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24/09/21

家計・ライフ

心理学・行動経済学で用いられるカタカナの「ナントカ効果」18選【イラスト付】

心理学や行動経済学の世界には、「ナントカ効果」と呼ばれる効果がたくさんあります。これらのナントカ効果は、購買マーケティングなど意外と身近で使われていて、私たちの行動に影響を与えています。今回はナントカ効果を18個一挙に紹介します!

心理学・行動経済学で用いられるカタカナの「ナントカ効果」まとめ その1

筆者作成

●1:ツァイガルニック効果

ツァイガルニック効果は、「人は完全なものよりも不完全なものの方が注意を向けやすく、覚えている」効果です。

たとえば、テレビCMで商品の説明が十分にされず、「続きはWebで」といわれたら、続きが気になってネットで検索してしまいたくなるものです。また、ドラマや映画の予告を見て「見たい」と思うのも、ツァイガルニック効果が働いているからです。

●2:カリギュラ効果

カリギュラ効果は「禁止されたことをついついやりたくなってしまう」効果です。

「興味のある方はクリックしてください」よりも「興味のない方はクリックしないでください」と言われたほうが、なんだか気になりませんか? 古来、鶴の恩返しも機織りの部屋をのぞくなといわれたからのぞきましたし、パンドラの箱も開けるなといわれたから開けました。熱湯風呂を前に「押すなよ、絶対に押すなよ」というダチョウ倶楽部のネタでも、結局背中を押します。これらはみな、カリギュラ効果を意識したネタかもしれませんね。

●3:ピグマリオン効果

ピグマリオン効果は、「人は周りに期待されると、期待通りの行動をしやすくなる」効果です。

「なんでできないの?」と責めるよりも「君はやればできる!」と期待したほうが、思った成果が出やすいという効果です。誰しも、期待されれば応えたいと思うもの。それがいい結果に結びつくのです。子育てや部下の育成などにも活用されている効果です。

●4:ザイオンス効果(単純接触効果)

ザイオンス効果は、「接触回数が多いほど好意を抱くようになる」効果です。

商品やサービスの広告がチラシ、テレビCM、ネット、SNSなど、さまざまなところで展開されるのは、ザイオンス効果を狙ったものです。同じものに触れる機会が多いほど、その商品やサービスのファンになってもらえる可能性が高くなる、というわけです。営業でも、ちょっとした口実を作って何度も会いに来る人のほうが、信頼関係を築きやすいといわれています。

●5:ハロー効果

ハロー効果は、「1つが良いと、何もかもよく評価してしまう」効果です。

いつも爽やかで、身だしなみの整った人が、「仕事もできて、誠実で、人生が充実しているだろうな」と周りから評価されることがあります。身だしなみと仕事のクオリティや誠実さ、人生の充実度は本来関係ないはずですが、身だしなみに引きずられて、そう評価されてしまうのです。日本語では「後光効果」ともいいます。後光がさしているように見えるというわけですね。

●6:ホーンズ効果

ホーンズ効果は「1つが悪いと、何もかも悪く評価してしまう」効果です。

ハロー効果の逆で、身だしなみがもし悪ければ「仕事ができなさそうで、不誠実で、人生にも何か影があるのだろうな」と評価されてしまうことがあります。

心理学・行動経済学で用いられるカタカナの「ナントカ効果」まとめ その2

筆者作成

●7:バーナム効果

バーナム効果は「誰にでも当てはまるような曖昧な内容が自分に当てはまっていると勘違いする」効果です。

バーナム効果の代表は占い師。「あなたは職場や人間関係で悩んでいますね?」などといわれたら、ほとんどの人は「はい」と答えるでしょう。誰でも何かしら、悩んでいるはずだからです。占い師は、こうした質問を繰り返すことで、相手に「自分のことを話してくれている」「理解してくれている」と感じさせるのです。

●8:バンドワゴン効果

バンドワゴン効果は「大人気と言われると商品がよく見えてしまい、自分も買ってしまう」効果です。

ラーメン店やデパ地下のスイーツなどで行列ができていると、そこのラーメンやスイーツはきっとおいしいに違いないと感じるものです。また、「10秒に1つ売れています!」といわれたら、さぞかしすごいものだと思ってしまうでしょう。みんなが買っているから欲しい、流行に遅れたくないという意識からバンドワゴン効果が生まれ、買ってしまうのです。

●9:スノッブ効果

スノッブ効果は「希少性が高いものほど欲しくなる」効果です。

バンドワゴン効果とは逆に、「限定○個」「季節限定」などとして希少性をアピールすることで買いたいという気持ちをかきたてます。「世界に10個しかない」などと、希少性が高くなるほど、欲しくなる効果も高くなります。

●10:アンカリング効果

アンカリング効果は「最初に接した数値や条件が基準となってその後の判断が左右される」効果です。

スイスの人口なんて、ほとんどの人は知らないですよね。クイズでこれを聞かれたとき、最初の人が「500万人」と答えたとすると、次の人は500万人を基準にして「じゃあ、400万人?」「600万人かな?」などと、500万人に近い数字を答えてしまいがちです。これは、アンカリング効果が働いているからです。ちなみに、スイスの人口は857万人だそうです。

また、テレビ通販で「定価3万9800円の商品が、なんと今なら1万9800円!」などと、元の価格から大きく割引することがあります。これもアンカリング効果を活用したもの。はじめに高い価格を見せることで、後から紹介する値引き後の価格を安く感じさせる効果があるのです。

