19/10/08
【歴女の投資術】「超特盛」ヒットで株価絶好調! 吉野家ホールディングス3つの魅力
歴女の投資ファイル 15の巻 吉野家ホールディングス<9861>
小さなベンチャー企業が、これまでなかった独創的なサービスや商品を世に送り出し、大企業へと成長するーー
投資で勝つにはまずは歴史から。このシリーズでは、様々な企業(銘柄)の歴史をご紹介致します。
吉野家の魅力その1:消費税増税に伴う軽減税率制度で注目
吉野家ホールディングスは、牛丼ではなく「吉野家の牛丼」が食べたい! とファンも多い牛丼の「吉野家」を全国展開している企業です。
同社は株主優待銘柄として個人投資家に大変人気があります。100株で3000円相当のサービス券(権利確定月は年2回、2月と8月)、配当と合わせた優待利回りは3.5%以上(2019年9月25日現在)と大変お得。セルフうどんの「はなまるうどん」、持ち帰り寿司の「京樽」でも使えるので、ちょっと小腹が空いた時、がっつり食べたい時でも便利ですよね。
また、10月の消費税増税で恩恵を受ける銘柄として、軽減税率制度(酒類・外食を除く飲食類品に対しては8%に据え置き)によりテイクアウト需要への拡大の期待感から注目が集まっています。
吉野家の魅力その2:「吉野家の味」にこだわったカリスマ経営者たち
吉野家の創業は明治32年(1899年)。
当時、江戸の台所と言われた日本橋にあった魚市場で、料亭で働いていた創業者・松田栄吉氏が「牛めし」をヒントに商売を始めます。美味しいものを腹一杯食べてもらいたい、という思いから、牛肉を丼で提供して、職人たちの胃袋を満たします。
関東大震災後、魚市場が築地に移り、吉野家も移転し、大人気店となります。
その後、栄吉氏の息子・2代目の松田瑞穂氏が株式会社化しチェーン展開を開始。
第1号店の築地の客はグルメでせっかちな人が多かったため、「うまい、はやい」をモットーに、瑞穂氏は精力的に仕事に取り組みます。
高級肉を使ったすき焼きは美味しくても毎日食べると飽きてしまう。ところが牛丼は飽きない、飽きないどころか毎日食べたくなる。このクオリティにするために、瑞穂氏は、食材の組み合わせや材料の配合に研究を重ね、吉野家独自のたれを作るために最適な白ワインを求めて毎週山梨・勝沼に出かけるなど、そのオリジナリティを追求する姿勢は尋常ではないものだったと言います。
また数百円の牛丼であっても、味にうるさい客のために「つゆだく」「ネギ抜き」「大盛り」など一人一人の客の好みに応じて、それもクイックサービスで提供していきます。
結果、吉野家は大成功を手にしました。
しかしその後の拡大路線が裏目に出て、1980年に倒産。急激な多店舗化による資金繰りの悪化などが原因でした。
会社更生後は好調な業績が続き、1992年には安部修仁氏が社長に就任しましたが、2003年にBSE問題発生が同社を襲います。
USビーフを主な原料としていた同社は、「米国産牛肉でなければ吉野家の牛丼の味が出せない」と牛丼の販売を停止、店頭から牛丼が消えました。
2年半後の2006年9月18日に牛丼復活祭で店頭に復活、先に行われた記者会見では安部社長が感無量になって涙で言葉を詰まらせたのは有名な話です。
多くのファンの舌を唸らせる吉野家の味には、このように経営者たちの熱い想いが込められています。
吉野家の魅力その3:今期は過去最高の売上予想
吉野家は3月より販売の28年ぶりとなる牛丼の新サイズ「超特盛」が1ヶ月で100万食を突破する大ヒット。これをうけて、7月発表の第1四半期は、営業利益が10億4400万円(前年同期1億7800万円の赤字)と大幅に黒字転換したことがサプライズとなりました。この発表を機に株価は上昇気流となっています。
吉野家ホールディングスの経営理念は、「For the People すべては人々のために」。
同社は、足元の既存店売上の月次も絶好調で、2020年2月期の会社予想は、売上2080億円(前年比+2.8%)、営業利益10億円(同9.6倍)と、過去最高となる売上を目指しています。
*本記事で紹介する個別の銘柄・企業名については、あくまでも参考として申し述べたものであり、その銘柄又は企業の株式等の売買を推奨するものではありません。購入する場合は自己責任でお願い致します。
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岡田 禎子 「投資は面白い」がモットーなFP日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)、ファイナンシャル・プランナー(CFP)
証券会社、資産運用会社を経て、ファイナンシャル・プランナーとして独立。資産運用の観点から「投資は面白い」をモットーに、投資の素晴しさ、楽しさを一人でも多くの方に伝えていけるよう、執筆とセミナーなどで活動中。
TVドラマ「インベスターZ」の脚本協力なども行なっています。
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