19/03/10
103万円、106万円、130万円…年収の壁は全部で5つ!壁を超えると税金・保険はどうなる?
主婦(主夫)が、会社勤めの夫(妻)の扶養に入っている場合、税金や社会保険料などを支払う必要がありません。しかし、その扶養に入っている主婦(主夫)の年収が一定額より多くなると、税金や社会保険料を支払う必要がでてきます。この年収のことを壁といいます。
年収の壁は100万円、103万円、106万円、130万円、150万円の全部で5枚。これらの壁を超えるとどうなるのか、紹介します。
100万円の壁:100万円を超えると住民税がかかるようになる
100万円の壁は、住民税の課税・非課税を分ける壁です。
住民税は、収入額をベースにした所得割額と、収入額に関係なく負担する均等割額から構成されています。
扶養家族がいない場合、収入が100万円以下であれば、所得割額も均等割額もどちらもかかりません。しかし、扶養家族がいる場合は、扶養人数により壁の金額は増えます。詳しくは、お住まいの市区町村役場にお尋ねください。
住民税は、前年の収入額をもとに、お住まいの市区町村役場が計算し、5月ごろにお知らせが届きます。
100万円の壁は、お住まいの市区町村でも金額が違います。ちなみに、筆者の地元熊本市では、96万5000円が壁です。
100万円を超えると、増えた所得に税率10%をかけた住民税がかかります。
103万円の壁:超えると所得税がかかるようになる
103万円の壁は、所得税を支払う・支払わないを分ける壁です。
パート収入が103万円以下であれば、所得税はゼロです。103万円を超えると、増えた所得に税率5%~45%をかけた所得税がかかります。
106万円の壁:超えると勤務先の社会保険に加入する可能性が出てくる
106万円の壁は、パートなどの収入がある妻(夫)が、パート先で社会保険に加入するか否かを分ける壁です。
パート収入が年106万円(月額8万8000円)以上になると社会保険を負担する可能性があります。ただし、パート先により社会保険の加入要件が違いますので、勤め先に尋ねてみるとよいでしょう。
130万円の壁:超えると自分で社会保険料を支払うことになる
130万円の壁は、社会保険の扶養から外れるか否かを分ける壁です。
パートをしている妻(夫)が年収130万円以上になると、給与収入がある夫(妻)の社会保険の扶養から外れます。扶養を外れると、自分で社会保険料を負担することになります。パート先の社会保険に加入するか、国民健康保険料+国民年金保険料に切り替えるか、どちらかを選択します。
パート先の社会保険に加入した場合、仮にパート収入が月額11万円であれば、自分で国民健康保険料+国民年金保険料を支払う場合に比べ、月額1万円くらい少なくて済みます。パート先の社会保険に入れるか、確認してみましょう。
社会保険の壁であるパート収入106万円または130万円を超えてしまった場合、自分で社会保険を負担することになるため、デメリットに感じるかもしれません。
しかし、メリットもあります。
勤務先の社会保険に加入すると、勤務先が社会保険料の半分を負担してくれます。また、病気や出産で働くことができなくなった時には、傷病手当金や出産手当金などが得られます。これは安心といえるでしょう。
150万円の壁:超えると配偶者控除が受けられなくなる
150万円の壁は、配偶者控除を受けられる・受けられないを分ける壁です。
配偶者控除が受けられなくても、年収150万円から201万円までは配偶者特別控除が受けられますが、年収が増えるごとに控除額は逓減します。
まとめ
以上のことをまとめると、この表のようになります。
※給与収入が1120万円を超えると、配偶者(特別)控除は受けられません。
給与収入がある夫(妻)の扶養を外れることは、税金(所得税・住民税)と社会保険料の負担以外にも、扶養手当などがなくなるなど、収入がダイレクトに減ることも考えられます。給与収入がある夫(妻)の勤務先の給与項目を確認してみましょう。
また、社会保険料の支払いをすることになったら、思いきり稼ぐ方法を見つけましょう。手取りを増やす近道です。
これからのライフプランを念頭に、自分に合った働き方を見つけてみてはいかがでしょうか。
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山田 香織 中小企業診断士、 1級ファイナンシャル・プランニング技能士
FP歴10年。会計事務所で11年間、経営・税務相談業務を経験した後、FP事務所を開業。
個人から中小企業者まで経営に関する相談実績がある。現在は、会計・税務の経験を活かして、家計・経営相談を受ける。執筆活動も積極的に行う。
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