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24/07/03

相続・税金・年金

年金の不正受給はなぜ起こる?不正受給するとどんな罪に問われるのか

年金の不正受給が起こる理由は?不正受給するとどんな罪に問われるのか

本来年金を受給する資格がないのにもかかわらず、偽りその他不正の手段により保険給付を受けている状態を指す「年金の不正受給」。みなさんも、ニュースでその話題を耳にしたことがあるかもしれません。それが社会的に許されない行為であることは、だれもが認識していることですが、どのようなケースが不正受給とみなされてしまうのか、あまりよくわからないという人も多いはずです。
そこで今回は、不正受給が発生する背景や、その後に想定される事態を紹介するとともに、不正受給が疑われないためにみなさんが押さえておきたい年金受給上の手続きを解説します。

年金の不正受給が起こる理由(1):死亡届や所在不明届が出されていない

所在が不明もしくはすでに死亡している高齢者の存在が次々と明らかとなった「高齢者所在不明問題」を覚えている人もいるかもしれません。そのきっかけとなった2010年の東京都足立区の事件では、111歳で生存しているはずの男性が、実は30年以上前に亡くなっており、男性に支給されていた(遺族共済)年金を家族が長年だまし取っていたことが発覚しました。

●年金を受け取れるのは本人だけ

年金受給は、「一身専属」の権利であり、受け取れるのは本人だけであることが大原則です。つまり、年金受給者が亡くなると、その受給権は消滅することになります。

年金を受給している家族や親族が亡くなった場合、私たちは10日(国民年金は14日)以内に、年金証書などの添付書類とともに「受給権者死亡届(報告書)」を、年金事務所または街角の年金相談センターに提出しなければなりません。なお、日本年金機構に個人番号(マイナンバー)が収録されていれば、死亡届の提出は原則不要です。

●不正受給対策に力を入れる日本年金機構

足立区の事件が明らかになって以降、日本年金機構による不正受給対策はさまざまな角度から強化されてきました。1ヶ月以上所在が明らかでない年金受給者がいる世帯員に対して、「年金受給権者所在不明届」の提出が求められるようになったことも、その一つです。

ほかにも、現況届に住民票の添付またはマイナンバーの記入を求めるといった対策や、後期高齢者医療制度の医療給付を一定期間利用していない人の情報を活用した訪問調査なども行われています。そして、生存が確認できない場合には支給が一時差し止められるといった話は、みなさんも初耳かもしれません。

年金の不正受給が起こる理由(2):遺族年金の失権届が出されていない

遺族年金は、支給要件を満たして一度もらい始めれば、無条件に一生涯もらえると思っている人もいるようです。

しかしながら、遺族年金は、死亡以外の事由によって受給権がなくなるケースがあります。もしも次のような事由に該当する場合には10日(国民年金は14日)以内に、「遺族年金失権届」を提出しなければなりません。婚姻や養子縁組には「事実上の関係を含む」という点には、特に注意が必要です。

<「遺族年金失権届」の提出が必要なケース>

筆者作成

なお、遺族基礎年金は、子どもが18歳の年度末(重度の障害の状態にある場合は20歳)を迎えると、受給権がなくなりますが、この場合には「遺族年金失権届」の提出は必要ありません。

年金の不正受給が起こる理由(3):虚偽の診断書で障害認定を受けている

札幌で起きた「聴覚障害偽装事件」では、虚偽の診断書の内容に基づく障害年金の不正受給が行われ、2003年度から2008年度にかけて42人に支給されていた約1.7億円の障害年金がその後不正受給と認定されました。

障害年金では、はじめて障害の認定を受けるとき以外にも、障害の状態を定期的に確認するため「障害状態確認届」の提出が求められることがあります。また、年金給付の原因となっている障害の程度が軽くなった場合には、「障害不該当届」を出さなければなりません。

障害年金の不正受給も、第三者からの密告やマイナンバーの照会、実地調査によってすぐに発覚するだけに、必ず事実に基づいて報告を行うようにしましょう。

年金の不正受給が発覚するとどうなる?

年金の不正受給が発覚すると、次のようなことが起こります。

●5年以内の不正受給については返還が求められる

国民年金法や厚生年金法では、偽りその他不正の手段により給付を受けた者、つまり不正受給をした人に対して、国や実施機関は受給額に相当する金額の全部または一部を徴収することができるとされています。

返還の対象は、返還を求める時点から過去「5年」以内のもの。年金が支給された日の翌日から5年が経過していない分については、その間の利息も含めた金額を、国や実施機関から返還が求められることになります。

●年金の不正受給で詐欺罪などに問われることも

「不正受給が発覚したら返せばいいだけ」と思っていれば、それは大間違いです。

国民年金法では、偽りその他不正な手段により給付を受けた者は、3年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処すること、刑法に正条があるときは、刑法によることが定められています。年金の不正受給事件で最も問われるのは「詐欺罪(刑法246条)」です。つまり、その手口が詐欺罪に問われた場合、法定刑が10年以下の懲役である詐欺罪が優先されることになります。

最初に紹介した足立区のケースでも、年金を不正受給していた家族が詐欺罪で逮捕、起訴されました。さらに、札幌の「聴覚障害偽装事件」においても、事件を主導していたとされる医師や社会保険労務士のほか、仲介者、不正受給をしていた患者らが詐欺罪や虚偽診断書作成・行使の容疑で逮捕、起訴されています。改めて強調するまでもなく、厳しい刑罰を伴う年金の不正受給に手を染めるメリットは1つもないのです。

じぶんや家族の人生の節目では忘れずに年金の手続きを行おう

年金の不正受給は、いつかは白日の下にさらされます。今回は、不正受給を行っていた場合の返還ルールや、刑事罰に問われる可能性も解説をしましたが、みなさんがご自身の良心に従う限りは、過度に不正受給を恐れる必要はありません。そして、不正受給を疑われないためにも、親族が亡くなったとき、再婚したとき、ほかの年金支給が生じたときなど、ご自身や家族にとってのライフイベントがあったときには、忘れずに必要な手続きを行いましょう。そして、その後正しく処理がされているかまでしっかり確認を行うようにしましょう。

神中 智博 ファイナンシャルプランナー(CFP®︎)、1級DCプランナー

1992年宮崎県生まれ。関西学院大学会計大学院を修了後、NTTビジネスアソシエ西日本で、NTT西日本グループの決算や内部統制、DX等の業務に従事。2022年10月に兵庫県で独立系FP事務所ライフホーカーを開業し、現在に至る。NISAやiDeCoを活用した資産形成など、金融系に関する記事をオンラインメディアでも多数執筆。特に、現役世代が今日からできる老後資金対策に力を入れており、「老後不安バスター」として、だれもが老後に向けて自信を持てる社会を目指して奮闘中。
Twitter→https://twitter.com/lifehawker

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