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24/09/22

相続・税金・年金

年収300万円と600万円、年収が倍違っても年金はそんなに変わらないって本当?

年収300万円と600万円、年収が倍違っても年金はそんなに変わらないって本当?

みなさんの老後の暮らしを支える公的年金。私たちは将来、1階部分の「老齢基礎年金」に加えて、厚生年金保険の加入歴が1ヶ月でもあれば、賃金と加入期間に応じて2階部分の「老齢厚生年金」を受け取ることができます。そこで今回は、年収が300万円の人と600万円の人で、年金額がいくら違うのかを見ていきます。果たして、年収が2倍になると、年金額も2倍になるのか注目です。

年収が2倍でも年金額は2倍にならない

20歳の新入社員である、AさんとBさんの2人がいるとしましょう。どちらも賞与は一切受け取らないものとしたうえで、入社から1年が経過した時点で反映されている将来の年金額は次のとおりです。なお、基礎年金部分は、2024年度の年金額に基づきます。

【毎月の賃金が25万円(年収300万円)のAさん】

37,500円
 (内訳)基礎年金部分:20,400円、厚生年金部分:17,100円
 (参考)厚生年金保険料:47,580円/月(労使折半)

【毎月の賃金が50万円(年収600万円)のBさん】

 

53,286円
 (内訳)基礎年金部分:20,400円、厚生年金部分:32,886円
 (参考)厚生年金保険料:91,500円/月(労使折半)

つまり、年収300万円と600万円では、1年ごとに将来の年金額に15,786円の差が生じる計算です。そして、例えば60歳まで40年間この状態が続くと、Aさんの年金額は約150万円、Bさんの年金額は約213万円と、最終的には約63万円まで差が広がることになります。
Bさんの年収はAさんの2倍であるのにも関わらず、なぜ反映される年金額は約1.4倍に留まっているのでしょうか。

厚生年金保険料には「所得再分配」の機能が働いている

もう一つ、具体的な金額で見ていきましょう。最近は、社会保険の適用拡大によって、パートタイムやアルバイトなどの短時間労働者で厚生年金保険に加入する人も増えてきました。年収150万円のパートタイマーCさんの場合、1年間働くと将来の年金額として28,161円が反映されますが、先ほどのAさんとBさんの関係と同様に、年金額の差は年収の差よりも抑えられていることが分かります。

【毎月の賃金が12万円(年収150万円)のCさん】

28,161円
 (内訳)基礎年金部分:20,400円、厚生年金部分:7,761円
 (参考)厚生年金保険料:21,594円/月(労使折半)

厚生年金保険料は、賃金に比例して増加するにも関わらず、基礎年金は20,400円で、AさんもBさんも、Cさん同じ。つまり、現役世代(およびその事業主)が拠出する厚生年金保険料を通じて、世代内で所得の再分配が行われているのです。この仕組みを理解していれば、年収(所得)の低い人ほど、厚生年金保険に加入して働くメリットについて、理解が深まることでしょう。

そして、「報酬比例部分」とも言われる2階(厚生年金)部分が支給されることで、その年金額に厚みが生まれることは言うまでもありません。所得再分配の機能があることによって、収入が高い人が決して損をしているわけではなく、こちらの2階部分から将来の安心を手に入れることができます。

ちなみに、国民年金の第1号被保険者(自営業者や農業者、学生など)が納める国民年金保険料は、所得等に関係なく定額(2024年度:16,980円)であることから、所得再分配の機能は有していません。

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試算ツールをフル活用して具体的な年金額を把握しよう

将来いくら年金をもらえるのか、その具体的な見込み額は、パソコンやスマートフォンからアクセスができる「ねんきんネット」や「公的年金シミュレーター」を使って、試算をするのが一番です。厚生年金の額を計算する際にはいくつかの留意点がありますが、試算ツールで表示される数字には、これらの留意点が反映されているので、使わない手はありません。

