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24/11/28

家計・ライフ

お金がないときに絶対にやってはいけない6つのこと

お金がないときに絶対にやってはいけない6つのこと

「お金がない」は大ピンチです。住居費、水道光熱費、通信費、さまざまな会費など、毎月かかる費用が支払えなくなりますし、生活に事欠くこともあります。ただ、どうにかしてお金を集めないといけないという場合にも、今回紹介する6つのことは絶対にやってはいけません。さらにお金がなくなる事態に陥るからです。

お金がないときに絶対やってはいけないこと①:カードローン(キャッシング)

カードローンはいまや手軽に現金を手にできる方法の筆頭です。借入手続きはスピーディーで手間いらず。問題がなければ1~2時間もしないうちにお金を借りることができてしまいます。申し込みに必要なのは本人確認書類のみ。印鑑も保証人も担保も不要で、借入額によっては収入証明書さえいりません。
1社あたり50万円、他社も合わせれば総額100万円という金額を、カードローン会社は収入確認なしで貸し付け可能としています。

また、カードローンの一種、クレジットカードのキャッシング機能を利用すれば、何の手続きをすることもなく、ATMから30万円程度まで引き出せてしまいます。ATMからお金が引き出せてしまうと、もはや借金という感覚すら薄れてしまうかもしれません。 借金は、時としてチャンスを生かすために必要な手段なのですが、個人向けのローンは金利手数料の負担が大きいため、損をしやすい仕組みになっています。

「きちんと返せるなら借りたって問題ない」という意見もありますが、その意見に筆者は断固として反対します。

重要なのは、このようなときに相手目線で考えられるか。なぜ、金融機関はそんなに簡単にお金を貸すのかを考えてみてください。理由は簡単。「もうかる」からです。相手がもうかるということは、私たちは損をする可能性が高いということでもあります。

カードローンの金利は「利息制限法」という法律によって貸付額と上限金利が決まっています。具体的には、
・貸付額10万円未満…上限金利年20.0%
・貸付額10万円以上100万円未満…上限金利年18.0%
・貸付額100万円以上…上限金利年15.0%
となっています。

大手銀行にお金を預ける際の金利(普通預金金利)は2024年に上昇したとはいえ、年0.1%です(2024年11月22日時点)。年15%~20%もの金利がつくなんてありえないと思われるでしょう。しかし、カードローン会社から見れば、年15%~20%の金利でお金を貸しているのですから、カードローン会社はもうかることがわかります。ですから、お金がないときには絶対にやってはいけないのです。

お金がないときに絶対やってはいけないこと②:リボ払い(後からリボ含む)

クレジットカードの返済方法の一つに「リボルビング払い」、通称「リボ払い」があります。これは、利用件数や金額に関係なく、毎月一定の金額を支払っていくという返済方法。最小支払い額は借入総額によって変わります。

中には「月々1000円からの支払いでOK」などとうたっているサービスもあります。手軽そうですし、一定額を毎月支払っていくだけなら、支出の管理もしやすくて便利だから良いのでは?と思うかもしれません。

しかし、リボ払いは利用残高全体に実質年率15~18%の金利手数料がかかる仕組み。元金はなかなか減らず、完済までの金利手数料は莫大な額になります。さらに、支払いが終わる時期が見えにくいのも難点です。

実際にどれほどの金利負担があるのか、見てみましょう。

●例:以下の条件でリボ払いをした場合の返済総額・返済回数は?

