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23/10/21

資産運用・経済

新NISAで増配株投資!どんな銘柄がある?選び方は?

新NISAで増配株投資!どんな銘柄がある?選び方は?

株式投資で手に入る利益には、大きく分けて値上がり益・配当・株主優待の3つがあります。このうち配当は、会社が稼いだ利益の一部を株主に配分することをいいます。この配当を出す銘柄の中には、配当金を増やしてくれる「増配株」があります。増配株を持っているだけで、もらえる配当金がどんどん増えたら、嬉しいですよね。今回は、増配株の特徴と主な銘柄、増配株の選び方を紹介します。

会社が配当金の金額を増やす「増配」

会社が配当金の金額を増やすことを「増配」といいます。増配は、主に株主還元のために行われます。配当金を増やせば、自社に投資してくれた株主たちに喜んでもらえて、さらに投資をしてくれるかもしれません。また、増配をすると、会社の業績が好調だと他の投資家にアピールすることもなるので、新たな投資家が増え、株価が上昇するかもしれません。実際、増配のニュースは市場ではプラスの材料とらえられています。

さらに、長年にわたって毎年配当金の金額を増やしている銘柄を連続増配株といいます。文字どおり、連続で増配を続けているので、連続増配株を長期間保有することで、年々もらえる配当金の金額が増えていきます。
配当金狙いの投資は、値上がり益を狙う投資に比べると地味ですし、一気に大きく稼ぐことはできません。しかし、連続増配株を持っていれば、お金を堅実に増やしていく期待ができる、というわけです。

連続増配株にはどんな銘柄がある?

日本株の連続増配株には、次のような銘柄があります。

●主な連続増配株(日本株)

(株)Money&You作成

日本株の連続増配株としてよく知られているのが花王(4452)です。なんと33年連続増配中と、2位以下を圧倒しています。本稿執筆時点(2023年10月13日)では、2023年度の配当金予想が1株当たり150円となっています。2022年度の配当金は1株当たり148円でしたので、実現すれば34年連続増配となります。

そのほかにも、20年以上増配を続けている会社もいろいろ。20年前からというと、リーマンショック(2008年)で市場が低迷していたときでも増配を続けていたのですから、すごいですよね。

本稿執筆時点(2023年10月13日)で、10年以上連続増配している銘柄で絞ると、およそ130銘柄あります。たとえばこんな銘柄も連続増配株です。なお、データは2023年10月13日時点のものです。

●アステラス製薬(4503)

国内2位の医薬品メーカーで、がんや白血病などの治療薬を開発、グローバル展開しています。アステラス製薬は12年連続で増配中です。2022年3月期は1株当たり50円だった年間配当を2023年3月期は60円と、10円の増配を行いました。さらに、2024年3月期は年間配当の予想を70円としています。
配当性向(後述)は2023年3月期こそ110.6%と高くなっていますが、2024年3月期の予想は55.4%となっています。そのうえ1株当たり純利益も54.24円から67.08円と増加しています。

●NTT(9432)

NTTグループの持株会社で、スマホの「ドコモ」や固定電話、光回線などでおなじみですね。NTTも13年連続で増配を実施しています。営業利益も右肩上がりですし、配当性向も30%〜40%台で推移。2023年には1株を25株に分割する株式分割を実施したことで株価が100円台となり、投資しやすくなっています。

●主な連続増配株(米国株)

(株)Money&You作成

日本株以上に連続増配株が充実しているのが米国株です。米国株は日本株よりも株式還元に積極的です。日本の配当は年2回が一般的ですが、米国は多くの会社が年4回配当を出しています。そのうえ、60年以上増配を続けている会社もたくさんあります。こうした銘柄に投資しておけば、堅実にお金を増やせる可能性がある、というわけです。

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増配株のチェックポイントは?

