19/06/10
遺言書は無効になる場合も! 無効にさせない対策は?
遺言書さえ残せば望みどおりの相続ができるかというと、必ずしもそういうわけではありません。書き方によっては、せっかく残した遺言書が無効になってしまう可能性もあります。
そのような事態を防ぐためにも、遺言書について、事前に理解を深めておきましょう。
遺言書の種類
遺言書に複数の種類がありますが、代表的なものは自分で作成する『自筆証書遺言』と、公証人のもとで作成する『公正証書遺言』です。どちらが正しくてどちらが悪い、ということではありませんが、公正証書遺言の方がおすすめではあります。
自筆証書遺言の場合は無効になる可能性も
ではなぜ、公正証書遺言で作成することをおすすめするのでしょうか?
それは、自筆証書遺言で作成する場合、不適切な書き方をしてしまうと遺言が無効になってしまう可能性があるからです。自筆証書遺言はその名のとおり、自分で書く遺言書のことですが、無効になってしまうパターンとしてよくある例は、
・遺言書に日付が記載されていない
・書き間違いの修正方法に誤りがある
・自筆ではなくパソコンを使っている(※財産目録はパソコン等で作成可能)
・内容が不明確
・本人が書いたことが立証できない
などです。すべてを自力で行う必要があるため、これらの点で間違いがあったとしても、誰も修正をしてくれません。
“第九百六十八条 自筆証書によって遺言をするには、遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければならない。”
引用元:民法968条
公正証書遺言をおすすめする理由
その点、公正証書遺言で作成するメリットとしては、
・公証人に内容をチェックしてもらえる
・書いた遺言書を公証役場で保管してもらえる
といったことが挙げられます。
書きたい内容を公証人に告げることで、それをもとに正しい書き方で遺言書を作成してくれるため、無効になるケースはほとんどないでしょう。また、公証役場で遺言書を保管してくれるため、第三者に内容を改ざんされる心配もありません。
ただし、被相続人が認知症などの場合、遺言能力がないこともあり得ます。しかし、公証人は医師でも裁判官でもありませんので、遺言能力の有無について必ずしも確実な判断を下すことはできません。そのため、公証人が関与しても遺言能力がない状態で遺言書が作成されるリスクはゼロではありません。
このような遺言は後々無効になるおそれもありますから、公正証書遺言で作成する場合でも、ここには注意が必要です。
“第九百六十九条 公正証書によって遺言をするには、次に掲げる方式に従わなければならない。
一 証人二人以上の立会いがあること。
二 遺言者が遺言の趣旨を公証人に口授すること。
三 公証人が、遺言者の口述を筆記し、これを遺言者及び証人に読み聞かせ、又は閲覧させること。
四 遺言者及び証人が、筆記の正確なことを承認した後、各自これに署名し、印を押すこと。ただし、遺言者が署名することができない場合は、公証人がその事由を付記して、署名に代えることができる。
五 公証人が、その証書は前各号に掲げる方式に従って作ったものである旨を付記して、これに署名し、印を押すこと。”
引用元:民法969条
遺言書を無効にさせないための対策
望みどおりの相続を実現させるためには、公正証書遺言を作成することがおすすめです。
自筆証書遺言よりも費用はかかりますが、無効になるリスクを考えれば、必要な経費でしょう。遺言書の内容が書き換えられてしまうことや、遺言書が紛失してしまうことを防ぐこともできます。
公正証書遺言でも無効になるケースはありますが、公証人に立ち会ってもらうことで、その可能性を極限まで減らすことができるでしょう。どちらの方式で遺言書を作成しようか迷っている。その際に、この記事が少しでも役に立てば幸いです。
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