24/05/22
学校の先生の給料は公立と私立で違う?一般企業との差はいくらか
「学校の先生」といわれると、年収が高く安定しているイメージを持つかもしれませんが、実際はどうなのでしょうか。また、公立の学校と私立の学校では、給料が異なるのでしょうか。
今回は、公立と私立の小・中・高等学校の教員の給料やボーナスがどれくらいか紹介。一般企業の会社員と比べて、年収に差があるのかも解説します。
公立学校の先生の給料について
まず、公立の小・中・高等学校の先生の給料はどれくらいか見ていきましょう。
文部科学省が3年に1度実施している「令和4年度 学校教員統計調査」によると、公立学校の月額平均給与は下記のようになっています。
●教員の月額平均給与(諸手当および調整額は含まず)
・公立小学校 32万2300円
・公立中学校 33万2000円
・公立高等学校 35万3200円
公立学校教員のボーナスは自治体ごとに決まっていますが、基本的には4.5ヶ月分です(2024年度の場合)。年間ボーナスを4.5ヶ月分として計算すると、公立学校の教員の年収は以下のようになります。
●教員の平均年収
・公立小学校 531万7950円
・公立中学校 547万8000円
・公立高等学校 582万7800円
なお、公立学校の教員には民間企業のような残業代がありません。これは、教員の仕事は単純に勤務時間で管理できるものではないと考えられているためです。残業代の代わりに「教職調整費」として、一律で給料月額の4%が支給されています。
ただし、教職調整費の割合が4%と定められたのは1971年のこと。当時と比べて現在は教員の労働時間が大きく延びており、4%だと全く割に合いません。長時間働いても残業代が出ないということもあり、教員希望者は年々減少し続けています。
深刻な教員不足に歯止めをかけるため、文部科学省は教職調整額を10%以上に引き上げる対策を立案。2025年の通常国会にて改正案が提出される予定です。
私立学校の先生の給料について
続いて、私立の小・中・高等学校の先生の給料について見ていきます。「令和4年度 学校教員統計調査」によると、私立学校の教員の月額平均給与は下記の通り。公立学校と比べて、数千円から数万円高い水準となっています。
●教員の月額平均給与(諸手当および調整額は含まず)
・私立小学校 35万6200円
・私立中学校 37万2000円
・私立高等学校 35万5300円
私立学校教員のボーナスは学校によって異なります。日本私立学校振興・共済事業団の調査によると、私立学校の平均賞与は小学校が約145万4000円、中学校が169万8000円、高等学校が143万9000円(2022年度)です。
これをもとに私立学校の教員の年収を計算すると、下記のようになります。小学校と中学校は私立、高等学校は公立のほうが高年収という結果になりました。
●教員の平均年収
・私立小学校 572万8400円
・私立中学校 616万2000円
・私立高等学校 570万2600円
なお、公立学校の教員には残業代がありませんが、私立高校の教員には一般企業の会社員と同じように労働基準法が適用されるため、残業代が出ます。しかし、実際のところは公立学校と同様に一定の教職調整額を支給している学校が多く、その金額は学校によって異なります。
一般企業との差はあるのか
国税庁の調査「令和4年分 民間給与実態統計調査」によると、2022年における民間企業の平均給与(給与+ボーナス)は、457万6000円でした。
最も年収が高い私立中学校と比べると年間158万6000円、最も年収が低い公立小学校と比べても74万1950円の差が。もちろん、個人差はありますが、学校の先生の平均年収は、一般企業の平均年収と比べて高い水準にあることがわかりました。
なお、民間企業の平均年収には、正社員(正職員)以外も含まれています。正社員(正職員)のみの平均年収は523万3000円、正社員(正職員)以外の平均年収は200万5000円となっています。
公立も私立も、学校の先生の給料は高め
一般企業の平均と比べて、学校の先生の給料は高いことがわかりました。特に私立中学校の年収は600万円超と高めの水準になっています。
ただし、公立学校には残業代がなく、私立も一定の教職調整費のみ支給している学校が多いため、労働時間に見合った収入ではないと感じる方も多いようです。教職離れを防ぐ目的で、公立学校の教職調整額を増やして待遇を改善する動きもありますから、今後どうなるか注目しておきましょう。
【関連記事もチェック】
・貧乏人は買うけど、お金持ちは買わないもの5選
・貧乏な人が頻繁に口にする5つの言葉
・「年金211万円の壁」を超えると手取りが急激に減るってほんと?
・年金を「月22万円」もらえる人の現役時代の年収はいくら?
・「金持ちから貧乏夫婦に転落」払ってはいけない5つのお金
木下七夏 Webライター
大学卒業後金融機関に勤め、個人のお客さま向けの営業を担当。退職後にFP2級を取得し、フリーライターに。FPで学んだ知識や金融機関勤めの経験を生かして、生活にまつわるお金の疑問を分かりやすく噛み砕いて解説する記事を作成している。
この記事が気に入ったら
いいね!しよう