・借入総額=30万円
・毎月の返済額=リボ払い5000円(元利定額方式:返済元金+利子=5000円)
・年利15%

この場合、計算上の返済総額は55万7868円。
借りたのは30万円なので、利子は差し引き25万7868万円も支払うことになります。返済回数も112回、完済までに9年4カ月もかかる計算です。

リボ払いをしてしまうと、なかなか返済が終わらないどころか、多額の利子を払うことになるのがおわかりいただけると思います。リボ払いは絶対にやってはいけないのです。

お金がないときに絶対やってはいけないこと③:「隠れリボ払い」のサービス

「リボ払い」という言葉では敬遠されるからかは定かではありませんが、サービス名からはわからないものの、実態はリボ払いという「隠れリボ払い」のサービスがあります。これももちろんリボ払いですので、お金が貯まらない原因になってしまいます。

たとえば「LINEポケットマネー」は、スマホでお金の借り入れ・返済ができるサービス。24時間いつでも申し込みができ、申し込むと最短でその日のうちにLINE Payにお金が入金されます。借りられる金額は最大300万円、金利は実質年率3~18%となっています(実際の条件は、LINE上での行動によって算出される「LINE Score」をもとに決定します)。

このLINEポケットマネーの返済方式は「残高スライド元利定額リボルビング方式」となっていますので、リボ払いです。LINEポケットマネーでは毎月16日か26日に一定額がLINE Payの残高、または銀行口座から自動で引き落とされ、返済されます(指定日以外の随時返済・一括返済も可能)。とはいえ、返済までの間も利用残高に応じた手数料がかかるため、返済がなかなか終わらない、ということになりかねません。

また、メルカリのスマホ決済サービス「メルペイ」の「メルペイスマート払い」は、全国のメルペイ加盟店(コンビニ、飲食店、ドラッグストア、一部のネットショップなど)の支払いを翌月以降に後払いできるサービス。利用に際して、メルカリの利用実績などの審査に通れば、最大で20万円まで後払いできます。

買い物時にメルペイスマート払いを選び、一括払いをする分には問題ありません。しかし、「定額払い」はリボ払いです。毎月の残高に手数料が上乗せされる「元利定額リボルビング方式」だといえます。

さらに、クレジットカードによってはあらかじめ支払い方法がリボ払いに設定されている「リボ専用カード」もあります。リボ専用カードの場合「1回払い」と伝えても自動的にリボ払いになります。
リボ払いの手数料は割高ですので、これらのサービスはまったくおすすめしません。

お金がないときに絶対やってはいけないこと④:給与前払いサービス

給与前払いサービスは、本来の給料日より前に給与を受け取ることができるサービス。たとえば給料日前にお金がピンチという場合に、借金をすることなくお金を受け取れます。セブンイレブンをはじめ各地にあるセブン銀行のATMで給与が受け取れる「CRIA(クリア)」、スマホで前払いを申請できる「Payme(ペイミー)」、楽天銀行を使えば手数料がかからない「楽天早トク給与」などが知られています。

「給与を早めに欲しい」というニーズは結構あるようで、実際給与前払いサービスを導入した会社では離職率が低下につながっているともいわれています。確かに、今月のやりくりが難しいというときに、お金が先に受け取れたら安心でしょう。

しかし、給与前払いサービスは、利用の際に手数料がかかる場合があります。手数料がいくらかはサービスにより異なりますが、なかには前払い分の6%が差し引かれてしまうものも。仮に10万円前払いを受けたら手数料は6000円ですから、結構な出費です。これでは、金利こそ多少違うとはいえ、給料日前に借金をして手数料を支払うのと大差ありません。ですから、やはり使うべきではありません。

お金がないときに絶対やってはいけないこと⑤:ギャンブル、リスクの高い投資

一か八か、ギャンブルに挑戦…というのは絶対にNGです。そう簡単にお金は増やせません。

そもそも、競馬とボートの還元率は約75%、パチンコは約85%と定められていますが、これは、競馬とボートは25%、パチンコは約15%が胴元の取り分で、その残りが参加者に分配されるということ。数値で考えると、1万円を賭けた場合、競馬なら2500円、パチンコなら1500円を平均的に失うということです。

また、宝くじやtoto(サッカーくじ)はパチンコなどのギャンブルとは別物と考えている人も少なくありませんが、これらもれっきとしたギャンブルです。しかも、還元率は宝くじが約46%、totoは約50%という驚きの低さなのです。
こうして見ると、ギャンブルでお金を増やすのは至難の業であるのは一目瞭然。

