20/12/02
『ナニワ金融道』故・青木雄二氏に教わった「不労所得」に必要なこと
アメリカでは「FIRE」が流行しているようです。
「FIRE」は(Financial Independence and Retire Early)のことで、いわゆる「経済的自由」を目指すというものです。経済的自立と早期退職を目標とするライフスタイルの考え方です。「FIRE」を実現させるために、収入を多く得て、貯蓄を最大限にまで上げて、運用をしながら自由に生きるということです。
日本語で簡潔にいうと、「不労所得」を得て生活をするということになります。
「働かずに生活をする」のは、憧れだと思いませんか!
今回は、『ナニワ金融道』の著者、故・青木雄二さんとのエピソードを交えながら、「働かずに生活」をする準備についてお話ししましょう。
青木雄二先生から教わった不労所得とは
働かないでお金が得られることを、「不労所得」と言います。お金を得るために労働をする必要のない所得です。ということは、働かざるとも得られる収入源が必要になってきます。
漫画家の故・青木雄二先生とお話しをしていたときに、この「不労所得」でなるほどと思ったことをお話しましょう。
青木雄二先生は、『ナニワ金融道』で有名な漫画家です。私は青木雄二先生に、初めての書き下ろしエッセイを担当した編集者として、お付き合いさせていただきました。
青木先生のお宅にも、何度かお伺いしたことがあります。そのときのエピソードです。
青木先生は挨拶も早々いきなりマンションの図面を広げて、
「ナガオハン(私のこと)、マンションを一棟買いしようとおもうとんじゃ、どう思う?」と尋ねられました。
青木先生はマンガ家としてのデビューは非常に遅く、40代になってからです。
マンガ家の多くは10代、20代からデビューをして、ヒット作を出すと大きな収入を得られることもあります。しかし、10代、20代でヒット作に恵まれたマンガ家は、ヒットが出ている期間はいいのですが、人気がなくなったときには金銭的に困る人が多いそうです。金融リテラシーが備わっていないからです。
それでは、「アカンのじゃ!」。
青木先生は「(漫画の)人気がなくなっても困らないように、人気のあるうちに何とかしとかなアカン! 不労所得を用意しておくんじゃ!」と言っていました。
マンションを一棟買いして人に貸せば、家賃収入がずっと見込めます。
そのとき、「なるほど、不労所得があれば、働かなくてもいい暮らしができるのか!」と思ったのです。
不労所得の種類はいろいろ
青木先生の例のように、投資用のマンションを持つことができれば、家賃収入で「不労所得」を得ることができます。
不労所得には、その他にもいろいろあります。
たとえば、株式投資の値上がり益や配当収入などで不労所得を得ることができます。国債や債券などの利子所得も不労所得です。
また、ベンチャー企業を立ち上げて、成功すれば、そのIPO(新規上場)やバイアウト(企業売却)で多額のお金を得ることもできます。
宝くじの当せん金も、大きな不労所得です。当たったら、働かなくてもいい暮らしができそうですね。
はたまた、印税など著作権の所得も不労所得です。ただ、印税で不労所得を得るというのは、漫画などで売れ続けて、ロングセラーで読み続けられている作家でもない限りほとんどムリです(ちなみに私も一生懸命、様々なメディアの原稿を書いたり、書籍の執筆をしたりしています。書籍は30冊近く書きましたが、印税生活はできません。株式投資の方がまだ効率がいいと言えます)。
なお、税法上「利子所得」「配当所得」「一時所得」といった項目はありますが、「不労所得」という項目はありません。
もっとも身近な不労所得は「年金」
上にあげた不労所得を得て暮らすことを目指すのであれば、まずは株式投資や不動産投資などがよさそうです。しかし、じつはもっと簡単に不労所得で暮らす方法があります。それは、「年金暮らし」です。
退職後は、働かなくても年金が入ってきます。高齢者の多くは、年金だけの収入で生活を送っているのです。正確には年金は不労所得とは呼べないかも知れません。でも、働かなくても所得があるのは、じつにありがたいことです。
ですので、公的年金をキチンと納付して、年金額をできるだけ増やすことを考えるのは、いかがでしょうか。年金額が増えれば、老後はそれだけ豊かになっていきます。
また、年金を増やす方法もあります。
自営業の人は、付加年金・国民年金基金などで増額をすることができます。また会社員・公務員の人は、できるだけ長く働くことで年金額を増やすことができます。さらに繰り下げ受給をすることで年金額を増やすことができます。
老後を豊かに暮らす不労所得を目指して、年金の増額を考えてはいかがでしょうか。
長尾 義弘 NEO企画代表
ファイナンシャル・プランナー、AFP、日本年金学会会員。徳島県生まれ。大学卒業後、出版社に勤務。1997年にNEO企画を設立。出版プロデューサーとして数々のベストセラーを生み出す。新聞・雑誌・Webなどで「お金」をテーマに幅広く執筆。著書に『コワ~い保険の話』(宝島社)、『こんな保険には入るな!』(廣済堂出版)『お金に困らなくなる黄金の法則』『最新版 保険はこの5つから選びなさい』『老後資金は貯めるな!』(河出書房新社)、『保険ぎらいは本当は正しい』(SBクリエイティブ)。監修には年度版シリーズ『よい保険・悪い保険』など多数。
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