25/12/09
家や車は処分必須?「生活保護」で保有が認められるもの・認められないもの

生活保護は、もしものときの支えとして設けられた制度です。しかし、生活保護を申請した場合、「どこまでの資産を持っていてよいのか」と不安を抱く人も少なくありません。本記事では、生活保護を受給する際に保有が認められるもの、認められないものについて、わかりやすく整理して解説します。
高齢者が半数を占める生活保護の現状
厚生労働省が行った「令和6年度 被保護者調査」によると、生活保護を受給している人(総数198万2103人)のうち約半数は65歳以上(104万70人)です。年金だけでは生活に困窮してしまう人が少なくないことがわかります。
高齢期は収入が限られる一方、医療費や生活費などの負担は軽くなりません。働き続けることが難しい場合も多く、「年金だけでは暮らしていけない」現実は、今の日本社会では誰にでも起こり得ます。
とはいえ、生活保護を受けるとなると、資産を保有できないことに不安を感じる人も多いでしょう。生活保護受給のため、何もかも手放さなければならないわけではありません。必要なときに安心して支援を受けられるよう、制度の概要を知っておきましょう。
生活保護で保有が認められるものとは
生活保護制度の目的は、日本国憲法の第25条に定められた「健康で文化的な最低限度の生活」の確保です。生活保護を受けるときに、生活の維持に必要な物まで処分を求められることはありません。保有が認められるかどうかは、「その人の生活にとって必要か」「換金性が高く、生活費に回せる資産ではないか」という観点で総合的に判断されます。
●日常生活に必要な家財道具
冷蔵庫、洗濯機、家具、寝具など、一般的な生活を送る上で必要な物品はそのまま保有できます。新品であることやグレードが高いことだけを理由に処分を求められることはありません。
●少額の預貯金
わずかな預貯金は、急な支出に備えるために認められています。保有できる金額は、地域や生活状況により柔軟に判断されます。
●持ち家
持ち家であっても、居住し続けることが生活維持に適していると判断されれば、住み続けながら生活保護を受給できます。ただし、住宅ローンがある場合、保護費から住宅ローンを返済することは認められません。
●自動車
原則処分対象ですが、「通院が困難な地域に住んでいる」「障害や疾病により車が生活維持に不可欠」「仕事に車が必要」といった場合には、保有が認められるケースがあります。
●就労に必要な道具・資格取得に必要な教材
仕事の継続に不可欠な工具や作業着、資格取得のための教材や備品は、生活再建の観点から保有が許容されます。
●医療・介護上必要な機器
車いす、補装具、障害に伴う特別な医療機器など、健康維持や移動のために欠かせない物は保有できます。
生活保護で保有が認められないもの
生活保護では、換金すれば生活費に充てられる資産は原則として保有が認められません。生活費に転換できる資産を先に活用することが求められるためです。
●高額な預貯金
預貯金は、生活費として取り崩すことが優先されます。明確な金額基準はありませんが、最低生活費の月額を上回る預貯金を保有していれば、生活保護の対象外となるのが一般的です。
●価値が高い土地・建物
居住していない不動産や、賃貸に出して収入が得られる不動産は、生活費に転換できる資産と判断されます。売却や賃貸運用が可能な場合には、まずその活用が求められます。
●投資商品・保険の解約返戻金
株式や投資信託などの投資商品の保有は認められません。生命保険についても、解約返戻金が多い場合は解約して生活費に充てることが求められます。
●高級品・贅沢品
高価なブランドバッグ、宝飾品、希少価値のあるコレクションなどは、生活維持には不要と判断されます。
●生活維持のために不必要な車両
自動車やバイクは、通院や就労など保有が必要と判断される理由がない限り、原則として処分対象です。
制度を知ることで、不安は小さくできる
生活保護は、困ったときに生活を立て直すための公的な支えです。必要な物まで手放す必要はなく、資産の扱いも個々の事情に応じて判断されます。「何が認められるのか」を知ることで、不安は軽くなります。自分や身近な人が困ったときのために、制度を正しく理解しておきましょう。
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森本 由紀 ファイナンシャルプランナー(AFP)・行政書士・離婚カウンセラー
Yurako Office(行政書士ゆらこ事務所)代表。法律事務所でパラリーガルとして経験を積んだ後、2012年に独立。メイン業務の離婚カウンセリングでは、自らの離婚・シングルマザー経験を活かし、離婚してもお金に困らないマインド作りや生活設計のアドバイスに力を入れている。
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