25/08/28
手洗いと食洗機、電気・水道代はどちらが安いのか

時々Web上で目にするトピックのひとつに「食洗機を買いたいが、家族が”手洗いのほうが安い”と同意してくれない」があります。たしかに、食洗機はどんなに安くても数万円はするため、一時的な支出という意味では高く思えるかもしれません。しかし、使い続けることで電気代と水道代が手洗いに比べて節約できるなら、決して「手洗いのほうが安い」とも言い切れないでしょう。
今回は、手洗いと食洗機のどちらが安いか、データを用いて検証してみます。
【結論】水道光熱費は食洗機のほうが安上がり!
経済産業省・北海道経済産業局「実践!おうちで省エネ」によれば、食器を手洗いした場合および食洗機を使った場合の1年間の水道光熱費の試算結果は以下のようになっていました。
<手洗いと食洗機の水道光熱費の比較>

経済産業省・北海道経済産業局「実践!おうちで省エネ」より筆者作成
1年間の差額は約6,419円となり、食洗機を使ったほうが安いという結果がでていました。
他の調査でもおおむね同様で、食洗機のほうが安く上がるようです。大手家電メーカー・パナソニックが2023年11月に公表している「水道光熱費に関する実態調査」では、5人家族(5人分相当)の食器洗いの場合、手洗いと食洗機で年間2万2900円の差が生まれると紹介されています。
<パナソニックの比較>

パナソニック「水道光熱費に関する実態調査」より
電気代・ガス代・水道代などは時期によっても変わりますし、家族の人数によっても変わりますが、食洗機のほうがお得という点は変わらなそうです。
食洗機のメリットと注意点
食洗機には、費用面のお得以外にもメリットがあります。
●時間の節約になる
食洗機を使うと水道光熱費だけでなく、時間の節約にもなります。同じくパナソニックの調べによれば1回の食器洗いに費やす時間は平均で20分ほどと言われています。仮に、食洗機にセットする時間が5分とすれば、手洗いから食洗機に切り替えることで1回あたり15分節約できる計算です。1日2回食洗機を使うと仮定した場合、1年間で180時間の節約になります。
●手洗いより衛生的
食洗機は約50~60℃の高温で食器を洗浄し乾燥させるため、汚れが落ちるだけでなく、高い殺菌効果も見込めます。また、体質的に肌が強くない場合、食器を手洗いすると手荒れの原因になりかねません。しかし、食洗機で洗えば手荒れもしづらくなります。
一方で、食洗機には次のような注意点もあります。
●食洗機に向かない食器もある
食器の種類によっては食洗機が使えない可能性があることに注意しなくてはいけません。特に、熱に弱いものや軽いもの、変色しやすいものは適していないため注意してください。一般的に、以下の素材は食洗機で洗うのに適していないとされています。
・漆器
・銀・アルミ・錫・銅・鉄
・金・銀でメッキ加工されたもの
・クリスタルガラス
・プラスチック製のもの
・金箔・上絵付き陶磁器
・軽いもの
・木・竹・籐製の食器
・口の狭い食器
・強化ガラス製品
・フッ素加工のフライパンや鍋
実際に洗えるかは個々の食器の説明書を確認する必要がありますが、基本的に手洗いするのが無難です。
●賃貸住宅では設置できない場合も
賃貸住宅に住んでいる場合、食洗機の種類によっては設置できない可能性があります。据え置き型といって、水道とつないで使うタイプの食洗機は、分岐水栓工事が必要です。大家さんや管理会社に相談した結果、工事ができないこともあるため注意しましょう。
工事の許可が出た場合でも、退去する際は原状回復が必要です。賃貸住宅で使う場合は、自分で付属のタンクに水を入れて使う給水タンク型の食洗機も併せて検討しましょう。
食洗機を効果的に使うためのポイント
最後に、食洗機を効果的に使うためのポイントを解説します。
・食べ残しや落ちにくい汚れは食洗機に入れる前に取り除いておきましょう。キッチンペーパーやボロ布で拭く、水洗いやつけ置きなどの前処理をすると効果的です。
・食洗機に食器を入れる際は、食器が重ならないように気を付け、汚れの部分に水が当たるように並べましょう。汚れた側が内側もしくは下向きになるように並べると効果的です。
・食洗機自体の手入れもこまめに行いましょう。毎回残さいフィルター(食べ残しなどが引っかかる網のような部分)を洗うとともに、定期的に食洗機庫内クリーナーを使うときれいに保てます。
電気代と水道代以外の点でも前向きに検討を
食洗機を購入するのは、一時的には出費が増えるため損に思えるかもしれませんが、電気代・水道代の節約だけでなく、さまざまなメリットがもたらされます。
食洗機を活用すれば、自分や家族が好きなことをする時間を持てる、食器を衛生的に保てて手荒れからも解放されるなど、良いことづくめです。食器にこだわりがあり、手洗いが必須のもが多いなど特別な事情があるなら無理に買う必要はありませんが、そうでないなら前向きに検討する価値はあるでしょう。
【関連記事もチェック】
・貧乏人は頻繁に行くけど、お金持ちはほとんど行かない場所5選
・「賞与無し・給与高い」vs「賞与有り・給与低い」、年収が同じならどっちが有利?
・「お金持ち夫婦」と「貧乏夫婦」5つの決定的な違い
・金持ちでも貧乏夫婦に転落…払ってはいけない5つのお金
・ゆうちょ銀行にしかない7つのメリット

荒井美亜 金融ライター/ファイナンシャル・プランナー
立教大学大学院経済学研究科を修了(会計学修士)。税理士事務所、一般企業等の経理を経験して現在は金融・マネー系の記事を主に手掛けるライターとして活動中。ゲームを通じて全国の高校生・大学生に金融教育を行うプロジェクト「Gトレ」の認定ファシリテーター(講師)として教壇にも立つ。取得資格はAFP(日本FP協会認定)、貸金業務取扱主任者(試験合格)、宅地建物取引士(試験合格)

この記事が気に入ったら
いいね!しよう