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24/10/21

相続・税金・年金

59歳までに必ずすべき「定年後」の準備6選

59歳までに必ずすべき「定年後」の準備6選

厚生労働省の「就労条件総合調査」(2022年)によると、60歳を定年とする企業の割合は、一律定年制を採用している企業の約7割。それは、みなさんの多くが59歳までにこの人生のビッグイベントと向き合わなければならないことを意味しますが、やるべきことを挙げればきりがありません。そこで今回は、目には見えないものも含めて、みなさんが培ってきたさまざまな「資産」から生み出される収入を老後に向けて最大化へと導く「6つの準備」を見ていくことにしましょう。もちろん、早く始めれば始めるほどその効果は絶大です。

59歳までに必ずすべき定年後の準備①:定年後のキャリアビジョンを設計する

内閣府の「高齢者の経済生活に関する調査」(2019年度)によると、「働けるうちはいつまでも」働きたいとする約4割の人を含めて、現在収入のある60歳以上の約9割が70歳くらいまでまたはそれ以上まで働きたいと回答しました。その理由もまた、健康や生きがい、社会とのつながりなど、歳をとればとるほど多様化する点に注目です。がむしゃらに働いてきたこれまでとは違う視点からも、「働く」をアップデートしてみてはいかがでしょうか。

<仕事をしている理由(性・年齢別)>

内閣府「高齢社会白書(2020年版)」より

事業主には「高年齢者雇用安定法」によって、希望する従業員の雇用を65歳まで確保する義務があります。2022年6月1日から2023年5月31日の1年間に60歳定年を迎えた約40万人のうち、継続雇用(再雇用・勤務延長)を選択した人の割合は87.4%。みなさんの中にも、「60歳定年―65歳まで継続雇用」をすでに決めている人は多いかもしれません。

2021年4月1日からはさらに、70歳までの就業機会確保が、事業主の努力義務となりました。実際、23.5%の企業で70歳までの継続雇用制度が導入されており、その数は年々増加しています。まずは、現在の勤務先でいつまで働くことができるのか、仕事内容や給与体系等の待遇面を含めて、勤務先に確認しましょう。

継続雇用は慣れ親しんだ環境で仕事が継続できる一方で、嘱託・契約社員への移行、給与の減少(一般的に3~5割減)、役職が外れることによる人間関係の葛藤などを、すでに周囲で目の当たりにしているかもしれません。再就職先を見つける、人脈やキャリア等を活かした起業・独立もまた、前向きなチャレンジと言えます。家計収支の見通しや、スキルの棚卸し等をもとに、家族ともよく話し合いながら計画を立てましょう。

59歳までに必ずすべき定年後の準備②:雇用保険の使い方を理解する

雇用保険からの給付は、みなさんのセカンドキャリアを、さまざまな形で後押ししてくれますが、最大限に活用するためには、50代からの準備が不可欠です。ここでは、定年前後に特に知っておきたい給付を3つ紹介します。

●給付①:「教育訓練給付」を利用して50代からスキルアップ

主体的な能力開発や、中長期的なキャリア形成を支援する「教育訓練給付制度」。政府が進める「リスキリング(学び直し)」を背景に、2024年10月には給付率の拡充が行われました。厚生労働大臣が指定する約16,000の教育訓練を修了すると、そのレベル等に応じて、受講費用の一部(最大80~20%)が支給されます。

<教育訓練の種類と給付率>

厚生労働省「教育訓練給付制度のご案内」より筆者作成

今までに教育訓練給付を受けたことがない人は、雇用保険の加入期間が1年(専門実践教育訓練は2年)以上あれば、教育訓練給付を受けられます。すでに離職している人も、離職から1年以内であれば受けられるので、セカンドキャリアに向けてフル活用しましょう。

●給付②:「求職者給付(基本手当)」をもらいながら再就職先を探す

失業中の生活を支える基本手当は、定年や契約期間満了による離職の場合には、7日間の待機期間を終えるとすぐに支給されますが、定年を迎える前に転職をするようなケースでは、さらに原則2ヶ月の給付制限期間が設けられている点に注意しましょう。なお、2025年4月からは、この給付制限が原則1ヶ月に短縮されます。したがって、定年を待たずして、転職をする選択肢は今後広がるかもしれません。

