22/08/02
都道府県で大きく違う!都道府県別の国民年金・厚生年金の受給額の実態
将来年金がいくらもらえるのか気になる人も多いのではないでしょうか。実は、将来もらえる年金の受給額は、都道府県によって大きく違っています。今回は都道府県別の国民年金・厚生年金の平均受給額を紹介します。
国民年金・厚生年金の全国平均はいくら?
日本の公的年金には、国民年金と厚生年金があります。日本に住んでいる20歳以上60歳未満のすべての人が加入するのが国民年金です。一方、会社員や公務員が加入でき国民年金に上乗せになるのが厚生年金です。
わたしたちは原則として65歳から年金をもらうことができます。
会社員や公務員は、厚生年金を通じて国民年金にも加入しているため、老後に国民年金と厚生年金の両方をもらえます。一方、フリーランスや自営業者、専業主婦といった、会社員・公務員以外のの方は厚生年金に加入していないので、老後の年金は国民年金のみとなります。
厚生労働省の「令和2年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、国民年金の全国平均は5万6358円、厚生年金の受給額(国民年金を含む金額)は14万6145円となっています。
国民年金の都道府県別平均受給額はいくら?
国民年金・厚生年金の全国平均は上で述べた通りであるものの、実は都道府県により国民年金・厚生年金の平均受給額は違います。
国民年金の都道府県別平均受給額をまとめ、金額の多い順にランキングにまとめると、次のようになります。
●都道府県別・国民年金の受給額ランキング
厚生労働省「令和2年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」より筆者作成
1位は富山県で5万9949円でした。2位は福井県、3位は島根県となっています。一方、最下位は沖縄県で5万2206円です。もっとも、富山県と沖縄県を比較しても7743円しか差がありません。
国民年金の受給額は20歳から60歳までの40年間(480ヶ月)のうちいくら国民年金保険料を納めたかによって決まります。国民年金保険料を40年間すべて納めた場合の「満額」は一律ですので、大きな差は生じません。国民年金の受給額の差は、国民年金保険料を未納にしている期間があることや、収入の減少・失業等により国民年金保険料を全額免除・一部免除されている期間があることによって生じています。
厚生年金の都道府県別平均受給額はいくら?
では、厚生年金の都道府県別平均受給額はどうでしょうか、国民年金同様、金額の多い順にランキングにまとめると、次のようになります。
●都道府県別・厚生年金の受給額ランキング
※国民年金を含んだ金額
厚生労働省「令和2年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」より筆者作成
1位は神奈川県で16万6270円です。2位は千葉県、3位が東京都と首都圏が上位を独占しています。それに対して、最下位は青森県の12万2189円です。1位の神奈川県と47位の青森県では4万4081円のもの差があります。
厚生年金の金額は基本的に、厚生年金への加入期間が長く、現役時代の収入が多いほど増えます。そのため、人により金額が大きく変わってきます。住んでいる地域によって賃金の水準は変わるため、厚生年金の金額も上位に首都圏が占める傾向にあると考えられます。
首都圏はもらえる年金が多い一方で、家賃や食費などの生活費も高くなりがちです。ですから、厚生年金の金額が一概に生活の裕福さと比例するものではありません。しかし、神奈川県と青森県の差は年間約53万円もあります。決して無視できない、大きな差ではないでしょうか。
まとめ
生命保険文化センター「生活保障に関する調査」(令和元年度)によると、夫婦2人で老後生活を送る上で必要と考えられている「最低日常生活費」は月額平均22.1万円と言われています。仮に夫が厚生年金の平均額、妻が国民年金の平均額をもらったとしても、なお1万9000円近く不足する計算です。また、お住まいの都道府県の国民年金・厚生年金の平均を見て「年金額が思ったよりも少ない」と思われた方もいるかもしれません。
少しでも不安になったなら、まずは自分の年金額を確認しましょう。毎年誕生日ごろに届く「ねんきん定期便」や、日本年金機構の「ねんきんネット」などで、自分自身が将来受給できる年金額をチェックしましょう。そして、老後に備えたいと考えるのであれば、iDeCoやNISAなどで足らない分を準備しておくとよいでしょう。
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渡部ナオコ ファイナンシャルプランナー
大学卒業後から現在まで金融業界一筋のアラサーワーママ。結婚・出産・子育て・マイホーム購入などの自身の経験から、一人でも多くの女性の悩みを解決したいと思い執筆を開始。
プライベートでは一人娘の育児に奮闘中。
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