21/05/22
最高クラスの年金をもらえる人は意外と多い
厚生年金保険料は、毎月の給料などをもとにした標準報酬月額の等級により決まります。等級が高いほど、厚生年金保険料は段階的に高くなります。しかし、厚生年金保険料が高いことがよくないのかといえば、そんなことはありません。厚生年金保険料が高いほど、将来受け取れる年金額が段階的に増えるからです。
では、標準報酬月額の等級が最も高くなっている人はどのくらいいるのでしょうか。調べてみると、意外と多いことがわかりました。
厚生年金保険料の決まり方を確認
会社員として働いている方は、厚生年金保険料が控除されます。このとき、差し引かれる厚生年金保険料は、毎月の給料などの報酬の月額を区切りのいい幅で区分した「標準報酬月額」をもとに計算されます。
標準報酬月額は、以下の表をもとに算出できます。
日本年金機構HP 厚生年金保険料額表より
標準報酬月額には、給与はもちろん、以下のような報酬が含まれます。
・基本給
・特別勤務手当
・通勤手当
・家族手当
・住宅手当
ほかにも通勤する際の定期券や食事代も対象です。なお、出張費や退職手当は報酬に該当しません。
標準報酬月額は、毎年4月〜6月に受け取った報酬の平均額(平均報酬額)をもとにして決まります。そして、標準報酬月額に応じた厚生年金保険料を9月から翌年8月まで支払います。
たとえば、4月〜6月の平均報酬額が30万円の場合は、上の表に当てはめると19等級に該当します。その場合の、毎月支払う厚生年金保険料は、
30万円×9.15%=2万7450円
となります。
厚生年金保険料率は、等級にかかわらず18.3%で固定されています。ただし、会社員の場合、会社と個人で折半した保険料をそれぞれ支払います。そのため、19等級の厚生年金保険料は5万4900円ですが、実際に個人が支払う保険料は2万7450円です。
標準報酬月額の等級がもっとも高い人はどのくらいいる?
標準報酬月額の等級がもっとも高い人はどのくらいいるのでしょうか。
厚生労働省「厚生年金保険・国民年金事業年報」(2019年度)には、各等級の人数がグラフで示されています。
●厚生年金の標準報酬月額別被保険者数
厚生労働省「厚生年金保険・国民年金事業年報」(2019年度)
2019年度の時点では、31等級(標準報酬月額62万円)がもっとも上の等級でした。標準報酬月額が31等級の人は、男子が248.1万人と、ほかの等級よりも突出しています。また女子も28.7万人となっています。
年金額は、標準報酬月額の等級が高いほど多くなります。したがって、男女合計276.8万人の方が最高クラスの年金を受け取れる、ということになります。意外と多いと思われるのではないでしょうか。
等級が上がるとどうなるの?
標準報酬月額の等級が高いほど、納める保険料は増加します。たとえば、1等級の場合に、会社員が支払う毎月の保険料は8052円ですが、31等級になると5万6730円も支払わなければなりません。
さらに、2020年9月からは、新たに32等級が追加されました。これによって、従来31級に該当していた方が32等級に該当した場合、支払う保険料は5万9475円にアップ。31等級よりも2745円上がります。
しかし、等級が高ければ、将来的に受け取れる年金額も増えます。なぜなら、将来受け取る厚生年金は、支払った厚生年金保険料に比例して多く受給できるからです。
現在45歳で、標準報酬月額が62万円の人と65万円の人が、厚生年金に20年間加入し続けた場合、厚生年金の受給額は次のように変わります。
●厚生年金の受給額試算
標準報酬月額65万円の方が年間3万9464円も厚生年金の受給額が高くなります。しかも、この差は厚生年金を受給しつづける限り続きます。
まとめ
2019年度に標準報酬月額の最高クラス、31等級の保険料を支払っている人は276.8万人もいました。2020年9月からは、このうち報酬月額が63.5万円以上の方が32等級となりました。
32等級でないにしても、等級が上がると保険料がアップします。負担を感じるかもしれませんが、その分受け取れる年金額も増えることになることは覚えておきましょう。
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小栗健吾 現役のFXトレーダー及びWEBライター
地方の大学を卒業後、会社員を経て、WEBライターとして活動中。FXや仮想通貨の取引経験(FXは8年以上)があり、現役トレーダーの目線で記事を多数執筆している。また、現在はFXだけでなく、「キャッシング」「副業」「節税」などマネー系の記事も多く執筆している。
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