<基本手当の給付日数(定年、契約満了、自己都合退職)>

筆者作成

基本手当は、離職の日の翌日から1年の間に所定給付日数を限度として支給されますが、少しゆっくり考えてから動き出したいと考えている人もいるはずです。60歳以上の定年の場合には、受給期間を最長1年延長することができる仕組みがあるので、離職から2ヶ月以内に忘れずに申請の手続きを行いましょう。
病気やけが、親族の介護等で一時的に働けない人も、最長3年の延長ができます。独立して事業を開始等した人は、最大3年間受給期間に算入しないとする特例にも注目です。

<事業を開始等した人を対象とする受給期間の特例>

厚生労働省「離職されたみなさまへ」より

さらに、再就職に向けて、ハローワークの指示で「公共職業訓練」を開始すると、原則2ヶ月(2025年4月からは1ヶ月)の給付制限が解除されます。訓練期間中は他にも、「受講手当」や「通所手当」等の支給に加えて、訓練を修了するまで基本手当の支給が延長されるなど、スキルアップをしながら仕事を見つけたいみなさんを、後押ししてくれるはずです。受講料もかかりません。なお、教材代等は自己負担となります。

●給付③:「高年齢雇用継続給付」を利用して賃金の減少をカバー

60歳に到達した時点に比べて賃金が75%未満に低下した、雇用保険の加入期間が5年以上ある60歳以上65歳未満の人は、その低下分を雇用保険からカバーしてもらえます。

基本手当を受け取っていない人に支給される「高年齢雇用継続基本給付金」は、賃金が61%以下となった場合には下がった後の賃金の15%、61%超75%未満の場合は低下率に応じた支給率に基づき支給されます。しかしながら、 2025年度以降に60歳を迎える人からは最大10%に縮小、2030年度以降に60歳に迎える人からは廃止が予定されている点には注意してください。

一方、基本手当を100日以上残して再就職した人で、再就職後の賃金が75%未満に低下した場合には、支払われた賃金の最大15%(2025年度以降は10%)が「高年齢再就職給付金」として支給されます。支給期間は、基本手当の残日数によって1年もしくは2年です。支給残日数に応じて支給される給付としては「再就職手当」もありますが、もらえるのはどちらか一方となります。

<高年齢再就職給付金と再就職手当の比較>

厚生労働省「雇用保険事務手続きの手引き 」より筆者作成

59歳までに必ずすべき定年後の準備③:公的年金の加入記録と見込み額を確認する

これまで長年働き、保険料を納めてきたみなさんにとって、公的年金(以下、年金)の加入記録もまた大切な資産です。セカンドキャリアと連動する形で、その資産をもっと大きくする方法を見ていきましょう。

●59歳の誕生月に届く「ねんきん定期便」は情報が満載

みなさんは、毎年の誕生月に届く「ねんきん定期便」や、マイナポータルからアクセスできる「ねんきんネット」を使って、ご自身の加入記録に「漏れ」や「誤り」がないかを定期的に確認していますか。とりわけ、封書で届く59歳の定期便には、これまでの年金の加入履歴がすべて記載されているので、必ず確認をしてください。

50歳以上の定期便には、現在の加入状況が60歳まで続いたと仮定した場合の65歳からの老齢年金の見込額が詳細に示されている点もポイントです。この見込み額は、老後の家計を考える上で非常に貴重な情報ではあるものの、将来の完全な予測を示すものではありません。ライフスタイルやキャリアの変化、60歳以降の加入によって、将来の年金収入がどう変化するかは、「ねんきんネット」や「公的年金シミュレーター」も用いながら、独自に試算を行う必要があります。

●基礎年金が満額もらえない人はどうすればいい?

