22/08/10
意外と知らない人が多い医療機関の「割増料金」がかかる場合
急な病気やケガをした時、休日や夜間に診察してくれる医療機関は本当に心強い存在です。けれども、診察後のお会計で「こんなに高いなんて…!」と絶句した経験がある方もいるのではないでしょうか。医療機関の医療費は、休日や時間外に割増料金がかかる場合があるのです。医療機関の割増料金はどのような場合に加算されるのか、割増料金の金額はいくらか、ご紹介します。
医療機関の時間外受診は割増料金がかかる
医療機関を休日や夜間などの診療時間外に受診した場合には、割増料金がかかります。
●医療機関の診療時間外の割増料金
全国健康保険協会のウェブサイトより
医療機関を診療時間外に受診するとき、初診の場合は、早朝や18時以降などの「時間外加算」で+850円、日曜や祝日受診などの「休日加算」で+2500円、22時~6時の「深夜加算」では+4800円の割増料金となります。救急病院にかかった場合には時間外加算で+2300円、休日加算で+2500円と更に高くなります。
再診であれば、初診よりは多少リーズナブルですが、それでも時間外加算+650円(救急+1800円)、休日加算+1900円、深夜加算+4200円と、やはり通常時より大幅にかかります。また、保険薬局も割増。時間外加算はありませんが、休日加算では通常の1.4倍、深夜加算では2倍の金額となります。
医療機関の割増料金には健康保険が適用されるため、たとえば初診の休日加算の割増料金も3割負担ならば750円です。しかし、平日の時間内に医療機関を受診していれば払わずに済んだお金でもあります。
もちろん、急な病気やケガの場合には医療機関を受診した方が安心ですが、救急などは専門医がいるとは限りません。割増料金が大きくかかるのにもかかわらず、医療機関を受診しても経過観察となることもあるようです。
状況にもよりますが、むやみに時間外診療で医療機関を受診するより、かかりつけ医の診療時間まで待って受診する方が結果的に安心できるケースもあります。医療機関の受診を考える際には、時間外でも診てもらうべきなのか、待機しても大丈夫なのかを考えるとよいでしょう。
医療機関の診療時間内でも割増料金がかかる場合が
医療機関の時間外診療に割増料金がかかることをお話ししてきましたが、実は医療機関の「診療時間内」でも割増料金が加算されてしまうケースがあるのです。
たとえば、夜間・早朝・休日も開いている診療所(ベッド19床以下のクリニックや医院)を受診したり、夜間・早朝・休日も開いている保険薬局で薬を調剤したりした場合、割増料金がかかる場合があります。
●医療機関の診療時間内の割増料金
全国健康保険協会のウェブサイトより
夜間・早朝・休日も開いている診療所の場合、夜間・早朝の加算で+500円、夜間・早朝・休日も開いている保険薬局の場合、夜間・休日の加算で+400円となっています。平日も休日も開いているからといって、いつも同じ金額ではない、ということです。
医療機関を「夜の方が空いてるから」「仕事が休みの日に行けばいいや」と夜間や休日に利用すると、思わぬ割増料金を支払う羽目になってしまいます。時間が許すのであれば、割増料金の加算なしの平日昼間に医療機関を受診することをおすすめします。
「紹介状なし」での大病院受診にも割増料金がかかる
紹介状なしで大病院を受診すると、診察料とは別に「選定療養費」として、割増料金がかかります。選定医療費は、初診では5000円以上(歯科は3000円以上)、再診では2500円以上(歯科は1500円以上)で、医療機関ごとに違います。しかも、選定医療費は全額自費負担しなくてはいけません。
大きな病院にかかりたい時には、事前にかかりつけ医を受診し、紹介状を書いてもらうようにしましょう。
保険薬局によって調剤基本料が異なる場合も
保険薬局も時間によって割増料金がかかることは上でもお話ししましたが、保険薬局によっては調剤基本料が異なる場合もあります。
保険薬局の調剤基本料は、
・病院の敷地内にある薬局(門内薬局)…70円
・チェーン店の薬局…160円・210円・320円(処方箋の受付回数や店舗数で異なる)
・病院の前にある薬局(門前薬局)…260円
・街の中にある一般的な薬局(門外薬局)…420円
となっています。
ただし、どの保険薬局の調剤基本料がいくらなのかは、外から見ただけでは判断が難しいのが現状です。院内の保険薬局で薬を処方してくれる病院をかかりつけ医にする、なるべく大手チェーンの薬局を選ぶなどすることで、調剤基本料を抑えることができるでしょう。
まとめ
誰にとっても健康は大切です。それゆえ医療費は、他の費用と違って節約を考えることは少ないかもしれません。しかし、割増料金を気にせず医療機関を受診しているようであれば、意外と無駄にかかってしまっているかもしれません。節約したことで健康に影響を及ぼすのであればいけませんが、そうでなければ、医療機関の無駄な割増料金は削減すべきでしょう。医療機関の使い方を少し見直せば節約できるのが医療費です。ぜひ、参考にしてみてください。
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城山ちょこ ライター
東京海上日動火災保険出身。慶応大学院SDM研究科修了。
2013年よりライターの道へ。執筆ジャンルは金融(保険)、働き方、子育て、結婚など女性のライフスタイル全般。2児の子育てと仕事の両立に日々奮闘中。丁寧でわかりやすい記事をモットーとしています!
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