%に軽減されます。
また、次の要件をすべて満たす場合には、無申告加算税の課税は行われないことになっています。
1 その期限後申告が、法定申告期限から1月以内に自主的に行われていること。
2 期限内申告をする意思があったと認められる一定の場合に該当すること。
なお、一定の場合とは、次の(1)及び(2)のいずれにも該当する場合をいいます。
(1) その期限後申告に係る納付すべき税額の全額を法定納期限(口座振替納付の手続をした場合は期限後申告書を提出した日)までに納付していること。
(2) その期限後申告書を提出した日の前日から起算して5年前までの間に、無申告加算税又は重加算税を課されたことがなく、かつ、期限内申告をする意思があったと認められる場合の無申告加算税の不適用を受けていないこと。
(国税庁 タックスアンサー No.2024「確定申告を忘れたとき」より)
つまり、期限が過ぎても1か月以内に全額を納付し、過去5年間に滞納したことがないといった場合は、1度だけなら無申告加算税は課税されない、というわけです。
●延滞税
延滞税は、期限後申告をしたときに、その遅れた期間に応じて加算される税金です。2021年については、納期限から2か月以内は年利2.5%、2か月を超えると8.8%です。
たとえば2020年分の所得税30万円を2021年8月31日に自主的に申告・納付した場合には、
・無申告加算税:30万円×5%=1万5000円
・延滞税:30万円×138日×年2.5%÷365日=2835円
(100円未満は切捨てるため、2800円)
したがって、納税額30万円のほかに、無申告加算税1万5000円、延滞税2800円が必要となります。
●重加算税
重加算税は、無申告加算税のケースで仮装や隠ぺいなど、意図的に申告しなかったと認められたときに加算される税金です。そのペナルティは無申告加算税よりも重く、納税額の40%課税されます。
さらに、無申告加算税と重加算税は、5年以内に再度賦課される場合は10%加重されます。つまり、2度目以降はペナルティも重くなるのです。
確定申告期限に間に合わないと青色申告特別控除額が減額される
期限後申告のペナルティは、附帯税だけではありません。
青色申告をしていれば青色申告特別控除額が減額されます。青色申告特別控除を受ければ本来55万円(e-Taxによる申告を行う場合は65万円)の控除が受けられますが、期限後申告では10万円の控除しか受けられないことになります。つまり、その分税金が高くなってしまいます。
さらに、2年続けて申告期限に遅れてしまうと、青色申告の承認自体が取り消されてしまう場合があります。青色申告では、届出書の範囲内で全額が事業専従者給与として経費になり、純損失の繰越控除が3年間できるなど所得税以外にも特典があります。しかし白色申告にはそうした特典がないので、同じ収益であっても青色申告ができないとなれば、税負担が重くなります。
そればかりか、申告期限に間に合わないことが続けば税務署から目をつけられ、書類に対するチェックが厳しくなり、税務調査に来る可能性が高まります。
どうしても間に合わない場合には延長手続きも
決められた申告期限を守るのが原則ですが、どうしても申告が間に合わない人は、「所得税の申告等の期限延長申請手続」をすることで、申告延長の申請が認められるケースがあります。「災害その他やむを得ない理由があると認める場合」に限られますが、正当な理由があると認められれば、やむを得ない理由が解決した日から2か月まで申告の期限を延ばすことができます。
特に2020年から感染が拡大している新型コロナウイルス感染症も、やむを得ない理由として事例が国税庁のHPに掲載されています。しかし、どんなことでも正当な理由として認められるわけではないので、申告期限を守るにこしたことはありません。
まとめ
もし確定申告が必要にもかかわらず、まだしていないというのであれば、こうしたペナルティを避けるためにも、すぐに確定申告を行いましょう。また、来年の確定申告は遅れないよう、さぼらずに資料を用意する仕組みを整えましょう。
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池田 幸代 株式会社ブリエ 代表取締役 本気の家計プロ®
証券会社に勤務後、結婚。長年の土地問題を解決したいという思いから、宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナー(AFP)を取得。不動産賃貸業経営。「お客様の夢と希望とともに」をキャッチフレーズに2016年に会社設立。福岡を中心に活動中。FP Cafe登録パートナー
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