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19/08/22

相続・税金・年金

贈与税がかからない方法まとめ

厚生労働省が7月30日に発表した2018年の日本人の平均寿命は、女性が87.32歳、男性が81.25歳で、ともに過去最高を更新しました。ここまで平均寿命がのびてくると、相続したときには高齢者になっていることも。そこで、非課税で贈与する制度を設けて、高齢者から若者に資産を移転して消費を刺激したいと国は考えています。とはいえ、種類が多く、どれを使えばいいのか悩む方もよくいます。
今回は、そんな贈与のキホンと、生前贈与の制度の選び方について整理してみましょう。

贈与税のキホン(暦年課税の場合)

所得が伸び悩んでいる中、家計が厳しい方もいることでしょう。そんなときに、祖父母が子や孫の生活をサポートしてくれると嬉しいですね。贈与とは、お金や不動産などの財産を無償で譲り渡すことをいいます。

贈与には本来、贈与税という税金がかかります。しかし、もらう人1人あたり年間で110万円までは基礎控除があり、贈与税がかかりません。1月1日から12月31日まで(暦年)で計算するので「暦年贈与」と呼ばれています。
長い期間コツコツ贈与して、将来の相続財産を減らす目的で使われることが多い制度です。

贈与税は、その年にもらったお金、株式、不動産などの財産額を合算して計算します。
まず、もらった金額から基礎控除の110万円を差し引きます。次に、その差し引いた残りの金額に税率(10~55%)をかけて税額を計算します。贈与された金額が大きいほど税率が上がって、負担が大きくなる累進課税となっています。また、税率は一般贈与財産と特例贈与財産で区別されており、父母や祖父母などから20歳以上の子どもや孫へ贈与した場合には、特例贈与財産の税率を用います。

相続まで課税を先送りできる相続時精算課税

いくら贈与できるといっても、まとまった金額や不動産を贈与する場合、受け取る側に贈与税を払う余裕がありません。
たとえば2000万円の土地を父母から贈与されたとすると、

(2000万円-110万円)×45%-265万円=585万5000円

となり、585万5000円もの贈与税がかかってしまいます。

そこで、選択肢の一つになるのが、相続時まで課税を先送りできる「相続時精算課税」です。相続時精算課税は、累計2500万円の範囲なら何回贈与しても贈与税はかかりません。ただし、贈与を受けた財産は相続税の計算のときに加えられるので、節税になるわけではありません。

また、いったん相続時精算課税を選ぶと、同じ人からの贈与について暦年課税を選ぶことができなくなります。選択届を税務署に提出し、贈与のあった翌年には必ず申告が必要になります。ですから、

・贈与税を支払う余裕がない
・相続税はかからないけれど、生前贈与したい
・使途を問わない資金をまとめて贈与したい
・将来値上がりが予想されるものを贈与したい

といった場合には、相続時精算課税を検討したほうがいい場合もあります。

■暦年課税と相続時精算課税の違い

使途が決まっている場合の贈与

相続時精算課税は使途が決まっていない場合に利用できますが、子や孫に一定の目的資金を一括贈与すると非課税になる贈与があります。「教育資金」、「結婚・出産・育児資金」、「住宅取得資金」の3つの制度が設けられています。これらの資金の贈与をするのであれば、利用した方が有利でしょう。

■一括贈与すると非課税になるもの

●住宅取得資金の非課税贈与

住宅を取得する際に、父母や祖父母が20歳以上の子や孫に贈与する場合に利用できます。もらう人が、年間合計所得金額が2000万円以下であることが条件で、取得する住宅に関しても要件があります。

■住宅取得資金 非課税で受けられる贈与額

この住宅取得資金贈与の特例は、暦年贈与(非課税枠は年間110万円)か相続時精算課税(非課税枠は2500万円)かのどちらかを併用することができます。

●教育資金の非課税贈与

学校の入学金、授業料、学習塾の費用などの教育費を一度に贈与する場合には、30歳未満の子や孫1人につき1500万円までは非課税で贈与ができる制度があります。贈与するにあたっては、金融機関に専用口座を作る必要があります。2021年3月31日までこの特例を使うことができます。

もともと生活費や教育費など、そのつど必要なお金の援助は原則非課税になります。孫の大学の授業料を祖父母が負担しても贈与税はかかりませんが、もらったお金を貯金したり、資産運用に充てたりした場合には課税対象になります。また、孫が30歳になる前までに贈与されたお金を使いきっていない場合、贈与税が課税されます(30歳になっても学校に在学している場合には、非課税が継続)。

●結婚・出産・育児資金の非課税贈与

使途が結婚・出産・育児資金の場合には、もらう人が20歳以上50歳未満の子や孫1人につき1000万円までの贈与なら非課税になります(結婚については300万円まで)。こちらも金融機関に専用口座を作る必要があります。2021年3月31日までの特例です。50歳までに資金を使い切れなかった場合には、残額に対して贈与税が課税されます。

まとめ

生前贈与といっても、制度ごとに適するケースが違ってきます。
また、子や孫のためによかれと思って贈与しても、思わぬところで病気になったり、介護費用がかかったりすることもあります。相続税対策で贈与したつもりでも老後資金が足りなくなって、お金を戻してほしいということになれば、逆に贈与税がかかってしまうこともあります。贈与を検討している場合は、家族でよく話し合ってから行うようにしましょう。

池田 幸代 株式会社ブリエ 代表取締役 本気の家計プロ®

証券会社に勤務後、結婚。長年の土地問題を解決したいという思いから、宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナー(AFP)を取得。不動産賃貸業経営。「お客様の夢と希望とともに」をキャッチフレーズに2016年に会社設立。福岡を中心に活動中。FP Cafe登録パートナー

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