22/05/02
年収350万円たっぷりお金を貯めたいなら、この仕組みを構築せよ
「お金が貯まらない…」と悩みを抱える方はたくさんいます。「年収が少ないし仕方ない」といわれる方もいますが、そんなことはありません。お金は、お金が貯まる仕組みを作り、実践していくことで、誰でも貯めていくことができます。
今回は、年収350万円・お金が貯まらない方に向けて「お金が貯まる仕組み」の作り方を解説します。
お金を貯める方法は「たった3つ」しかない
お金を貯めるためにできることは実にさまざまあるのですが、それらの方法を突き詰めて考えると、たった3つにまとめられます。
●お金を貯める方法①収入を増やす
・給料を上げる
・給料の高い会社に転職する
・副業する など
●お金を貯める方法②支出を減らす
・家計を見直す
・無駄遣いを減らす
・税金を節約する など
●お金を貯める方法③お金に働いてもらう
・お金が増えるところに預ける(投資する)
お金を貯める方法で、最優先するのは「支出を減らす」です。「収入を増やす」ではありません。仮に1万円給料が増えても、そこから税金や社会保険料が引かれるので、手取りは1万円増えないからです。そもそも収入を増やすことは簡単ではありません。
しかし、支出は工夫次第で下げることができます。支出の削減は今日からでもすぐに始められますし、即効性があります。仮に1万円支出を削減できれば、その1万円は丸ごと他のことに使えます。ですから、お金を貯める方法として最優先するべきは、支出の見直しです。
お金を貯める方法として、次に考えるのは「お金に働いてもらう」、つまり投資です。支出の見直しをしてお金が貯まるようになっても、預貯金だけではお金は増えません。お金が貯められるようになったら、お金をより増えるところに預けることを考えていきます。
そして「収入を増やす」ですが、収入を増やすには相応に時間がかかります。スキルを身につける、キャリアアップする、転職するなどして、時間をかけて収入のベースを上げていくことを考えていきましょう。
お金を貯めるには「支出の見える化」がポイント
支出の削減をする際に取り組みたいのが、支出の「見える化」です。一口に「節約する」といっても、何でもかんでもお金を使わないようにするのは不可能です。支出の中にある不要な支出を探し出しましょう。
原始的なやり方は、レシートや領収書をまとめて集計する方法。大まかに「食費・交際費」「固定費(家賃・通信費・光熱費など)」「その他」の3つ程度に分け、1000円単位でざっくりと確認。支出の傾向をつかみます。さらにレシートを見直し、必要な支出には○、不要な支出には×、あいまいな支出には△をつけ、次回から×の支出をやめます。×の支出がなくなったら△もやめていきます。こうして削ったお金を貯蓄に回していくのです。
また、支出の管理はスマホの家計簿アプリでもできます。おすすめは「マネーフォワードME」です。
●マネーフォワードMEで家計管理を自動化
著書「1日1分読むだけで身につくお金大全100」より
マネーフォワードMEでは、スマホのカメラでレシートを撮影するだけで支出が記録できます。また、銀行・クレジットカード・証券会社など2600ものサービスと連携しており、お金の出入りを自動的に記録できます。
さらに、記録した入出金の履歴を自動で分類して表示したり、収入や支出から家計簿を自動で作成したりすることもできます。レシートや領収書の集計よりも手軽に、わかりやすく支出の見える化ができるでしょう。支出の見える化ができたら、あとは削れるところから削っていけばOKです。
支出は「固定費」から削ろう! ラテマネーには特に注意
支出には、変動費と固定費の2つがあります。変動費は食費・交際費・被覆費など、やりくり次第で支払額が変わる支出、固定費は家賃・通信費・光熱費・保険料など、毎月の支払額が決まっている支出です。
支出の削減は、固定費から削るのが鉄則です。
●上手な節約なポイント
支出の削減は、「金額が大きいもの」「効果が持続するもの」「我慢が不要なもの」を優先します。変動費の削減は即効性こそあるのですが、我慢が必要ですし長続きしません。
