25/12/30
扶養から外れたことを放置してバレた人の悲惨な末路

2025年は「年収の壁」に関する大きな制度改正が実施されました。さらに2026年以降は社会保険の適用拡大も段階的に進む予定です。今後の変化にも注目が集まっています。
「130万円の壁」は国民年金保険料・国民健康保険料の支払いの境界線ですから、意識している方も多いでしょう。ただ、中には漠然とした知識のままで、扶養から外れてもそのまま放置している人がいるかもしれません。
今回は、夫の扶養に入っている妻が、うっかり扶養を外れてしまったことに気がつかず放置していると、どんな末路が待っているのか、最新の制度改正情報も交えて解説いたします。
(なお、以下は「妻の扶養に入っている夫」でも同様ですが、便宜上「夫の扶養に入っている妻」としています。)
社会保険の「扶養」はメリットが大きい分、放置は禁物
扶養とは、経済的な事情で「自力で生活することが困難な家族を養うこと」を意味します。さほど(または全く)稼いでいない配偶者や子ども、老人である親の存在が扶養に該当します。扶養には法律によって「税法上の扶養」と「社会保険の扶養」の2種類があり、それぞれ条件が異なります。ここでは、「社会保険の扶養」についてしっかりと確認しておきたいと思います。
社会保険の「扶養」になれるのは、原則として配偶者と3親等内の親族(血族、姻族)だけです。法律上家族とならない内縁関係の妻などもその対象となります。また収入要件は、原則として被扶養者(扶養される人)の年間収入が130万円(月収約10万8,000円)未満で、被保険者の収入の2分の1未満であることとなっています。
社会保険上の扶養の範囲内でいることのメリットは、自動的に国民年金に加入できることです。もちろん国民年金の保険料負担はありませんし、夫の厚生年金の保険料も変わりません。それでいて妻は将来、国民年金を受給する権利があるわけです。また、自分で健康保険に加入する必要がなく、夫の健康保険が適用されます。夫の扶養に入ったからといって夫の健康保険料が増えるわけでもないので、夫婦にとってこれほどメリットが大きいことはありません。
しかし、享受できるメリットも大きい分、うっかり扶養から外れた場合でも放置は危険です。きちんと扶養を外す手続きをしないままでいると取り返しのつかない事態にもつながりかねないからです。
突然の高額の請求書に呆然とするAさん夫婦
数年前に結婚した会社員のAさん(36歳男性)と妻のBさん(33歳女性)のケースをご紹介します。昨年、夫のAさんの地方勤務が決まり、妻のBさんは夫の転勤を機に正社員を辞め、一旦退職することにしました。退職後、すぐに妻のBさんは夫のAさんに扶養家族の申請手続きをお願いしました。
その後、妻のBさんは夫の転勤先で扶養内のパートを探そうとハローワークに通いながら、失業手当も受給しました。正社員時代は残業続きだったため、健康管理がおざなりになっていたこともあって、ずっと気になっていた歯の治療や定期的な皮膚科クリニック通い、高額な人間ドックも予約。久々にじっくり身体のメンテナンスができる時間のゆとりもできて大喜びでした。健康管理も万全になったので、近い将来にはそろそろ二人の子どもも授かりたいなと夢ふくらんでいました。
そんな時に、先日、夫のAさんが加入している健康保険組合から会社経由で書類が届きました。見てみるとそこには、驚くべき内容が記載されていたのです。
「被扶養者資格再確認の結果、配偶者の収入が扶養判定基準を超えていたことが分かったため、遡って扶養を削除します。医療費高額療養費と給付金30万円ほど期日までに支払ってください」
妻のBさんは、働いていないのになぜと、訳がわからず呆然となってしまったのでした。
失業手当は社会保険上「収入」と見なされる
なぜこのようなことが起きたのでしょうか。
実は、退職後に前職の健康保険から傷病手当金や出産手当金を受給している場合や失業給付を受給している場合はそれらの手当等も含めて計算されることになります。妻のBさんの失業手当は社会保険上「収入」と見なされ、基本日額手当(失業手当の1日あたりの受給額)が基準を超えていたため、夫の扶養に入れなかったのです。
失業給付は、一般的に待機期間があるケースが多いため、退職後すぐに手続きすると、一旦は扶養に入れますが、その後失業給付を受け取る場合は、扶養から外す手続きが必要です。Aさん夫婦は妻のBさんが失業給付を受給した時点で、Bさんを扶養から外す手続きが必要でした。