●厚生年金の理解を深めよう①:ベースとなる標準報酬は加入期間の「平均」

厚生年金の額を計算する際のベースとなる「平均標準報酬額」は、各月の標準報酬月額の合計額と標準賞与額の合計額を、2003年4月以降の加入期間で割ったものです。現在の報酬額に加入期間をかけるわけではないので、注意してください。

<厚生年金保険料と年金給付の関係>

筆者作成

なお、2003年以前の加入期間については、各月の標準報酬月額の総額を、2003年3月以前の加入期間で割った「平均報酬月額」がベースとなります。給付乗率も、2003年4月以前に係る分は「1000分の7.125」です。

●厚生年金の理解を深めよう②:標準報酬月額や標準賞与額には上限がある

標準報酬月額は、1ヶ月あたりの報酬額に応じて1等級(88,000円)から32等級(650,000円)まで定められています。例えば、報酬月額25万円のAさんの標準報酬月額は「17等級:26万円」であるのに対して、報酬月額50万円のBさんの標準報酬月額は「27等級:50万円」です。Aさんのように標準報酬月額が月額賃金を上回ることもあれば、逆に下回ることもあるので、ご自身の等級を確認しましょう。

<厚生年金保険料と年金給付の関係>

日本年金機構「厚生年金保険料率および協会けんぽ管掌の健康保険料率」より筆者作成

標準賞与額もまた、支給1回あたりの上限は150万円(同じ月に2回以上支給されたときは合算)で、年3回までと定められています。年収300万円のAさんや年収600万円のBさんのケースでは考慮する必要はないと思われますが、毎月の給与や賞与の水準が高い人は、これらの上限にも注意が必要です。

●厚生年金の理解を深めよう③:現在の手取り賃金水準が反映される

各月の標準報酬月額や標準賞与額を、単純に当時の金額のまま平均すると、年金の実質的な価値が低くなってしまうことは、言うまでもありません。そこで、過去の標準報酬については、現在の手取り賃金水準に読み替えるための「再評価率」が乗じられたうえで、平均標準報酬月額や平均標準報酬額は算出されています。その時々の経済状況に応じて給付額の調整が行われる公的年金の役割について、この機会に改めて押さえておきましょう。

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「これから」の働き方や受け取り方にも目を向けよう

今回は、年収300万円と600万円で、将来反映される年金額にどのくらいの違いがあるかについて、具体的な金額を示しながら解説をしました。年収が2倍でも、年金額は2倍にならない。この背景にある厚生年金保険料の所得再分配の機能は、収入が低い人こそ厚生年金保険に加入するメリットが大きいことを伝えていますが、収入が高いほど2階の厚生年金(報酬比例)部分の充実を通じて将来の安心を手にできることもまた、紛れもない事実です。
しかしながら、私たちが将来もらえる年金額は、現在の年収が決定打になるわけではありません。収入を増やす、より長く働く、受給の開始を繰り下げる、どれもが年金額を増やすためにできる未来形の話です。これらのシナリオで年金額がどのように変わるか、「ねんきんネット」や「公的年金シミュレーター」も活用しながら、セカンドライフの柱となる年金の充実に努めましょう。

神中 智博 ファイナンシャルプランナー(CFP®)

1992年宮崎県生まれ。関西学院大学会計大学院を修了後、NTTビジネスアソシエ西日本で、NTT西日本グループの財務や内部統制等の業務に従事。2022年10月に兵庫県神戸市で独立系FP事務所ライフホーカーを開業し、現在に至る。家計相談に加えて、公的年金や確定拠出年金(iDeCo・企業型DC)を活用した資産形成に関するテーマを中心に、執筆・講演活動も展開。「老後不安バスター」として、だれもが老後に向けて自信を持てる社会を目指して奮闘している。CFP®(日本FP協会認定)の他、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、1級DCプランナー、企業年金管理士(確定拠出年金)、一種外務員資格等を保有。
X(旧Twitter)→https://twitter.com/lifehawker

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