22/06/28
60代以降にもらえる3つの「高年齢給付金」 金額やもらえる条件の違いは
60代以降の方が年金のほかにもらえる給付金として、「高年齢雇用継続基本給付金」「高年齢再就職給付金」「高年齢求職者給付金」があることをご存知でしょうか?それぞれ、どんな給付金なのか、もらうための条件や金額についてご紹介します。
高齢者雇用の収入減を補う3つの給付金
2017年に雇用保険法が改正され、65歳以上の人も雇用保険に加入することができるようになりました。さらに、2021年の改正高年齢者雇用安定法では、70歳までの就業機会確保が企業の努力義務とされました。
人生100年といわれる時代になり、65歳以上でも働いている方は多くいらっしゃるかと思います。皆さまご自身もライフプランを考えた時に65歳以降も働こうと考えたことがあるのではないでしょうか。
ただ、現役世代と同じように働けるかというとそうではないかもしれません。心配なのは、給与額が下がってしまうことですよね。そのような時に、知っていると助かる給付金制度があります。「高年齢雇用継続基本給付金」「高年齢再就職給付金」「高年齢求職者給付金」の3つの給付金について、ひとつずつ見ていきましょう。
再雇用の給与減少でもらえる「高年齢雇用継続基本給付金」
高年齢雇用継続基本給付金は、高齢を理由として給与額が下がってしまった場合に支給される給付金。高年齢雇用継続基本給付金は、60歳以降の給与額が60歳時点の給与額と比べて75%未満に下がってしまった場合に支給されます。定年後に同じ会社に再雇用されたとしても、給与額が下がってしまう方が多くいらっしゃるかと思いますが、そのような際に活用されることを想定した制度です。
●高年齢雇用継続基本給付金の受給条件
・60歳~65歳で雇用保険に加入していること。
・原則として過去5年以上、同じ企業に勤めていること。
・60歳以降、再雇用などで給与額が60歳時点の「75%未満」に下がったこと。
●高年齢雇用継続基本給付金の給付金額
実際に支払われた給与額と60歳時点での給与額とを比べて以下の計算式に当てはめて計算されます。
・61%以下→支払われた給与額×15%
・61%~75%未満→支払われた給与額×0~15%
【賃金の低下率と支給率】
厚生労働省のウェブサイトより
●高年齢雇用継続基本給付金がもらえる期間
・60歳に達した月から65歳に達した月まで。
再就職の給与減少でもらえる「高年齢再就職給付金」
高年齢再就職給付金は、一度退職をして、雇用保険の基本手当(いわゆる失業給付)を受給し、60歳以上で再就職をしたときに要件を満たすと支給される給付金です。高年齢再就職給付金は、たとえば定年退職をした後に別の企業で再就職をしたものの、前職と比べて給与が下がってしまった際に活用されることを想定した制度です。
●高年齢再就職給付金の受給条件
・60歳~65歳で雇用保険に加入していること。
・原則として過去5年以上同じ企業に勤めていること。
・離職し、再就職するにあたって基本手当の支給を受けたこと。
・基本手当の支給日数を100日以上残して再就職したこと。
・1年を超えて雇用されることが確実な、安定した職業に就いたこと。
・再就職して給与額が以前の「75%未満」に下がったこと。
●高年齢再就職給付金の給付金額
実際に支払われた給与額と60歳時点での給与額とを比べて以下の計算式に当てはめて計算されます。
・61%以下→支払われた給与額×15%
・61%~75%未満→支払われた給与額×0~15%
●高年齢再就職給付金がもらえる期間
基本手当の残日数によって期間が異なります。
・残日数が200日以上→再就職の翌日から起算して「2年」を経過する日の属する月まで。
・残日数が100日~199日→再就職の翌日から起算して「1年」を経過する日の属する月まで。
65歳以上の失業給付のような「高年齢求職者給付金」
離職して、失業の状態となってしまった場合に、雇用保険の基本手当(いわゆる失業給付)を受け取ることができます。この基本手当の1つに「高年齢求職者給付金」があります。
高年齢求職者給付金は、65歳以上の雇用保険加入者が失業状態の際にもらえる給付金です。
●高年齢求職者給付金の受給条件
・離職をした日よりも前1年間に雇用保険の被保険者であった期間が通算して6か月以上あること。
・失業の状態にあること。
●高年齢求職者給付金の給付金額
雇用保険の被保険者であった期間に応じて以下の日数分の支給となります。日額は、離職の日の直前6か月間の毎月決まって支払われる賃金の1日当たりの額を、所定の基本手当の計算方法で計算します。
・被保険者であった期間が1年未満→30日分
・被保険者であった期間が1年以上→50日分
●高年齢求職者給付金がもらえる期間
離職した日の翌日から1年間。
ただし、給付を受けるまでにはハローワークにて離職票を提出し求職の申し込みを行ってから7日間の待機期間があります。また、自己都合での退職の場合には、この7日間の待機期間に加えて2か月間の給付制限があります。
まとめ
以前は60歳で定年退職を迎え、それ以降はセカンドライフ…が主流でしたが、今では、定年退職をした後も再雇用・再就職などで働き続けることが一般的となりつつあります。年金受給の年齢が徐々に引き上げられていることからも、働く期間は長くなっていることがわかります。
60代以降、給与が下がっても働き続けたいと考える方が多くなってきましたが、やはり今までと収入が変わるのには不安がありますよね。そんなときに、今回紹介したような高年齢給付金の給付制度をぜひ活用しましょう。
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小塚歩 ファイナンシャル・プランナー(CFP®)
大手証券会社、IRリサーチ会社を経て、ファイナンシャル・プランナーとして独立。FP事務所 まいまねい 代表。人生100年時代だからこそ、もっと金融を身近に感じてほしく、セミナー活動を通して、金融リテラシーや金融教育を広めるセミナー講師。得意分野は投資・金融資産運用。
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