定期的な「被扶養者資格再確認」で収入がチェックされる
健康保険の扶養は、扶養に加入する際に収入等を確認されますが、その後通常は1年ごとに状況が変わっていないか、扶養の再認定という調査が行われます。
以前は、扶養の再認定はあまり行われていなかったので、扶養に入ったら入りっぱなしで、後で収入を細かく見られることは正直なかったのですが、近年は健康保険組合の財政があまりよくない等の理由から、健康保険組合が定期的に扶養に入っている方の資格を確認するようになっています。
この扶養の再認定の結果、万が一、健康保険組合に遡って扶養から削除された場合には、扶養を削除された日から今まで健康保険組合が負担した分の医療費や支給済給付金の返還を求められます。なぜでしょうか。
通常、病院での窓口負担は、本来の医療費の3割しか払っていません。つまり、残りの7割を加入している健康保険組合が負担しています。そのため、遡って扶養を削除され扶養の対象でなくなれば、その期間の7割分を自ら負担することになるのです。風邪などで1回病院にかかった位ならまだいいのですが、持病があり、定期的に病院に通っている方や入院・手術などで高額に医療費が掛かった方は後日、大きな金額を請求されるケースがあります。
例えば、扶養の再認定が10月にあり、収入が130万円を超えていたため、その年の1月1日に、遡って扶養の認定を取消(遡及)されたとします。
ちょうどその年にたくさん病院へ通ったりして、病院の窓口で3割負担した金額の合計が年間で12万円ほどだった場合は、健康保険組合が7割負担分として年間28万円分を負担していたことになるため、本来負担しなくていいはずの30万円という金額が健康保険組合から請求されることになるのです。
前述したAさん夫婦のケースはフィクションですが、ある健康保険組合では、過去に医療費・高額療養費・付加給付金などを合計してなんと約99万円もの金額を返還することになった事例が実際にあったそうです。
過去の医療費分は戻ってこない可能性大
では、健康保険組合から30万円を請求された場合、この30万円をどこかに請求できるのでしょうか。
例えば、妻のBさんが今年の1月に遡って扶養から削除された場合、今度はその受け皿となるお住まいの市区町村の国民健康保険に加入する必要が出てきます。日本は国民皆保険制度であり、国民全員が何かしらの年金、医療保険制度に1日の空白も空けずに加入する必要があります。そのため、市区町村で手続きをすれば、国民健康保険の資格取得日も扶養から削除された今年1月1日まで遡って、加入手続きを取ることになります。
もちろん、遡って加入すればその分の保険料を支払う必要があるため、今度は今年1月1日からの国民健康保険料が請求されることになるわけです。
次に問題の30万円の医療費分ですが、国民健康保険は遡って保険料を取られますが、過去の7割負担分については、やむをえない事由がない限り遡って負担してくれないのが原則です。「そんなひどい話があるのか」と憤るAさん夫婦の嘆きの声が聞こえてきそうですが、これが現実なのです。
国民年金保険料も追納する必要がでてくる
Aさん夫婦の悲劇はさらに続きます。健康保険については、前述のとおりになりますが、実は国民年金についても第3号被保険者でなく、第1号被保険者で加入すべきところ、間違って加入していたことになります。
社会保険では健康保険上の扶養であれば、国民年金の第3号被保険者としてもみなすため、セットで取り扱います。妻のBさんについても、夫のAさんの健康保険の扶養申請と同時に国民年金の第3号被保険者になってしまっていたというわけです。したがって、今度は国民年金についても今年の1月まで遡って手続きする必要が出てきます。
国民年金の第3号被保険者については、保険料負担が一切なく、将来年金をもらえる制度ですが、第1号被保険者だったとなれば毎月保険料が発生してきます。ちなみに、国民年金第1号の保険料は、1万7510円(2025年度)です。したがって、例えば、2025年度1年分遡ることになれば、追加で21万120円(1万7510円×12ヶ月)もの負担が増えることになってしまうのです。
よく見落としがちな「通勤手当、残業代、賞与」の存在にも注意する
このような事態を避けるため、夫の扶養の範囲で働くために日頃から「年収130万円の壁」を意識して働くパート・アルバイトの方も多いでしょう。