国民年金保険料の未納期間や年金額の算定には含まれない合算対象期間(カラ期間)があるために、基礎年金(2024年度:68,000円/月)が満額もらえないと思っている人もいるかもしれません。今のままででは満額もらえない人は、60歳から65歳になるまでの間、国民年金に任意加入することができるので、できる限り満額に近づけましょう。任意加入する人は、月400円の付加保険料の納付で基礎年金の上乗せが作れる「付加年金(200円×付加保険料の納付月数)」にも注目です。

しかしながら、これはあくまで、60歳以降厚生年金保険に加入していないケースにおける対処法です。60歳以降も厚生年金保険に加入する人は、国民年金の任意加入被保険者になることはできませんが、60歳以降の加入期間については、老齢基礎年金に相当する「経過的加算」が老齢厚生年金に上乗せして支給されます。そして、2階となる報酬比例部分の年金額が増えることはやはり、厚生年金保険に加入しながら(最長70歳になるまで)働く最大のメリットと言えるでしょう。

<厚生年金保険の加入継続で増える年金額の目安(報酬比例部分)>

筆者作成

59歳までに必ずすべき定年後の準備④:公的年金の受給計画を立てる

60歳以降の就労以外に、年金の受け取り方によってもまた、「ねんきん定期便」に記載されている見込み額は大きく変わります。経済(物価や現役世代の賃金)に連動して終身もらえる年金を、「いつからもらい始めるか」は老後の家計を考えるうえで非常に重要な選択です。先ほど紹介した試算ツールも活用しながら、(セカンドキャリアと合わせて)50代のうちに受給計画を立てておくことで、家計の見直しや、6つ目に紹介する資産運用など、真に取り組むべき課題がこれまで以上に明確になります。

●老後の家計収支のリアル

総務省統計局の「家計調査年報(家計収支編)2023年」によると、世帯主が65歳以上の無職世帯(2人以上)では、平均月222,725円の可処分所得(実収入から直接税、社会保険料などの非消費支出を差し引いた額)に対して、消費支出(食費や光熱水費等)は252,928円。毎月の黒字率は▲13.6%(つまり赤字)となっています。

しかし、この数字はあくまで65歳以上の平均に過ぎません。世帯主が65~69歳の黒字率は▲16.0%であるのに対して、75歳以上になると▲11.7%と、年齢を重ねるごとに赤字幅が縮小していることがわかります。ちなみに、世帯主が60歳以上の勤労者世帯では毎月平均22.8%の黒字です。60代後半以降も自分のペースで働くことによる、家計や気持ちのゆとりは、これらの数字も参考になるかもしれません。

●選択肢としての「就労」と「繰り下げ受給」

就労によるゆとりがあれば、年金受給の開始を繰り下げることで、統計上は赤字となっている70歳以降の家計もその収支がバランスしてくることでしょう。繰り下げ受給による増額率は、1ヶ月繰り下げるごとに0.7%。65歳で180万円もらう予定だった年金額は、70歳まで繰り下げると255.6万円(増額率42.0%)、75歳まで繰り下げると331.2万円(増額率84.0%)へ、それぞれ大きく増やすことができます。

もちろん、「預貯金は使うな」「資産を取り崩すな」と言っているわけではありません。就労や(増額された)年金で日常生活にかかる費用がまかなえることを理解していれば、旅行や趣味などへの支出計画も立てやすくなることでしょう。一時的にかかる支出や、緊急の支出が生じた場合の安心も違ってくるはずです。

59歳までに必ずすべき定年後の準備⑤:退職金の受給計画を立てる

退職金もまた、長年働いてきたみなさんが積み上げている大切な資産ですが、その手取り額で損をしたくないですよね。老後のくらしの原資となる退職金は、その政策的配慮から手厚い税制優遇の措置が設けられています。それが下に示した「退職所得控除」です。所得税や住民税のベースとなる「退職所得」は、収入(退職金)からこの「退職所得控除」の金額を引き、さらに1/2をかけて算出されます。

【退職所得控除額】

・勤続年数20年以下・・・40万円×勤続年数(最低80万円)
・勤続年数20年超・・・・40万円×20年+70万円×(勤続年数-20年)

例えば、勤続年数35年の人の退職所得控除額は、「40万円×20年+70万円×(35年-20年)=1,850万円」です。つまり、退職金が1,850万円までであれば、退職金に対して税金がかからないため、(年金型と選べる場合でも)基本的には一時金型でもらうのがお得です。社会保険料もかかりません。

今回は、セカンドキャリアに向けて早期に退職する人も念頭に、50代のうちに退職所得控除について理解する必要性を紹介しましたが、自分で退職日が選べる場合には特に、勤続年数に注目です。退職所得控除額の計算において、勤続年数1年未満の端数は「切り上げ」。つまり、勤続期間「35年1日」で退職した場合、退職所得控除額における勤続年数は36年となるため、非課税枠がさらに大きくなります。

