18/08/19
リーマンショックから10年 金融危機は過ぎ去ったのか
マネー相談で投資初心者の方とお話をしていると、時々「リーマンショックのような事が起こったら、どうしたらいいのですか?」と質問されることがあります。また、「もう間もなくリーマンショック級の危機がくるのでは?」とも。
今回は金融危機の前に、私達が知っておくべきこと、すべきことを考えてみましょう。
金融危機にはサイクルがある?
ご存知の読者も多いことと思いますが、直近30年間では約10年ごとのサイクルで、金融危機が発生しています。
1987年のブラックマンデー、1997年のアジア通貨危機、そして記憶に新しい2008年のリーマンショックです。
「10年サイクル」は必ず起きるという人がいれば、今回は違うのではないかという人もいて、こればかりは何が正解か、結果論でしか語れないものです。一つの危機が過ぎ去ってもまた別の危機が懸念され、経済は生き物のように常にそのリスクを抱えているからです。
ですから、「過ぎ去る」ということは無いと、認識すべきだと筆者は思います。
経済は「好況」「後退」「不況」「回復」の4つサイクルで循環しながら景気拡大をしてゆくと言われています。
このサイクル期間は、常に一定のものではなく、長いときもあれば短いときもあります。
近年では、今までのセオリーが当てはまらない動きや停滞がみられ、従来の理論が通用しない事が考えられますので、起こるか起こらないかという予測より、起こった際はどうすればよいか、を読者の方には考えておいて頂きたいと思います。
金融危機が暮らしに及ぼす影響は
「金融危機」と呼ばれるものは、単なる一国の不況とは異なります。何かのきっかけを基に、世界的に「経済不況が連鎖していくこと」を差します。
2008年のリーマンショックでは、米国の低所得者向け住宅ローン(サブプライムローン)が不良債権化したことが、問題の発端でした。
このように、債権者である銀行などの金融機関が多額の損失をこうむった場合、クレジットクランチ(信用収縮)が起きます。クレジットクランチとは、そんな銀行などが「融資を急激に厳格化すること」です。
仮に皆さんが、中小企業の経営者だったら、と想像してみてください。経営の継続に必要な融資を断られたり、既に受けた融資の急な返済を迫られたりすれば、廃業せざるを得ない状況になるかもしれません。
言うまでも無く、勤めていた従業員や役員は生活のための収入源を失うことになります。
経済産業省中小企業庁の2017年版中小企業白書では、日本の企業のうち約99.7%が中小企業で、従業員者数でみれば、中小企業に勤めている人は大企業に勤めている人の2.3倍以上います。先のような廃業が続出すれば、国中が不況におちいることが考えられます。
また、不動産や株式などを保有する人にとっては、デフレーション(デフレ)の波が押し寄せ、価格の下落で大きな損失をこうむることが考えられます。
金融危機は「国際的」な規模で起こるので、外国への投資をしている場合も、同様もしくはそれ以上の損失が起こることが考えられます。
読者の皆さんは就労からの収入減や、すでに預金以外での資産をお持ちの方には価格下落という影響が出る、ということです。
リスク回避のためにできること
ここまでは暗いお話をしましたが、逆の目線で考えてみましょう。
不況になりデフレが起こるということは、「価格が下がる」ということ。つまり、絶好の買い時であるということです。
投資は、「安く仕入れて高く売る」が大原則です。
安く仕入れるチャンスであるときに、最悪なのは「仕入れる資金が無い」事です。ですから、金融危機が仮に起こった場合でも、そのチャンスを生かせるような資金は常に一定額、手元に置いておくことをおススメします。
また、長期運用の計画期間の途中に危機が訪れた場合、一時的に値下がりした投資対象を、安易に手放してはいけません。長期の目線で資産を増やすのであれば、目先の残高ではなくもっと先を見据えて、そういう時こそ「買い増す」勇気を持つことも大切です。
実際、リーマンショックの際は株価が急落しましたが、保有し続け、そのタイミングで買い増しをされた筆者の顧客は、現在大きな利益がでています。
まとめ
好景気も不景気も、いつまでも永遠に続くものはありません。いつかどこかで必ず「調整局面」を向かえ、次のサイクルへ向かいます。それが通常の穏やかな移行であればよいのですが、急激な移行になると「危機」となるのです。
ピンチはチャンス、です。
予測はできなくても、予想し、準備をしながらチャンスをものにできるかどうかは、これからのみなさんの行動次第ということですね。
佐々木 愛子
ファイナンシャルプランナー(AFP)、証券外務員Ⅱ種
国内外の保険会社で8年以上営業、証券IFAを経験後、リーマンショック後の超低金利時代、リテール営業を中心に500世帯以上と契約を結ぶ。FPとして10代のうちから金融、経済について学ぶ大切さを訴え活動中。FP Cafe登録パートナー
記事提供:moneliy
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moneliy マネリー
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