一方、固定費は金額が大きく、一度見直せば以後はその見直し効果が長続きします。さらに、削るにあたってストレスがかかりません。
ですからまずは固定費を見直し、次に無駄遣いを減らしていきます。そして最後に、毎月の金額が変わる変動費にもメスをいれるようにします。
固定費の削減でチェックしたいのは、次のような費用です。
●住居費
賃貸住まいであれば、家賃の削減に取り組みましょう。実家に住めれば住居費は大きく減らせますし、より安い部屋やシェアハウスという選択肢もあります。また都心の人気エリアに住むなら、3畳一間の「3畳ワンルーム」も人気。地域や物件によっても大きく異なりますが、月3万円以上出費が削れることもあります。
たとえば、東京都杉並区で、荻窪駅周辺のある物件の一例を挙げると、
・ワンルームマンション
荻窪駅徒歩10分・占有面積約20平方メートル・バストイレ付き
→家賃・管理費計9.3万円
・シェアハウス
荻窪駅徒歩15分・占有面積約9平方メートル・バストイレリビング共用
無料Wi-Fi・洗濯機・乾燥機利用可
→家賃・管理費計6万円
・3畳ワンルーム
荻窪駅徒歩10分・占有面積約9平方メートル・バストイレ付き
→家賃・管理費計6.6万円
月3万円は難しくても、仮に家賃が月1万円減らせたら、年間で12万円の削減につながります。また、5〜8月の閑散期は借り手がつきにくいため、人気エリア・物件でなければ値引き交渉ができる可能性があります。閑散期を狙って家賃交渉し、家賃の値下げを相談するのも一案です。
住宅ローンを借りているならば、住宅ローンの借り換えで返済額を減らせないか検討します。借り換えは、
①住宅ローンの残債期間が10年以上
②住宅ローン残高が1000万円以上
③現在の金利と借り換え後の金利差が0.3%以上
の3つの条件をすべて満たす場合、借り換えによるメリットが出ます。
ネット銀行だと借り換えの諸費用が抑えられるので、0.3%程度の金利差でも積極的に借り換えを検討しましょう。
●通信費
通信費はなんといってもスマホ代です。大手キャリアから格安スマホに乗り換えるだけで、1人あたり月3000円〜5000円程度安くすることが可能です。実際、大手キャリア利用時の基本料金4565円が、格安スマホに乗り換えただけで990円になった(どちらも税込)という事例も。面倒くさがらずに、早めの変更を心がけましょう。
●光熱費、交通費
光熱費は電気とガスをセットで契約することで、年間1万円程度の節約につながります。省エネ効果の高い家電に買い替える、エアコンを自動運転にするなどでも長い目でみれば節約につながります。
飛行機・新幹線・高速バスは「早割」を使うことで安く乗ることができます。また、電車の回数券や金券ショップのチケットなども狙い目。1回で節約できる金額はそれほど多くありませんが、回数が増えるほど節約できる金額が増えます。
固定費の見直しが済んだら、次は何気ない日常の「無駄遣い」や浪費、食費や交際費といった「変動費」の削減にも取り組みます。
特に注意したいのがラテマネー。ラテマネーとは、カフェのコーヒー代のように、1回あたりの金額が少ない、細かな出費のことです。たとえば、コーヒーショップのラテは1杯500円程度ですが、もし週3回飲んでいたとしたらそれだけで週1500円、1か月で6000円、年間では7万2000円もの出費になってしまいます。1回だけ見れば細かな出費なので、普段あまり意識しないかもしれませんが、まさに「ちりも積もれば山」。繰り返すと意外と大きな金額になるのです。
コーヒーだけではありません。コンビニのスイーツや自販機の飲み物をなんとなく買ったり、ATMの時間外手数料、スマホアプリの課金などを無意識に支払ったりしていたら要注意です。
ラテマネーは「月1万円」などと予算を決めて、その中で収まるようにしましょう。また、たとえばコーヒーならコンビニで買えば100円ですし、自宅でマイボトルに入れて持っていけばもっと安く済みます。上手に減らしていきましょう。
経済圏をフル活用しよう