昨今では、パート・アルバイトの方の社会保険加入要件が改正され、短時間労働者の方であっても会社の規模によっては新たに社会保険の被保険者となるケースがだんだんと増えています。
社会保険加入には、下記の「すべてを満たす」ことが要件とされています。
(1)従業員数51人以上の企業であること
(2)2ヵ月を超える雇用見込みの方
(3)週の労働時間が20時間以上(残業等は含めない)
(4)賃金が月額88,000円超(通勤手当、残業代、賞与等は含めない)
(5)学生でない
逆説的に言うと、パート・アルバイト先の社会保険に入りたくない方は、(1)~(5)を満たさなければ、今後も扶養の範囲で働くことができます。そのため、会社と話し合い、雇用契約の勤務時間を「週20時間未満」もしくは「月額賃金8.8万円以下」となるまで減らしている方もいると思います。
そのような方がよく見落としがちなのが「通勤手当、残業代、賞与」の存在です。契約上の賃金は月額賃金8.8万円以下であっても、残業代・交通費・賞与を含めて年収130万円を超えてしまえば、扶養から外れる手続きが必要となるため、注意が必要です。
最近では、パート・アルバイトも即戦力として夏と冬に高額の賞与を出す企業も増えてきています。扶養に入れるか入れないかのボーダーラインを把握していないと、医療費や保険料をあとから請求されるなど、大変な損をする恐れがあります。
【2025年改正】税制上の「103万円の壁」が「123万円の壁」へ
2025年の税制改正により、基礎控除と給与所得控除が引き上げられ、税制上の扶養基準が大きく変わりました。
【改正内容の概要】
基礎控除:48万円 → 58万円(10万円増)
給与所得控除:最低55万円 → 65万円(10万円増)
この2つの控除額の引き上げにより、所得税が課税されない年収の上限が103万円から123万円へと20万円引き上げられました。つまり、これまで「103万円の壁」と呼ばれていたラインが、2025年からは「123万円の壁」になったということです。
●配偶者控除・配偶者特別控除も変更
配偶者控除の対象となる配偶者の年収上限も、103万円から123万円に引き上げられました。また、配偶者特別控除で満額(38万円)の控除が受けられる年収上限も、150万円から160万円に拡大されています。
●新設された「特定親族特別控除」とは
19歳以上23歳未満の扶養親族(主に大学生)を対象とした「特定親族特別控除」も新設されました。この控除により、大学生のアルバイト収入が123万円から150万円の範囲でも、親は扶養控除(特定扶養親族)と同様の控除(63万円)を受けられます。150万円を超えても、188万円までは段階的に控除が減少するものの、控除を受けることができます。
●2025年改正の影響で働き方はどうなる?
これらの改正は2025年から施行のため、2025年末の年末調整から新しい基準が適用されることになります。
就業調整を行っている配偶者ありのパート女性は、雇用契約上の基本給等が扶養の範囲内(106万円ないし130万円)であれば、残業代を含めて123万円まで働くことが可能になります。これは、2026年以降も同様です。
つまり、所得税法上の扶養を考慮して103万円以下で就業調整していた方は、2025年は「あと20万円」、つまり123万円まで働けるようになったということです。
【2026年以降】社会保険の適用拡大が段階的に進む
税制改正だけでなく、社会保険についても大きな変化が予定されています。2025年6月に成立した年金制度改革関連法により、いわゆる「106万円の壁」が段階的に撤廃されることが決定しました。具体的には、次の予定です。
・2026年10月: 賃金要件(月額8.8万円以上)の撤廃
・2027年10月以降: 企業規模要件(従業員51人以上)の段階的撤廃
・2029年10月: 個人事業所の適用対象拡大
・2035年10月: 企業規模要件の完全撤廃目標
「週の労働時間が20時間以上」の条件は残るため、将来的には週20時間以上働くパート・アルバイトは、年収や企業規模に関わらず、原則として社会保険に加入することになります。厚生労働省は、この改正により新たに約200万人が社会保険の加入対象になると見込んでいます。
●新たな「週20時間の壁」が生まれる可能性も
106万円の壁が撤廃されると、今度は「週20時間以上働くと社会保険に加入する」という労働時間の要件が、新たな就業調整のラインになる可能性があります。週19時間30分勤務など、20時間未満に抑える働き方が増える可能性も指摘されています。
