20/10/06
インデックス型・バランス型のドルコスト平均法は優れた投資戦略なのか
インデックス型やバランス型の投資信託を購入する時、一括で買うべきか、数回にでも分けて買うべきか迷うことがありますよね。
投資商品を分けて購入するドルコスト平均法を使った積立投資は、高掴みを避ける方法として投資初心者にも推奨されることの多い投資手法です。
今回は本当にドルコスト平均法を使った積立投資は一括購入よりも優れた投資戦略なのかを考えていきます。
インデックス型・バランス型の投資信託を積み立てていくメリット
投資信託は株式や債券といった値動きのある商品で運用をしているので、投資信託自身も日々値動きしていて、高い時もあれば安い時もあります。
投資は安い時に買って高い時に売れば誰でも儲けることができるのですが、問題は今が安い時なのか高い時なのかが分からないってことですよね。買い時の判断が難しい投資ですが、少しでも購入単価を下げて、ある程度の収益を狙うことが期待できる投資手法として使われているのがドルコスト平均法を使った積立投資です。
ドルコスト平均法とは、毎月、毎週といった一定期間ごとに、一定金額ずつ運用商品を買い続ける方法です。例えば、毎月同じ日に1万円ずつ日経平均株価(日経225)に連動することを目指したインデックス型の投資信託を購入し続けるといった積立投資は、ドルコスト平均法を使った投資です。
ドルコスト平均法では毎回の購入金額が決まっているので、投資信託の値段である基準価額が高い時は購入数は少なく、安い時はたくさん買うことになります。ドルコスト平均法を使った積立投資は高値掴みを避けながら、お得な買い物は積極的に行うので、平均購入単価を下げることが期待でき、ある程度の収益確保の可能性が高められる方法といわれています。
ドルコスト平均法を生かせる積立投資は投資初心者でもいつが安いのか、高いのかと考える必要がなく粛々と投資が継続できます。あくまでも過去の実績からですが、10年以上の運用期間が確保できれば、ある程度の収益は期待できるかと思います。
ただ、一括と積立を比較した場合、その時々の値動きによりどちらが有利かは異なり、どちらが絶対的に有利ということはいえません。
運用商品により運用成果は様々なのですが、インデックスファンド225(日興アセットマネジメント)を例に積立と一括の値動きの違いを確認してみましょう。
上下に値動きしながらの上昇は積立投資が有利
モーニングスターの積立シミュレーションで日経平均株価に連動する運用を目指したインデックス型の投資信託、インデックスファンド225(日興アセットマネジメント)の値動きをの違いを見てみましょう。
緑のラインは毎月1万円ずつ20年間(2000年9月〜2020年8月)、計240万円投資を積立投資した場合の収益です。それに対して、青のラインは同じ投資元本240万円を20年前に一括投資した場合の収益です。
20年間の投資元本240万円に対して、積立投資は約489万円、一括投資は401万円となっています。いずれも良い成績ですが、2つに勝敗をつけるとすると積立の勝ちです。
この20年の間の市場を見渡すと、2001年の米同時多発テロ、2003年のイラク戦争、2008年のリーマンショック、2015年・16年のチャイナショックという具合に、経済にはマイナス要因となる出来事が何度かありました。こうした機会に、一括投資では単純に下落してしまいますが、積立投資では安く買える購入機会となったのです。その結果が、20年後の成果につながっています。
積立投資のいいところは、大きく下がって買い続けることがコワくなりそうな局面でも、粛々と機械的に買い続けることができやすいところです。大きな下落局面はお得に買える時と捉え、その先の回復や成長を期待しながら長期視点で待つことができます。
現に2020年は新型コロナウイルスの感染拡大によって景気が低迷し、年初は株価を下げました。しかし、2020年8月末時点では急落前の水準に回復しています。数十年後に市場を見直したとき、この新型コロナウイルスの下落でさえも「安く買える購入機会」だったといえるようになっているかもしれません。
右肩上がりに上昇する場合は一括が有利だけど…
とはいえ、ドルコスト平均法は万能ではありません。たとえば、次のような値動きを見せた場合は、ドルコスト平均法より一括投資をしたほうが有利になります。
・相場が右肩上がりに上昇し続けた場合(一括投資の方が利益が出る)
・いったん上昇して元の水準まで戻った場合(ドルコスト平均法の方が損をする)
また、相場が右肩下がりに下落し続け、回復しなかった場合、一括投資はもちろんドルコスト平均法でも損をしてしまいます。
しかし、こうした相場になるかどうかは、投資する前にはわかりません。なにより、実際には上で紹介したように、相場は上下を繰り返しながらも上昇しています。
資産運用は今後の経済成長の成果を期待しているからこそお金を投資できるものです。過去も大きな株価下落要因となる出来事がありましたが、都度、下落要因を乗り越えるために世の中は動き回復してきました。
今後も短期的には大きく下げる局面があることを前提に、どのような下落局面も乗り越えながら成長していくことを期待するなら、投資はいつが高いのか安いのか分からないゆえに積立投資は有利な方法であると考えています。
まとめ
税制優遇を使って将来資金を作ることができる、今話題のつみたてNISAやiDeCoはドルコスト平均法を使えば、国が投資初心者でも安定してお金を増やすことができるだろうとの考えのもと作られた制度です。
積立投資も、値動きの仕方によっては投資元本を割り込むこともあります。ただ、投資資金の値動き幅を抑えられる効果が期待できることや、下落局面を味方につけられるメリットを考えるとドルコスト平均法は優れた投資戦略だと考えています。
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小林 裕子 ひろファイナンシャルプランニング代表 CFP ・1級FP技能士
2008年FP相談業務開始。2014年事務所運営スタイルを金融機関等からの紹介手数料を一切得ず、報酬は顧客からの相談料のみとするフィーオンリーへ移行。「ファイナンシャルプランニングは100人100様」をモットーにライフプランの実行支援を行っている。
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