24/10/28
【最新版】世界の平均賃金ランキング1位はどこの国?日本は何位?
「失われた30年」という言葉があります。これは1990年代初頭にバブルが崩壊して以降、日本において長く続いている長期間の不景気状態を指す言葉です。長期間不景気状態にある以上、賃金も上がらない状態が続いています。そのような中でお金を貯めるには、相当な自覚を持ち、方法を考えなくてはいけません。
今回の記事では、世界と比べ日本の賃金はどれだけ低いのか、公的なデータを用いて検証してみましょう。
世界一平均賃金が高いのはルクセンブルグ
まず、OECD(経済協力開発機構)がまとめた2023年時点での平均賃金(年収)についてみてみましょう。
<2023年OECDの平均賃金ランキング※抜粋>
OECD「Average annual wages」より筆者作成
グラフはOECD加盟国のうち平均賃金トップ3の国と日本を含めたG7各国および韓国の平均賃金と順位をまとめたものです。
1位に輝いたのはルクセンブルグで、85,526ドルにものぼります。以下、アイスランド、スイスときて、4位に米国がランクインしています。一方、日本はデータのある33か国中24位。G7および韓国よりも低い水準にあります。
日本の平均賃金は30年間ほとんど増えていない
先ほどと同様、約30年前にあたる1993年の平均賃金のデータを見てみましょう。この時、世界一賃金が高い国はオランダ(63,601ドル)でした。ここでは、先ほどの国々の1993年時点の平均賃金を見てみましょう。
<1993年OECDの平均賃金※抜粋>
OECD「Average annual wages」より筆者作成
これらのデータをもとに、30年間で平均賃金がどれだけ伸びたかをまとめました。
<30年間で平均賃金はいくら増えた?>
OECD「Average annual wages」より筆者作成
日本は30年間で約400ドルしか賃金が上がっていません。しかし、イタリアを除く他の国では、1万ドル以上も上がっています。例外といえるのがイタリアで、約800ドルの下落に転じていました。
なぜ、日本の平均賃金は上がらなかったのか?
では、なぜ日本の平均賃金は上がらなかったのでしょうか。主な原因として考えられるのは以下の3つです。
●①企業による人件費の削減
1990年代前半にバブル経済が崩壊し、収益の悪化に苦しんだ企業は、対策の一環として人件費の削減を打ち出しました。既に働いている従業の給料を下げたり、新規採用の中止・人員削減を行ったりなどして収益の悪化に備えていたため、平均年収も引き下げられています。
●②非正規雇用者の増加
2000年代に入ると、労働者派遣法の改正により、対象業務が大幅に広がりました。つまり、従前は労働者派遣を禁止されていた業務でも派遣社員が従事することが可能になっています。これにより、以前は正社員がやっていた業務を派遣社員に代替させる企業が増え、人件費も引き下げられることになりました。
●③少子高齢化
日本は世界に類を見ないほどの少子高齢化社会に突入しています。働き手が減っている状態である以上、経済が衰退するのも時間の問題です。このような背景を踏まえると、今後も日本の平均年収が大幅に増加することはあまり期待できません。
まずは自分でできることをやってみよう
日本の平均年収が増えていくことが期待できない中でお金を貯めていくのは、一見難しく思えるかもしれません。しかし、そのような状況下だからこそ、正攻法でコツコツと続けていくことが重要になります。次のポイントを心得て、まずはできることから始めてみてください。
・ 自分が何にお金を使っているのかを把握する
・ 無駄な出費は省く
・ 「先取り貯金」を心がける
・ 少しずつでも良いのでiDeCoやNISAなど資産運用を始める
重要なのは「ちりも積もれば山となる」を意識することです。「毎月生活で精いっぱいで、お金を貯める余裕なんてない」と思うかもしれませんが、1ヶ月に1万円などまずはハードルを下げてみましょう。
1年間で12万円、10年続ければ120万円にもなります。決して無駄な努力ではないので、まずは気軽にチャレンジしてみてください。
「日本はもうダメ?」という誤解は禁物
そして、日本に住む私たちが決して持ってはいけない思い込みもあります。本記事でも紹介してきたように、日本は30年間平均年収が上がっていないなど、深刻な不景気に見舞われている国です。他の国は平均年収が上がっている、という報道を見て「日本はもうダメなの?」と悲観的になる人がいてもおかしくはありません。
しかし、公共交通機関はほぼオンタイムで運行される、街はきれいで道路も整備されているなど、日本が世界に誇るべきところはたくさんあります。アメリカの大手旅行雑誌『コンデナスト・トラベラー(Condé Nast Traveler)』によれば、2023年と2024年の2年連続で日本は「世界で最も魅力的な国」に選ばれました。
筆者は「日本はもうダメ?」という誤解は禁物だと思っています。本当にダメならこのような評価が得られるはずはないからです。このような魅力的な国に暮らせることを誇りに思いつつ、何をすればより良い方向に向かうか考え、自分にできることをやっていくこと―これが、現段階での「平均賃金の低い日本での暮らし方」への1つの答えかもしれません。
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荒井美亜 金融ライター/ファイナンシャル・プランナー
立教大学大学院経済学研究科を修了(会計学修士)。税理士事務所、一般企業等の経理を経験して現在は金融・マネー系の記事を主に手掛けるライターとして活動中。ゲームを通じて全国の高校生・大学生に金融教育を行うプロジェクト「Gトレ」の認定ファシリテーター(講師)として教壇にも立つ。
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