18/03/13
長所ではなく短所を紹介「おもしろい!進化のふしぎ ざんねんないきもの事典」
今回採り上げるのは、動物の意外な生態を紹介するユーモアたっぷりの本。
全ページに生き物の詳細なカラーイラストが載っていますが、普通の動物図鑑とは少し違います。
そんな世界を一緒に覗いていきましょう。
長所ではなく短所を紹介!
今から約38億年前に地球上に最初の生命が誕生して以来、生き物は長い時間をかけて進化を続け、現在の姿になりました。
たとえば草原に暮らすキリンは、敵から逃げやすい長い足と、立ったまま水が飲める長い首を持つようになりました。
でも、うまくばかりはいかないのがこの世の中。この本に「すごい」と感心するネタはありません(笑)。
特性や長所ではなく、トホホなところばかりに注目しており(進化してもそれ?)と同情さえしてしまう、おなじみの動物たちのどこか切ない豆知織がたくさん詰まっています。
進化が逆に仇となっているケースが多々!?
たとえば、ダチョウの脳は、目玉より小さいのだそう。頭が小さくてスタイル抜群ですが、さすがにちょっと小さすぎない?当然ながら、記憶力は相当悪いそうです。
サイの角は髪の毛や爪と同じ成分で、漢方薬にするのは、その辺のおじさんの爪を煎じて飲むのと大して変わらないとのこと。そう書かれると、さすがに抵抗感がありますね。
アライグマは実は食ベ物を洗わないそう。「え、洗っているじゃない」と思いますが、狩りの時に水に前脚を突っ込み、手探りで獲物を探す機子が、両手でかわいらしくエサを洗っているように見えるのだとか。動物園のアライグマの洗う仕草は、単にやることがないからだと専門家にみなされているそうです。ヒマな動物というのも、平和すぎてどうかと思いますが。
ほかにも「クジャクは強風が吹くと転ぶ」とか「メガネザルは大きすぎる目玉を動かせずに首を回す」とか「ミジンコは敵を威嚇する角を出すのに一日かかり無意味」など、どれも(どうして?)と思う話題ばかり。なかなかうまくいかないものですね。
今大人気のジャイアントパンダも載っています。パンダは一日中笹ばかり食ベていますが、実は肉も食べる雑食。ほとんど栄養がない笹をせっせと食べ続ける理由はあまりないらしく、もはや趣味なのかもしれません。
「あるがまま」がよいということを教えてくれる本
さて私たち人間は、四つ足から二足歩行になり、動物の中で一番進化しましたが、生き方に悩み、世の中とうまく折り合えずに苦しんでいる人が大勢います。生き物の中で自殺をするのは人間だけ。それだけ生に絶望するのは、脳が発達しすぎたからでしょうか。 進化しても、より生きやすくなるとは限らないのかもしれません。
この本にカッコイイことは紹介されておらず、読んでも周りに尊敬される動物博士にはなれませんが、大人も子供も楽しめる読みやすい雑学集で、続編も出ています。あまりにざんねんな動物が多すぎて驚きますが、短所も個性のひとつ。どっこい生きている生き物たちを応援したくなり、自分の肩の力が抜けます。
進化した中で、人間が一番ざんねんな生き物にはなりたくないものですね。動物たちのように、考えすぎず、悩みすぎず、無理せず自然に生きていきましょう。
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小野寺 理香 おのでら りか
読書ブロガー。好きなジャンルは文学、歴史、アート。ふとしたきっかけで出会い、好きになったら長くつきあう……本との巡り合いは人と同じ。時に味わう〝がっかり〟も、読書のおもしろさのひとつです。ここでは、よりすぐりのすてきな本をお届けします。
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