他にも年金型(公的年金等控除)との併用や、確定拠出年金がある場合の注意点など、退職金のお得な受け取り方に関する話は奥が深く、早めに聞いておいて損はありません。まずはお勤め先の退職給付(一時金・年金)の体系や金額、支給時期等をしっかり確認したうえで、より具体的なアドバイスを税理士などの専門家に求めてみるのもおすすめです。

59歳までに必ずすべき定年後の準備⑥:資産寿命を延ばすために投資運用を始める

日々の家計のやりくりに精一杯で、これまで老後資金を考える余裕がなかったという人も多いことでしょう。今日が人生で一番若い日。投資運用で老後資金を作る時間は十分にあります。ポイントは、投資運用を行う目的を明確に持ち、必要以上に資産を危険に晒さないことです。

●投資運用の目的を明確にしよう

大前提として、老後に必要なお金のすべてを、貯蓄や投資運用でまかなう必要はありません。これまで紹介してきた、セカンドキャリアのビジョンや年金の受給計画を50代のうちに立てて行動する重要な理由は、投資運用だけがすべての手段ではないことを理解するためとも言えます。そして、50代からでもある程度リスクをとりながら、時間をかけて資産形成に取り組めることに気づくはずです。

さらに、持続な物価上昇によるインフレリスクへの対応が、今後ますます求められます。しばらく使う予定のない老後資金の価値が、インフレで目減りしないように守ることも、50代から投資運用を始める大きな役割として注目です。

●iDeCoやNISAをフル活用しよう

株式や投資信託などの運用商品へ投資をする際には、元本割れのリスクを理解しておく必要があります。そのリスクを軽減し、長期的に安定したリターンを獲得するための基本が、「長期・積立・分散」であることは、20代でも50代でも同じです。

iDeCo(個人型確定拠出年金)やNISA(少額投資非課税制度)を活用するとさらに、投資運用から発生する利益に対して税金がかかりません。年齢制限がなく非課税枠も大きいNISAの方が、定年前後のみなさんにとっては使い勝手がよい一方で、引き出し制限や所得控除による節税メリットはやはり、iDeCoが老後資金づくりに最適と言われる理由です。iDeCoとNISAは併用することもできます。これらの制度をフル活用しながら、ゆとりある老後のくらしに向けた準備を始めましょう。

<iDeCoとNISAの比較>

※公務員や確定給付型企業年金のある会社員のiDeCoの掛金額上限は、2024年12月から月1万2000円→月2万円に引き上げられます。

厚生労働省「iDeCoの概要」より

これまで培ってきた資産の棚卸しをしよう

交友関係、キャリア、知識、経験、スキル、ノウハウ、年金の加入実績、退職金、その他金融資産等。目には見えないものも含めて、50代のみなさんがこれまで築いてきた資産は多くの可能性を秘めています。もし、これから迎える老後がネガティブな景色として写っているのであれば、これらの資産を棚卸し(見える化)することで、新たな景色が見えてくるかもしれません。

今回紹介した、資産から生み出される収入を最大化させる6つの準備を通じて、まずは人生100年時代がまだまだ多くの機会と挑戦にあふれていることを実感しましょう。最大のポイントは、国が用意している制度のフル活用です。周囲よりもひと足早く、老後に向けた準備を始めてみませんか。次なる効果的な一手に向けてもまた、早めの行動が求められます。

神中 智博 ファイナンシャルプランナー(CFP®)

1992年宮崎県生まれ。関西学院大学会計大学院を修了後、NTTビジネスアソシエ西日本で、NTT西日本グループの財務や内部統制等の業務に従事。2022年10月に兵庫県神戸市で独立系FP事務所ライフホーカーを開業し、現在に至る。家計相談に加えて、公的年金や確定拠出年金(iDeCo・企業型DC)を活用した資産形成に関するテーマを中心に、執筆・講演活動も展開。「老後不安バスター」として、だれもが老後に向けて自信を持てる社会を目指して奮闘している。CFP®(日本FP協会認定)の他、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、1級DCプランナー、企業年金管理士(確定拠出年金)、一種外務員資格等を保有。
X(旧Twitter)→https://twitter.com/lifehawker

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