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24/04/17

相続・税金・年金

「年金211万円の壁」を超えると手取りが急激に減るってほんと?

「年金211万円の壁」を超えると手取りが急激に減るってほんと?

「年収の壁」というと、パートやアルバイトで働く方などにある「106万円の壁」「130万円の壁」を思い浮かべる人もいるでしょう。いずれも、壁を超えると手取りが減ってしまう壁として知られています。
実は、65歳以上の年金収入だけで生活している夫婦2人世帯にも「211万円の壁」があることをご存じでしょうか。今回は、211万円の壁とはどんな壁なのかと、壁を超えることでどんな不利が生じるのかを解説します。

年金「211万円の壁」の計算方法

まずは、年金の211万円の壁について確認しましょう。なお今回は、夫婦2人世帯、どちらも65歳以上で公的年金をもらっている世帯という前提でお話しします。

211万円の壁とは、世帯主の年金収入が211万円以下、配偶者の年金収入が155万円以下であれば、住民税非課税世帯となり、社会保険料などの負担が少なくてすむ境目をいいます。

公的年金の収入は「雑所得」として所得税・住民税がかかります。税金を計算するときには、老後に受け取る公的年金収入から、自営業者でいう経費に該当する「公的年金等控除」を差し引きます。

公的年金控除の金額は、年金をもらう人の年齢や公的年金の収入金額によって区分されています。

<公的年金等に係る雑所得の速算表(令和2年分以後)>

国税庁のウェブサイトより

例えば、65歳以上の方の公的年金等の収入が110万円超~330万円未満の場合、控除額は110万円となります。もし、1年間の公的年金等の総額が110万円までなら「110万円(公的年金)-110万円(公的年金控除)=0(雑所得額)」になります。

また、公的年金が110万円を超えても、市区町村の条例で定める「非課税限度額」以下であれば、住民税(所得割・均等割)が非課税になります。
非課税限度額を計算するときは、以下の計算式を使います。

・扶養なし:非課税限度額=45万円
・扶養あり:非課税限度額=〔基礎控除(35万円)×世帯人数〕+31万円

なお、非課税限度額は住んでいる地域の「級地区分」によって異なります。級地区分というのは、物価が高い地域の順番で1級地・2級地・3級地と定められています。
お住まいの地域の級地は、厚生労働省のウェブサイトで確認できます。

次に、夫の年金収入が211万円、妻の年金収入が155万円の場合を例に、雑所得を計算してみましょう。

【夫の雑所得額の計算】
・211万円(公的年金)-110万円(公的年金控除)(ア)=101万円
・非課税限度額=基礎控除(35万円×2人)+31万円=101万円(イ)
・211万円(公的年金)-110万円(ア)-101万円(イ)=0(雑所得)

【妻の雑所得額の計算】
・155万円(公的年金)-110万円(公的年金控除)(ウ)=45万円
・非課税限度額=45万円(エ)
・155万円(公的年金)-110万円(ウ)-45万円(エ)=0(雑所得)

これより、夫婦ともに「雑所得=0」となります。
夫と妻どちらも雑所得がゼロですので、ともに住民税非課税対象者であり、住民税非課税世帯となります。この場合、性別は関係ないため、夫と妻の年金額が逆でも同様に考えます。
なお、年金の収入は、国民年金や厚生年金、共済年金だけが対象になるのではなく、国民年金基金、厚生年金基金、確定拠出年金、個人型(iDeCo)、小規模企業共済などの年金も合計します。

年金受給者の住民税非課税限度額の211万円の壁は、お住いの地域により若干異なります。「211万円の壁」は、1級地に住んでいる場合です。2級地であれば「203万円の壁」、3級地であれば「193万円の壁」に変わりますので注意しましょう。

住民税非課税世帯になると健康保険料や介護保険料の負担が減る

年金収入が211万円の壁を超えないことで、住民税非課税世帯になった場合のメリットとしては、健康保険料や介護保険料の支払いが軽くなることが挙げられます。実際にどのくらい違うのか2024年度の江戸川区の例で試算してみましょう。
なお、以下は2人世帯・夫婦ともに収入は公的年金のみという前提で計算しています。