「経済圏」とは、同じ系列の会社のサービスを利用するほど、割引やポイントなどの特典を受けられる仕組みのことです。たとえば楽天であれば、楽天市場、楽天カード、楽天モバイル、楽天証券、楽天銀行など、さまざまな楽天のサービスで共通して楽天ポイントが貯められます。また、「SPU(スーパーポイントアッププログラム)」によって、対象のサービスをたくさん使うほど楽天市場での買い物時にもらえる楽天ポイントの倍率がアップします。
また、イオンであれば毎月20日・30日の「お客さま感謝デー」で5%オフ、毎月10日の「ありが10デー」でポイント5倍など、特定の日の買い物がお得になります。そのうえ、イオン銀行の利用状況によって「イオン銀行スコア」が上がり、金利優遇などの特典が受けられます。
楽天やイオンの他にも、ドコモ経済圏、au経済圏、PayPay経済圏など、さまざまな経済圏があります。どれか1つ〜2つ程度に絞って、ぜひフル活用しましょう。
キャッシュレス決済も有効活用しよう
お金はなるべくポイント還元や割引が受けられるキャッシュレス決済で支払いましょう。ポイント還元や割引のない現金払いはもはや損する時代です。
ただ、あまりたくさん使いすぎると、お金の流れがわかりにくくなりますし、管理も大変です。ですから、「クレジットカード2枚・電子マネー1つ・スマホ決済2つ」の合計5つに絞るのがおすすめ。ポイントも貯めやすくなります。
キャッシュレス決済は、自分の日々の行動を考えて、よく行くお店やよく使うサービスでお得になるものを選ぶことが大切。便利な反面「使い過ぎてしまう」などとデメリットが語られることもありますが、メリットの部分を賢く使えば家計の味方になります。
●キャッシュレス決済のおすすめ組み合わせ例
著書「はじめてのお金の基本」より
クレジットカードは、発行するカード会社によって、交通系、流通系、通信系、銀行系、石油系など、さまざまなジャンルがあります。自分がよく使うシーンを想定して、そこでお得になるクレジットカード2枚を選ぶようにするといいでしょう。
スマホ決済も2つに絞ります。1つは利用可能店舗の多いPayPay、もうひとつは普段利用している生活圏に合わせて選びます。
そして電子マネーは1つ。普段から電車に乗るなら交通系の電子マネーが便利です。電車に乗らないのであれば、こちらも経済圏に合わせて、Waonなど買い物で使える電子マネーを選ぶといいでしょう。
お金を確実に貯める「先取り貯蓄」
支出を見直し、毎月貯められる金額がわかってきたら、「先取り貯蓄」でお金を確実に貯めるようにします。
先取り貯蓄とは、収入から貯蓄を先に確保し、残ったお金で生活することです。「余ったらお金を貯めよう」という考えだと、余らなかったらお金が貯められなくなってしまいます。しかし、先取り貯蓄であらかじめお金を貯めておけば、仮に残ったお金を全部使っても確実に貯蓄できます。先取り貯蓄をすると生活費が足りるか不安と思われる方もいるかもしれませんが、人間案外お金がないならないで、支出できる範囲でうまくやりくりできるようになっていくものです。
先取り貯蓄は、自動的・強制的にできるようにすると、手間なく続けることができます。
●先取り貯蓄の自動化
先取り貯蓄は、生活費用口座とは別に、貯蓄専用口座を作って行うのがポイントです。生活費用口座で貯蓄してしまうと、生活費とお金が混ざってしまい、お金をいくら貯めたかがわかりにくくなるからです。貯蓄専用口座で貯蓄することで、お金がいくら貯まったかがすぐにわかります。
図のように、生活費用口座で収入を受け取ったら、自動入金で先取り貯蓄分を貯蓄専用口座に移します。そのうえで、生活費用口座からは日々の生活費を出し入れしたり、家賃や公共料金を自動引き落としで支払ったりします。また、貯蓄口座からは、さらに定期預金やつみたてNISA、iDeCoなどにお金を分けて預けます。
こうすることで、収入と支出は生活費口座を見ればわかり、貯蓄は貯蓄口座を見ればわかるようになります。あとは、生活していくだけでお金が貯まります。
毎月5万円ずつ貯蓄した場合のロードマップ