政府の年収の壁対策:「キャリアアップ助成金制度」と新たな取り組み
パートやアルバイトの方が手取りの減少を避けるために、年収130万円の壁を意識して労働時間を調整する傾向は根強くあります。しかし、政府は「年収の壁」を気にせず働ける環境を整えるため、さまざまな対策を進めています。その一環が「キャリアアップ助成金制度」です。
キャリアアップ助成金制度は、年収の壁を超えたことで社会保険が適用され、結果的に手取り収入が減少してしまう労働者を支援するものです。具体的には、企業が社会保険適用後の労働者に対し収入を増やす取り組み(昇給や手当の支給など)を行った場合、政府がその企業に助成金を支給します。これにより、労働者の負担軽減と収入増加を両立させることを目指しています。
さらに、年収156万円未満のパート労働者に対して、社会保険料の企業負担を増やす新たな仕組みも検討されています。この制度では、企業が労働者の給与に応じて社会保険料の負担割合を調整できるようになる予定です。
年収130万円超でも扶養にとどまれる場合がある仕組み
ただし、すべての企業が上記のような対策をすぐに導入するわけではありません。そのため、年収の壁を超えたくない方には、「事業主の証明による被扶養者認定の円滑化」という暫定的な仕組みも利用可能です。
パートやアルバイトの労働者が、繁忙期などで一時的に年収130万円を超えた場合でも、事業主(会社など)が「一時的な収入増加である」と証明すれば、健康保険組合などが認定し、扶養にとどまれる場合があります。(連続2回まで)
この仕組みは暫定的ですが、扶養範囲内で働きたいと考える方にとって心強い選択肢となるでしょう。
この仕組みにより、パート・アルバイトで働く人は一時的に年収130万円以上となっても国民年金・国民健康保険の保険料支払いの負担を回避できます。年末にかけての時期や繁忙期に「もっと働いてほしい」会社側と、「130万円以上になるから働きたくても働けない」パート・アルバイトのミスマッチを解消するために導入されました。
この仕組みの対象は、扶養されている主婦(夫)だけでなく、学生も対象です。
ただし、いくつか注意しておきたい点があります。
●(1)「一時的な収入変動」として認められる必要がある
一時的な収入変動とは、以下のような理由で、主に時間外勤務(残業)手当や臨時的に支払われる繁忙手当などが想定されています。
・ほかの従業員が退職したことで、当該労働者の業務量が増加した
・ほかの従業員が休職したことで、当該労働者の業務量が増加した
・業務の受注が好調だったことで、当該事業所全体の業務量が増加した
・突発的な大口案件により、当該事業所全体の業務量が増加した
ただし、「一時的な収入変動」の具体的な上限額は明らかになっていません。仮に上限を設けた場合、当該上限が新たな「年収の壁」となりかねず、一時的な事情によるものかどうかは収入金額のみでは判断が困難であるためです。
一方で、基本給が上がった場合や、恒常的な手当が新設された場合など、今後も引き続き収入が増えることが確実な場合は、一時的な収入増加とは認められないので注意が必要です。
●(2)「一時的な事情」の認定は連続2年まで
事業主の証明による被扶養者認定の円滑化は「一時的な事情」としての認定のため、同一の者について原則として連続2回までとなります。
社会保険の被扶養者の収入確認は、少なくとも年1回は保険者が確認し、被扶養者の要件を引き続き満たしていることを確認することが望ましいとされています。そのため、被扶養者の収入確認を年1回実施する場合は、連続2年までとなります。
●(3)フリーランス・個人事業主は対象外
厚労省によると、事業主の証明による被扶養者認定の円滑化は、あくまでも事業主の人手不足などによる一時的な収入変動を対象としています。
そのため、特定の事業主と雇用関係にない人は対象となりません。ただし、フリーランスや自営業者としての収入と、勤務先からの給与収入の両方がある場合、給与収入が一時的な収入変動で増加したことにより被扶養者の認定基準額を超えた場合は、対象になります。
扶養のままでいる場合のデメリットも考えよう
上記のような対策が整備されることで、年収の壁を意識せず働きやすい環境が広がることが期待されています。勤務時間を制限せずに働いてキャリアを積み重ねれば、扶養で免除される社会保険料や節税額をはるかに超える収入を得るチャンスにもつながります。