【事例1】
・夫67歳:211万円・妻67歳:110万円の場合
・国民健康保険料:32万4100円
・介護保険料  :8万5680円
・合計額    :40万9780円

【事例2】
・夫67歳:212万円、妻67歳:110万円の場合
・国民健康保険料:32万5040円
・介護保険料  :16万1040円
・住民税    :5000円
・合計額    :49万1080円
江戸川区国民健康保険シミュレーション・介護保険のページより筆者作成

事例1と事例2の違いは、夫の年金収入が211万円か212万円かのみです。しかし、この1万円の違いによって合計額の差額は8万1300円です。理由は、介護保険料の負担額に大きな違いがでるためです。老後の年金額が1万円増えることで、1年間に負担する社会保険料が約8万円増加するのですから、手取り額は差し引き7万円程度減ってしまうのです。

なお、今回の試算は、江戸川区での結果となります。お住いの自治体ごとに保険料に違いがありますので、詳細は担当窓口にてご確認をお願いいたします。

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住民税非課税世帯のメリット

住民税非課税世帯になると、上記のような社会保険料(国民健康保険料・介護保険料)以外に以下のメリットがあります。

●高額療養費の自己負担が減る

高齢になり病気にかかれば高額な医療費が必要になることがあるでしょう。その際、一定額以上を負担した場合に医療費の一部が支給される「高額療養費制度」において、住民税非課税世帯は自己負担額の上限が低くなります。

●高額介護サービス費の自己負担額が減る

高齢になり認知機能が衰えたり、身体の機能に支障をきたしたりすれば、介護保険制度の介護サービスを受けることになります。その際の介護サービス利用料は、所得区分に応じて1カ月の自己負担限度額が決まっており、その限度額を超えると、申請することで超えた分が「高額介護サービス費」として払戻しを受けられます。住民税非課税世帯であれば、通常よりも限度額が低く設定されています。

●NHK受信料が免除(障害者がいる住民税非課税世帯が対象)

身体障害者、知的障害者、精神障害者がいる世帯で住民税非課税となっている世帯については、NHK受信料が全額免除になります。

●予防接種が無料

インフルエンザ等の予防接種が免除される場合があります。自治体ごとに事前申請が必要な場合、接種時に証明書類が必要な場合があります。

●介護施設で「居住費と食費の減免」が受けられる場合がある

本人及び同一世帯全員が住民税非課税で、預貯金などの合計額が基準額以下であれば、介護護施設に入居した場合、住居費、食費が減免になることがあります。

しかし、住民税非課税世帯でなくなると、これらのメリットが受けられなくなりますので、「手取りが7万円程度減る」以上に損だと感じられる方もいるでしょう。

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壁を超えて働くことも考えよう

今回は、年金収入の211万円の壁について紹介しました。年金収入の手取りを増やすため、一定額以下という境界を意識することは大事なことかもしれません。しかし、その壁ばかりをみていても、気持ちは豊かになるでしょうか。やりがいのある仕事をして、収入を増やした方が、人との交流も生まれますし、気持ちに張りができるでしょう。

もしかしたら、将来、211万円の壁の見直しがあって、境目となる所得が引き下げられるかもしれません。そうなれば、今まで負担しなくて良かった社会保険料などが上乗せになり、手取り額が減ってしまいます。老後、やりたいことを我慢せず、活き活きと生きるには、どの程度の収入を得たらよいかを考えましょう。

舟本美子 ファイナンシャルプランナー

「大事なお金の価値観を見つけるサポーター」
会計事務所で10年、保険代理店や外資系の保険会社で営業職として14年働いたのち、FPとして独立。あなたに合ったお金との付き合い方を伝え、心豊かに暮らすための情報を発信します。3匹の保護猫と暮らしています。2級ファイナンシャル・プランニング技能士。FP Cafe登録パートナー

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