もし今、まったく貯蓄がないのであれば、まずは生活費の6か月分の預貯金を貯めるようにしましょう。たとえば、生活費が月20万円だとしたら、120万円を預貯金で貯めよう、ということです。ただ、仮に毎月5万円ずつ貯蓄すると、120万円貯まるまでに丸2年かかってしまいます。これでは、お金の増えるスピードが上がっていかないので、「生活費の3か月分」が貯まったら、月数千円程度の少額から積立投資をスタートさせましょう。
たとえば、年収350万円(賞与なし)の場合、毎月の手取りは23万円程度。生活費を18万円に抑えて、毎月5万円ずつ貯蓄するとします。このときのお金の配分は、次のようなロードマップで進めます。
●生活費の3か月分の貯蓄がないとき
毎月5万円を全額預貯金で貯めると、1年間で60万円貯められます。60万円は、生活費の約3か月分にあたります。
●生活費の3か月分の貯蓄はあるが、6か月分の貯蓄はないとき
毎月4.5万円を預貯金で貯め、5000円はつみたてNISAを利用して投資をスタートします。預貯金は約1年で60万円貯められるので、これで生活費の6か月分の貯蓄ができます。
●生活費の6か月分の貯蓄があるとき
生活費の6か月分の貯蓄ができたら、つみたてNISAやiDeCoをなるべく活用して、お金を投資に回します。具体的には、
・1万円:預貯金
・3万円:つみたてNISA
・1万円:iDeCo
といった具合です。
なお、iDeCoでは所得税と住民税を毎年合計1.8万円節税できます。この節税額もiDeCoに加えます。
以上の積立配分でお金を貯め、つみたてNISAとiDeCoは投資信託で年3%の運用ができたとします。このとき、20年後の資産合計は次のようになります。
●資産推移
(株)Money&You作成
2年目まではほとんどが預貯金なので、お金が増えるスピードは増していきません。しかし、3年目以降はつみたてNISAやiDeCoで投資することで、お金が増えるスピードが増しています。20年後の資産合計は、1512万円になる計算です。毎月5万円ずつの貯蓄で、十分まとまった金額ができることがわかります。
毎月の貯蓄額が増やせるなら、つみたてNISAやiDeCoを上限額まで取り組みましょう。つみたてNISAは毎月約3.3万円、iDeCoは人により異なりますが、企業年金のない会社員の場合毎月2.3万円まで投資できます。
また、ボーナスがあるならば、3割から5割は預貯金に回すようにしましょう。残りは投資や自己投資にまわしたり、ご褒美で使ったりするのもいいのですが、預貯金に回すことを忘れないようにしましょう。
まとめ
お金は「貯めたい」という意志だけでは貯まりません。お金が貯まる仕組みを作ることで、お金は貯まっていくのです。今回お話ししたことを踏まえて、生活習慣・お金の習慣を見直していただければと思います。
今回の内容は動画でも紹介しています。ぜひご覧ください。
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頼藤 太希 マネーコンサルタント
(株)Money&You代表取締役。中央大学商学部客員講師。慶應義塾大学経済学部卒業後、外資系生命保険会社にて資産運用リスク管理業務に従事。2015年に現会社を創業し現職へ。ニュースメディア「Mocha(モカ)」、YouTube「Money&YouTV」、Podcast「マネラジ。」、Voicy「1日5分でお金持ちラジオ」、書籍、講演などを通じて鮮度の高いお金の情報を日々発信している。『はじめての新NISA&iDeCo』(成美堂出版)、『定年後ずっと困らないお金の話』(大和書房)、『マンガと図解 はじめての資産運用』(宝島社)、など書籍100冊、累計170万部超。日本証券アナリスト協会検定会員。宅地建物取引士。ファイナンシャルプランナー(AFP)。日本アクチュアリー会研究会員。X(旧Twitter)→@yorifujitaiki
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