仕事に対する価値観は人それぞれなので、一概に何が正しいということはありませんが、長期的な視野で考えて、扶養から外れるかどうかを判断することも必要なのではないでしょうか。
扶養を外れるメリットには、次のようなものがあります。
(1)将来の年金が増える
厚生年金に加入することで、老後に受け取れる年金額が増えます。
(2)傷病手当金や出産手当金が受けられる
健康保険の被保険者になることで、病気やケガで働けなくなった時の傷病手当金や、出産時の出産手当金を受け取ることができます。
(3)雇用保険の失業給付が受けられる
一定の条件を満たせば、退職後に失業給付(基本手当)を受け取ることができます。
(4)キャリアアップの機会が広がる
年収を気にせずに働けるため、スキルアップや昇進の機会を積極的に追求できます。
扶養から外れる際の具体的な手続きの流れ
社会保険の扶養から外れる場合、以下の手続きが必要です。手順に沿って進めましょう。
(1)扶養者の勤務先へ連絡
扶養者の勤務先に速やかに連絡しましょう。被扶養者が扶養から外れることを企業の担当者に伝え、必要な書類を受け取ります。
(2)扶養者(異動)届の提出と承認
勤務先の指示に従い、「被扶養者(異動)届」を記入します。その他に必要な証明書類を揃えて、企業の担当者に提出してください。
企業は、提出された書類を年金事務所に送付します。その後、日本年金機構の承認を受けることで、扶養から外れる手続きが完了します。
(3)新たな社会保険への加入
扶養から外れた後は、被扶養者だった人が会社員になった場合には、勤務先を通じて社会保険に加入します。個人事業主などの場合には、市区町村役場で国民健康保険や国民年金の手続きを行います。
扶養から外れる手続きには、「社会保険被保険者資格取得届」と、年金手帳(基礎年金番号通知書)またはマイナンバーカードが必要ですので、用意しておきましょう。
なお、扶養者が所属する企業の担当者は、扶養から外れた日から5日以内に社会保険への加入手続きを進める必要があります。被扶養者自身も速やかに手続きを行うようにしましょう。これらの手続きを速やかに行うことで、スムーズに社会保険の切り替えが進みます。
面倒でも手続きを忘れずに
転職や転勤など、働き方や生活スタイルが変わる節目の時期は、何かとやることが多いものです。そんな中で、扶養に関する手続きはなんだか面倒で、つい後回しにして忘れがちです。
しかし、今回ご紹介したように、制度の要件から外れたことを知らずに放置してしまい、当たり前に恩恵を受けていると、突然あちこちから高額の請求がくることになってしまいます。扶養から外れていたことが後から分かっても「知らなかった」「忘れていた」では済まされないのです。
社会保険の扶養の基準については、会社の健康保険組合によって判断基準が異なることもあるので、いざという時に備えて、しっかりと規約などでルールを確認しておくことをオススメします。
扶養から外れる場合は速やかに手続きを
2025年は「年収の壁」をめぐる大きな転換点となる年でした。税制改正により103万円の壁が123万円に引き上げられ、さらに2026年以降は社会保険の適用範囲も段階的に拡大されます。また、「短時間労働者労働時間延長支援コース」などの新しい支援策も始まり、扶養の範囲を超えて働きやすい環境整備が進められています。
このような制度改正の流れの中でも、「扶養から外れているのに放置する」ことのリスクは変わりません。むしろ、制度が複雑化する分、より注意深い管理が必要になっています。
自分の働き方が扶養の要件を満たしているか、定期的に確認することを習慣づけましょう。そして、もし扶養から外れることになった場合は、速やかに手続きを行うことが何よりも重要です。
※本記事の内容は2025年12月時点の情報に基づいています。制度は変更される可能性がありますので、最新情報は必ず公式サイトでご確認ください。
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KIWI ファイナンシャルプランナー・社会保険労務士
長年、金融機関に在籍していた経験を活かし、個人のキャリアプラン、ライフプランありきのお金の相談を得意とする。プライベートでは2児の母。地域の子どもたちに「おかねの役割」や「はたらく意義」を伝える職育アドバイザー活動を行っている。
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