●11:ウィンザー効果

ウインザー効果は「本人が情報発信するよりも第三者の口コミやレビューの方が信頼性は高く感じてしまう」効果です。

ネットショッピングで買う商品の決め手になるのは、実は口コミやレビュー。多くの人がいいと言っている、○○ランキングで1位、といった情報を人は信じやすいのです。ネットショッピングのサイトもそれを知っていて、積極的に口コミを掲載しています。

●12:オトリ効果

オトリ効果は、「2つの選択肢で迷っている人に見劣りする第3の選択肢を入れると意思決定が変化してしまう」効果です。

これをうまく使っているのが「松竹梅」。3ランクの商品から1つを選ばせると「竹」の商品がよく選ばれます。人は、極端な選択を嫌う傾向があるので、高すぎず安すぎず、ちょうどいいものが選ばれがち、というわけです。

心理学・行動経済学で用いられるカタカナの「ナントカ効果」まとめ その3

筆者作成

●13:カクテルパーティー効果

カクテルパーティー効果は「雑音の中でも自分の名前や自分が求める情報は聞きとれる」効果です。

たとえば、自分が投資をしていないと、米国の経済の動向に興味はわかないでしょう。しかし、投資をしていれば、米国の経済の動向が市場に影響を与えることがわかるため、興味がわいてくるはずです。脳の構造で、自分に関係ない情報は捨てていく一方、知りたい情報や気になる情報は集めやすくなります。

●14:テンションリダクション効果

テンションリダクション効果は「大きな買い物や意思決定の後は警戒心が緩んでしまう」効果です。

高い買い物をしたあと、「オプションの製品・サービスがあります」などと勧められたことはありませんか? 普段はいらないとすぐ断るものでも、数万円の買い物をした後ならば、数百円、数千円のものであれば、「それくらいなら」と購入する可能性が高まるのです。

●15:シャンパルティエ効果

シャンパルティエ効果は「数字の単位が変わると異なった印象を持ってしまう」効果です。

栄養ドリンクなどでよく聞く「タウリン1000mg配合!」。栄養補給に役立つ成分がたくさん入っている気がします。しかしこれが「タウリン1g配合!」だったらどうでしょう。なんだ、1gしか入っていないのか、と思ってしまうでしょう。シャンパルティエ効果のおかげで、大きい数字を使った方が、アピールにつながるというわけです。

●16:スリーパー効果

スリーパー効果は「嘘だと思っていた話でも時間が経つと信じてしまう」効果です。

ワイドショーでの芸能人のうわさ話には、嘘みたいな話や信憑性の薄い話がたくさんあります。聞いたときは「嘘でしょ」と思っていても、時間が経つにつれて情報源がワイドショーだったことを忘れてしまい、「本当かもしれない」と思うようになることをいいます。
商品の広告などでも、最初は効果を信じていなくても、時間が経つにつれて本当に効果があるかも…と思うようになることがあります。これはスリーパー効果が働いているからと考えられます。

●17:テトリス効果

テトリス効果は「繰り返しゲームをすることで脳が鍛えられ、脳の効率的な運用が行われるようになる」効果です。

ゲームで脳が鍛えられるという研究が近年発表されています。昔は、ゲームは悪者にされがちでしたが、実際はそうではなく、脳を効率化できる可能性があるというわけです。

●18:プラセボ効果

プラセボ効果は「効き目のあるくすりを服用していると思い込むことによって病気がよくなる」効果です。

プラセボとは「偽薬」のこと。実際には病気を治す成分が何も入っていないのですが、「この薬には効き目がある」と患者自身が思い込むことによって、病気がよくなることがあるのです。まさに「病は気から」ですね。

無駄遣い防止に役立てよう

以上、18個のナントカ効果をまとめて紹介してきました。これらの心理学・行動経済学の効果の多くは、マーケティングの世界で消費者心理をつかむため(=お金を使ってもらうため)に巧みに利用されています。そのことを知らずに「これは気になる! 買おう」としていては、無駄遣いになってしまいますし、お金がいくらあっても足りなくなってしまいます。

でも、今回紹介したナントカ効果を知っていれば、「気になるけど、ちょっと買うのは待ってみよう」と立ち止まることができるはず。無駄遣いを防ぐ役に立つでしょう。
逆に、みなさんが仕事で商品を販売する場合、これらの心理学・行動経済学を活用することで商品の売上アップに貢献するかもしれません。ぜひ、参考にしてみてください。

今回の内容は動画でも紹介しています。よろしければご視聴ください。

頼藤 太希 マネーコンサルタント

(株)Money&You代表取締役。中央大学商学部客員講師。慶應義塾大学経済学部卒業後、外資系生命保険会社にて資産運用リスク管理業務に従事。2015年に現会社を創業し現職へ。ニュースメディア「Mocha(モカ)」、YouTube「Money&YouTV」、Podcast「マネラジ。」、Voicy「1日5分でお金持ちラジオ」、書籍、講演などを通じて鮮度の高いお金の情報を日々発信している。『はじめての新NISA&iDeCo』(成美堂出版)、『定年後ずっと困らないお金の話』(大和書房)、『マンガと図解 はじめての資産運用』(宝島社)、など書籍100冊、累計170万部超。日本証券アナリスト協会検定会員。宅地建物取引士。ファイナンシャルプランナー(AFP)。日本アクチュアリー会研究会員。X(旧Twitter)→@yorifujitaiki

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