18/10/04
「失業保険」の受給条件&手続きマニュアル
雇用保険の代表的な補償は、失業したときの生活補償である「基本手当」です。「失業保険」というほうが一般的かもしれません。仕事を辞めて決まった収入がないときの、心強い味方です。
ですが、中には手続きがややこしいからと、申請しない人がいます。申請しなければ、手当をもらうことはできないので、とてももったいないと思います。必ず申請して、受け取りたいものです。
今回は、自分の意志で辞めたケースの基本手当について、わかりやすく説明します。
失業保険はどんな人が対象になるの?
まず、仕事ができる状態にあって、仕事がしたいと思っている人が対象です。今すぐにでも仕事に就ける人で、病気や育児などで仕事ができない人や、せっかく仕事を辞めたのでしばらくゆっくりしようと思っている人は、この手当を受けることはできません。
その他の条件としては、退職した日以前の過去2年間に12ヶ月以上「雇用保険被保険者期間」がある必要があります。雇用保険の被保険者になるためには、1週間に20時間以上働いていることが必要です。この被保険者期間は、同じ会社にいる期間だけではなく、前職をやめてから基本手当をもらわず、再就職まで1年未満であれば通算されることになっています。
失業保険はどんな手続きが必要なの?
退職した会社から「離職票」などが送られてきたら、それらを持って自分の住所地管轄のハローワークで仕事を探す手続き(求職の申込み)をします。このときに、失業保険の基本手当を受け取る手続きも行います。
基本手当を受給するためには、ハローワーク経由または自身で仕事を探すことに加えて、28日間(4週間)ごとに1日、ハローワークが指定した日に、仕事に就いていないことを伝えに行かなければなりません。これを「認定日」といいます。
この認定日に仕事に就いていないことが確認され、積極的な求職活動をしていることが認められて、初めて基本手当を受けることができます。これを4週間ごとに繰り返していくことになります。
早く再就職ができるように、ハローワークは本人の希望を考慮して、求人情報の中から適当と思う会社を紹介してくれますので、面接なども積極的に受けるようにします。
失業保険はいつからいつまで、いくらもらえるの?
求職の申込みから7日間は「待機期間」とされ、基本手当の対象となりません。また、自己都合退職の場合には、「給付制限期間」といって待機期間後基本的に3ヶ月間は、支給を受けることができない間があります。
ですので、初めて基本手当が受給できるのは、申込みから約4ヶ月後と考えておかなければいけません。受給の終わりは、給付日数分の基本手当を受給し終わった日、もしくは退職日の1年後のどちらか早いほうなので、離職票などが送られてきたらなるべく早く、そして認定日には必ず手続きに行きます。
給付日数は以下の通りです。
画像:筆者作成
基本手当は日額で表され、金額は以下の計算式となります。
以上、厚生労働省ハローワークホームページより
(平成30年8月1日より金額が変更となったため、変更前と変更後が表記されている)
ここでいう、賃金日額とは、退職日直前6ヶ月間の給料合計を180で割ったもので、ボーナスは含みません。
例えば、13年間働いた会社を35歳で退職したAさんの退職直前6ヶ月間の給料合計が180万円だったとします。
賃金日額は1万円となり、
基本手当日額=0.8×1万円-0.3×{(1万円-4970円)/7240円}×1万円≒5900円
賃金日額の1万円、基本手当日額の5900円は、上限にも下限にも抵触しないので、5900円で決定です。
つまりAさんは、5900円×最高120日分の基本手当を、最短で7ヶ月間ほど、最長で1年以内の失業中に受けることになります。
まとめ
今回は自己都合退職の場合を説明しましたが、自分は辞めたくなかったのだけれど、会社の都合で仕方なく辞めたときは、支給対象者の範囲が広がります。また、給付制限期間はなく、給付日数は長くなります。
ハローワークでは、次の仕事を懸命に探してくれます。退職した理由や再就職への強い気持ち、次の仕事の希望をしっかり伝え、ミスマッチを防ぐようにしなければなりません。
自分に合った仕事を見つけて、より良いワークライフバランスを獲得したいものです。
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小野 みゆき 中高年女性のお金のホームドクター
社会保険労務士・CFP®・1級DCプランナー
企業で労務、健康・厚生年金保険手続き業務を経験した後、司法書士事務所で不動産・法人・相続登記業務を経験。生命保険・損害保険の代理店と保険会社を経て2014年にレディゴ社会保険労務士・FP事務所を開業。セミナー講師、執筆などを中心に活躍中。
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