そして、お金がないときに、レバレッジのある金融商品に手を出すのも危険です。例えば、株の信用取引、FX、仮想通貨(暗号資産)、オプションなどです。
レバレッジとは「てこ」のこと。金融商品のレバレッジとは、投資する金額の数倍、ときには数十倍の金額の取引ができるようにするしくみのことをいいます。
レバレッジをかけることで、少額でも大きな利益を上げる期待ができますが、同時に少額でも大きな損失を抱える可能性も生じることを忘れてはいけません。

例えば、株の信用取引では、金融機関に預けたお金の最大約3.3倍の取引ができます。また、FXではレバレッジをかけることで最大25倍の取引ができます。うまくいけば、通常の取引よりも効率よく利益を上げることができますが、もし失敗すれば、お金の追加(追証・おいしょう)を求められたり、一瞬でお金が吹き飛んでしまったりすることもありえるのです。

お金がないと、すぐに増やしたいという欲望に駆られます。それがリスクを取った投資につながります。リスクが高いとお金が増える可能性が増しますが、同時にお金を失う可能性も増します。タイミングを見計らっての一括投資をするのも危険です。

投資は余裕資金で始めることが鉄則。借金をしてまでギャンブルや投資するのはご法度です。楽してお金を稼ぐなんて夢のまた夢です。

お金がないときに絶対やってはいけないこと⑥:闇バイト

近年社会問題化している「闇バイト」。SNSなどで「簡単なお仕事」「誰でも高収入」などという文言で人を誘い、申し込んできた人を犯罪行為に加担させるという手口です。

実際に申し込むと、秘匿性の高い通信アプリに案内されて個人情報を送るように促されるとのこと。言われるがままに送信してしまうと、特殊詐欺(いわゆるオレオレ詐欺など)の現金や薬物などの受け渡し役にされたり、強盗や窃盗の実行犯にされたりしてしまいます。また、それらの犯罪への加担を拒否すると、今度は個人情報をもとに脅迫するという、極めて悪質なものになっています。 万が一闇バイトをしたとしても、報酬を支払うこともない場合が多いため、「使い捨て」になっているのが実情です。それどころか、闇バイトはれっきとした犯罪ですから、逮捕されて人生を台無しにしてしまう可能性も十分にあります。

似たものに「お金配り」もあります。SNSでフォローや「いいね」などをすることで高額なお金やポイント、ギフト券などがもらえるなどとして募集をしていますが、こちらも犯罪の温床です。「当選したお金をもらうには手数料がかかる」などとして手数料を奪い取られたり、伝えた口座情報を利用してさらなる大きな詐欺が行われたりするケースもあります。

少し考えれば、簡単なお仕事で誰でも高収入が得られるわけないことがわかるでしょう。「ホワイト案件」(犯罪ではない仕事)で検索したから大丈夫だと思った…というケースもあるようですが、そもそも「ブラック案件」で募集する仕事があるわけもありませんし、ホワイト案件とわざわざ書くのも不自然だと思うべきです。

ただ、お金がなくて切羽詰まっているときにこうした誘い文句を見ると、冷静な判断ができなくなり、ついひかれてしまうという人もいるのが実情なのでしょう。
しかし、こうした闇バイトでなんとかなることは絶対にありませんので、くれぐれも手を出さないようにしてください。

お金がないときにやるべきたった1つのこと

今は、どうにかしてお金を手にしたいと思えば、簡単に手に入ってしまう世の中になっています。けれども、返す必要があるお金、運の要素が強いお金を、真の意味で「自分のお金」と呼ぶことはできません。

自分のお金と呼べるお金を用意するためには、自分のお金をしっかりと貯蓄する仕組みを構築することが必要。「お金がないときに」というより、お金がなくなる前からお金を確実に貯蓄する仕組みを整えて、お金を確実に貯めていくことが欠かせません。