しかし、「連続増配株は安泰そうだから、上の銘柄に投資しておけばいいか」というほど増配株投資は簡単ではありません。そもそも、配当は会社が稼いだ利益の一部です。したがって、いくら連続増配株であっても、会社の業績が悪くなってしまっては、増配がストップしたり、場合によっては配当を減らす「減配」や、配当をなくす「無配」などを行ったりする可能性があります。増配はポジティブなニュースですが、減配や無配はネガティブなニュースです。よく吟味してから投資しないと、思うような配当金が得られないばかりか、株価の値下がりによって損失まで抱えてしまうことにもなりかねません。

ですから、増配株を選ぶ際には
・売上高や営業利益が大きいか
・営業利益率や経常利益率が高いか
・借金が少ないか
といったポイントをチェックして、「好業績か」「財務は健全か」を確認しましょう。

加えて、次のようなポイントもチェックしておきましょう。

●配当性向が30%〜50%程度に収まっているか

配当性向とは、会社が利益(当期純利益)のうちどのくらいを配当金の支払いにあてたかを示す指標です。「1株当たり配当額÷1株当たり純利益(EPS)×100」で計算されます。
配当性向が高ければ高いほど、多くの利益を株主に還元していることを表します。反対に、配当性向が低い会社は、株主への利益還元も少ない、というわけです。

ただし、配当性向が低いことが悪いこととはいいきれません。会社の利益は、株主に還元するだけでなく、会社の事業の拡大に使ったり、いつでも使えるように貯めておいたりすることにも使います。配当性向が高すぎる銘柄は、今後の成長の余地が少ないと懸念されるのです。特に、業績が悪いにも関わらず、配当性向が100%を超えるような会社の配当は、長続きしないでしょう。

配当性向の目安は、おおよそ30%〜50%程度に収まっていること。株主への利益還元をしつつ、今後の会社の成長も見据えている会社が望ましいでしょう。

●1株当たり純利益(EPS)が上がっているか

配当性向の計算式にも出てきた1株当たり純利益(EPS)は、1株でどれだけの利益を上げているのかを表す指標です。「当期純利益÷発行済み株式総数」で計算されています。EPSが高いほど、会社の収益性が高く、効率よくお金を稼ぐことができると判断されます。また、EPSが上がっているということは、利益が増えているということでもあります。

EPSも、売上や利益と同様、過去5年程度、堅調に上がっているかを確認しましょう。長く投資する増配株ですから、年々上がっていることが大切です。

●現金(キャッシュ)があるか

配当金の元手は現金(キャッシュ)ですから、会社に現金があるかをチェックすることも大切です。決算短信の「現金及び現金同等物」の欄を見ると、会社に現金がいくらあるかがわかります。現金が年々増えている会社のほうが、配当がなくなるリスクが少ないでしょう。

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新NISAの「成長投資枠」で増配株を買おう

配当金を増やしてくれる「増配株」を紹介してきました。増配が続けられる会社は、利益を堅実に出し続けられる優良な会社だと考えられます。ぜひ、業績や投資のポイントをチェックしてみてくださいね。

なお、増配株を買うならば、2024年から始まる新NISAの成長投資枠がおすすめ。新NISAで保有していれば、いつまでも配当金にかかる税金をゼロにできるからです。増配株にじっくり投資して、資産形成を進めましょう。

*本記事で紹介した個別の銘柄については、あくまでも参考として申し述べたものであり、その銘柄の株式等の売買を推奨するものではありません。投資は自己責任でお願い致します。

畠山 憲一 Mocha編集長

1979年東京生まれ、埼玉育ち。大学卒業後、経済のことをまったく知らないままマネー本を扱う編集プロダクション・出版社に勤務。そこでゼロから学びつつ十余年にわたり書籍・ムック・雑誌記事などの作成に携わる。その経験を生かし、マネー初心者がわからないところ・つまずきやすいところをやさしく解説することを得意にしている。2018年より現職。ファイナンシャル・プランニング技能士2級。教員免許も保有。趣味はランニング。

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