19/07/16
【書評】『世界一シンプルで科学的に証明された究極の食事』
りんごダイエット、バナナダイエット、ゆで卵ダイエット、豆腐ダイエット、ささみダイエット・・・。これまでブームになった数々のダイエット法を覚えている方も多いでしょう。
私は話題のダイエットをいくつか試してみたことがありますが、どれも長続きしませんでした。根性が足りないせいだと思っていましたが、健康食に関するこの本を読んで、最新の方法は確実性が高いという考えがそもそも違っていたことに気づきました。
今回ご紹介する『世界一シンプルで科学的に証明された究極の食事』は、発売されてからたった10日で10万部売れたというベストセラーです。
“最新情報は正しい”というイメージに踊らされる私たち
健康的な生活を送って長生きするために、日々なにを食べるかはとても重要です。ところが世の中には、一見正しそうでありながら科学的根拠のない健康情報があふれており、信ぴょう性に欠ける間違った内容に振り回されることもしばしば。正確な情報を選び取るのは簡単ではありません。
食と健康は誰もが気になるトピック。話題になると大きな経済効果がもたらされるため、マーケティング的な目的からフェイク色の強い情報もちまたに多々流れています。「最新の研究結果によると」という表現に惑わされずに、本当に正しい情報を押さえることが大切です。
本当に健康に良い食品とは
この本には、数多くの研究結果にもとづいた、健康になれる食事が紹介されています。 医学的に健康に良い食べ物は、魚、野菜と果物、茶色い炭水化物(玄米など)、オリーブオイル、ナッツ類の5つのみ。逆に健康に悪いのは、赤い肉(牛肉や豚肉)や加工肉(ハムやソーセージ)、白い炭水化物(白米など)、飽和脂肪酸(バターなど)の3つだといいます。
健康を保つ食生活はいたってシンプル。健康によい5つの食品を食べ、健康に悪い3つの食品を避ければ、脳卒中、心筋梗塞、がんなどのリスクを下げ、長生きする確率を上げることができるのだそうです。
ところで、日本食はヘルシーだと世界的に人気ですが、白米と塩分が多いため、科学的には身体によい食事ではないのだとか。ハンバーガーやピザ文化のアメリカ人よりも私たちの塩分摂取量が多いというのは驚きです。健康によい食品を多く含む料理は、地中海食だそう。実は和食よりもイタリアンの方が、身体にいいんですね。
健康神話にとらわれすぎない
健康のためには、身体にいい食べ物を摂り、よくない食べ物を避ければいいのですが、人の心はそう単純ではありません。ステーキやソーセージ、白米などが身体によくないとわかっていても、好きな食べ物を食べたいのが人間の心理です。
著者は、身体によくない食べ物を「食べるな」とは言っていません。私たちが食事を通して得られるものは、栄養だけではないからです。スイーツやとんかつ、焼肉などが好きな人は、それを食べると幸せな気持ちになれますし、身体に悪いからといって我慢すると、幸福度が下がってイライラがつのり、健康になっても人生の生きがいがなくなってしまうこともあるのです。
読みながら安心しました。好きなものを食べられないなんて、味気ないものです。食事制限が必要でない限り、多少ジャンクなものをほどほどに食事に取り入れても楽しいでしょう。
幸福度と健康は、どちらも生きていくうえで大切なもの。幸福はこころの平安をもたらし、自身のパフォーマンスやコンディションを整える作用があります。
私たちに必要なのは、健康的な食事と不健康な食事がなにかを知り、その上で「食べるべきもの」と「食べたいもの」を選ぶこと。
健康も幸せも自分で作っていくものだと考えると、自身への責任感が湧いてきます。信頼できる正しい情報をもって、毎日の食事を有意義なものにしていきましょう。
『世界一シンプルで科学的に証明された究極の食事』
(
東洋経済新報社 )
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小野寺 理香 おのでら りか
読書ブロガー。好きなジャンルは文学、歴史、アート。ふとしたきっかけで出会い、好きになったら長くつきあう……本との巡り合いは人と同じ。時に味わう〝がっかり〟も、読書のおもしろさのひとつです。ここでは、よりすぐりのすてきな本をお届けします。
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