お金を確実に貯蓄する仕組みは、実は単純です。収入から貯蓄を先に確保し、残ったお金で生活すればいいのです。これを「先取り貯蓄」といいます。

お金が貯まらない人は、収入を使った余りを貯めようとする「収入―支出=貯蓄」をしています。しかしこれでは、お金を多く使った月には貯蓄ができなくなってしまいます。しかし、「収入―貯蓄=支出」と考えて、収入から先に貯蓄分のお金を取り分けて、残ったお金で生活すれば、仮に残ったお金を全部使っても、貯蓄分は残り、確実に貯蓄できます。

先取り貯蓄は、自動的・強制的に行える仕組みを利用して行うのがおすすめ。そうすれば手間もかかりませんし、「今月は出費が多かったから一回パス」などと、お金を貯めなくなるようなことも防げます。

先取り貯蓄を自動的・強制的にできる仕組みには、次のようなものがあります。

●①財形貯蓄制度

給与から天引きで貯蓄できる制度です。お金は指定金融機関に自動的に送られます。引き出すのに上司の確認や承認印が必要な会社も。安易に引き出しにくいことがかえって貯蓄向きかもしれません。なお、会社が財形貯蓄制度を導入していない場合は利用できません。

●②社内預金制度

こちらも給与から天引きで貯蓄できる制度なのですが、勤務先が金利を優遇してくれます。金融機関に預けるよりも有利ですので、制度があるならぜひ活用したいところです。

●③定期預金の積立

金融機関の預金口座から毎月一定額を自動的に引き落として積み立てていく方法です。誰でも設定できるので気軽ですが、財形貯蓄制度や社内預金制度のような強制力はありません。

●④投資信託の積立投資

投資信託は、投資家から集めたお金を専門家が代わりに運用してくれる金融商品。これを毎月少しずつ買い付けていく方法です。投資なので、利益が出ることがあれば損失がでることもあるのですが、それでもコツコツ買い付けると、長期的な値上がりが期待できます。

●⑤新NISA

NISAは投資で得られた利益(値上がり益・配当金・分配金)にかかる税金がゼロにできる制度。2024年に制度が改正された新NISAでは、積立投資専用のつみたて投資枠で年120万円、一括投資もできる成長投資枠で年240万円まで投資可能。1人あたり1800万円(生涯投資枠)までの投資の利益が非課税にできます。このうち、つみたて投資枠で買うことができる金融商品は、金融庁が定めた基準を満たす「投資信託」や「ETF(上場投資信託)」。投資対象の商品が絞り込まれていて選びやすいのが特徴の制度です。

●⑥iDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)

iDeCoは加入者自身が掛金を積み立てて運用し、その成果を60歳以降に受け取る制度。老後の「自分年金」を作ることのできる制度です。iDeCoでは、積立時、運用時、受取時の3つのタイミングで節税可能。とくに積立時には、拠出した掛金が全額所得控除になるため、毎年の所得税や住民税が減らせるメリットがあります。

まだ貯蓄ができていない方は、まずは①~③のような方法で、お金を確実に貯めていきましょう。その上で、お金自身にも働いてもらう選択肢として、④~⑥を検討してみてください。投資信託の積立投資は、金融機関によっては100円からでもスタートできます(iDeCoでの運用は月5000円から)。

頼藤 太希 マネーコンサルタント

(株)Money&You代表取締役。中央大学商学部客員講師。慶應義塾大学経済学部卒業後、外資系生命保険会社にて資産運用リスク管理業務に従事。2015年に現会社を創業し現職へ。ニュースメディア「Mocha(モカ)」、YouTube「Money&YouTV」、Podcast「マネラジ。」、Voicy「1日5分でお金持ちラジオ」、書籍、講演などを通じて鮮度の高いお金の情報を日々発信している。『はじめての新NISA&iDeCo』(成美堂出版)、『定年後ずっと困らないお金の話』(大和書房)、『マンガと図解 はじめての資産運用』(宝島社)、など書籍100冊、累計170万部超。日本証券アナリスト協会検定会員。宅地建物取引士。ファイナンシャルプランナー(AFP)。日本アクチュアリー会研究会員。X(旧Twitter)→@yorifujitaiki

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