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21/12/23

相続・税金・年金

国民年金保険料は前納がお得だが、前納中に就職したら支払い損になる?

フリーランスや個人事業主、学生、主婦などの国民年金第1号被保険者に納付義務のある国民年金保険料。実は、支払方法を前払いにするだけで、保険料をグッと抑えることができるのです。でも、前納したあとに就職することもあるかもしれません。そうした場合、支払った保険料はどうなってしまうのでしょうか。今回は、国民年金保険料の前納制度と、前納後に就職した場合について紹介いたします。

国民年金の保険料が安くなる「前納制度」

国民年金の保険料を自分で納めるのは、国民年金の第1号被保険者(自営業・フリーランスなどとその家族、学生など)です。会社員・公務員などの第2号被保険者は給料から天引きされます。また第2号被保険者に扶養される第3号被保険者は直接納める必要はありません。

国民年金保険料の納付は、毎月分の保険料を翌月末日までに月払いすることが原則となっています(経済的理由などにより免除や納付猶予が認められるケースあり)。しかし、実は前払いにすることも可能なのです。これを前納制度といいます。前納制度には、6か月前納(年度の上半期・下半期分)、1年前納(1年度分)、2年前納(2年度分)があります。また、毎月分の保険料を当月末に支払う当月末振替もあります。

国民年金保険料を前納する最大のメリットは、何といっても保険料がお安くなること。一度に納める月数に応じて割引率も高くなり、とってもお得なのです。

たとえば、国民年金保険料を口座振替で前納した場合の納付額と割引額(2021年度・22年度)は、次のようになっています。

●国民年金保険料前納の納付額と割引額

日本年金機構のウェブサイトより

2021年度(令和3年度)の保険料は月額1万万6610円、2022年度(令和4年度)の保険料は月額1万6590円ですので、2年分を合計すると39万8400円になります。しかし、この2年分の保険料を前納すれば、1回あたりの納付額は38万2550円、1万5850円の割引が受けられる、というわけです。

そこまでのお金が一度に出るのは苦しいという場合は1年前納・6カ月前納もあります。これによって、4180円、1130円の割引を受けることができます。家計状況と相談して何カ月分支払うかを決めると良いでしょう。

また、同じ1カ月分を支払う場合も、当月末に支払う「当月末振替」を利用すれば毎月50円、年間で600円の早割が適用されます。

なお、国民年金保険料は現金やクレジットカードで前納することも可能(割引額は異なります)。国民年金保険料は毎年変わるので、前納した場合の保険料もそれによって変わります。

「前納後に就職した」保険料はちゃんと返ってくる?

国民年金保険料を前納していても、その人が就職したり、個人事業を法人化したりすると、厚生年金への加入が必要となります。厚生年金に加入すると、厚生年金保険料を負担することになります。そうすると、すでに前納した国民年金保険料がなくなってしまうのでは? と思われる方もいるかもしれません。しかし、どうぞご安心を。たとえ、国民年金保険料を前納している期間中に厚生年金に加入しても、保険料が二重払いとなることはありません。厚生年金加入の前月分までは国民年金保険料納付の対象となりますが、それ以降分の国民年金保険料については全額還付されます。

例えば、2022年4月~2022年3月までの1年間の保険料を前納したとします、この後、5カ月目である2022年8月に就職し、厚生年金に切り替えた場合、2022年4月~7月までは国民年金保険料の納付期間ですが、それ以降の2022年8月~2023年3月までは厚生年金保険料を納付すべき期間となります。

●保険料を納付すべき期間

年金事務所の国民年金窓口にて還付手続きをすると、8カ月分の国民年金保険料が還付されます。厚生年金に加入したら手続きに行きましょう。

気を付けて!還付には期限あり!

厚生年金加入時期と重なる期間の国民年金保険料を支払った場合、手続きをすれば国民年金保険料は還付されます。しかし、1点気を付けたいポイントが。それは、還付には2年の時効があるということ。還付金がある場合は、還付請求の案内が届きますが、そのまま放置して手続きしないと返金されなくなってしまいます。ですから、ぜひ忘れないうちに手続きしましょう。

まとめ

国民年金保険料は前納を利用することで割引が受けられます。一度に支払う金額は大きくなりますが、その分お得に国民年金保険料を支払うことができます。仮に前納期間中に就職しても、前納した分の国民年金保険料は還付されます。手続きをしっかりすれば、無駄になることはありません。お得な前納制度を利用して、賢く節約することをおすすめします!

城山ちょこ ライター

東京海上日動火災保険出身。慶応大学院SDM研究科修了。
2013年よりライターの道へ。執筆ジャンルは金融(保険)、働き方、子育て、結婚など女性のライフスタイル全般。2児の子育てと仕事の両立に日々奮闘中。丁寧でわかりやすい記事をモットーとしています!

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