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24/08/09

相続・税金・年金

受け取り方を間違えると大損…手取りを最大化する「退職金&iDeCo」の出口戦略

定年後に給与が減っても働き続けた方がいい5つの理由

退職金は一時金受け取りが基本 退職所得控除のフル活用

退職金の受け取り方には、「一時金」「年金」「一時金&年金」の3通りがあります。そして、どう受け取るかで退職金にかかる所得税・住民税、社会保険料が変わります。

●一時金…一括で受け取る

・退職金は「退職所得」(分離課税:他の所得とは区別して課税)

<一時金の場合の税金・社会保険料>

(株)Money&You作成

●年金…分割で受け取る

・退職金は「雑所得」(総合課税:他の所得と合わせて課税)

<年金の場合の税金・社会保険料>

(株)Money&You作成

退職所得は退職所得控除によって大きく減らせます。退職所得控除は勤続年数によって変わり、20年以下ならば年40万円、20年超の部分は年70万円ずつ増加します。もしも退職金が退職所得控除よりも少なければ、税金はかかりません。
退職金が退職所得控除よりも多くても、退職所得となるのは、その多い分の金額の2分の1ですから、退職所得控除の効果が大きいことがわかります。なお、退職金を一時金で受け取る場合は社会保険料の負担もありません。

年金で受け取る場合も、公的年金等控除は利用できますが、退職所得控除は使えませんし、「2分の1課税」もなく、社会保険料もかかります。控除される金額は退職所得控除より少なくなります。

手取りの金額が最も大きくなるのは「一時金」です。

下図は
・東京都文京区
・38年間勤続で退職金は2000万円
・60~64歳までは再雇用制度を使い、年収300万円で勤務
・協会けんぽに加入
・退職年金は予定利率1.5%で10年かけて受け取る
・所得控除は基礎控除、社会保険料控除、所得金額調整控除のみ
という条件のもとで試算した結果です。

<退職金の受け取り方による手取り額の違い>

著書「マンガと図解 定年前後のお金の強化書」(宝島社)

①一時金、②年金、③一時金+年金の3パターンに分けて手取り額を比べると、最も手取りが多いのは①一時金となりました。
この試算結果はあくまで目安であり、自治体の社会保険料の金額や退職金・企業年金の予定利率などによって詳細は変化するものの、退職金の額が退職所得控除よりも少ないケースでは退職金にかかる税金が0円になるため、おすすめです。

したがって、
・「退職金が退職所得控除より少ない・少しオーバーする」…一時金
・「退職金が退職所得控除よりかなり多い」…退職所得控除の分は一時金、残りは年金
とすると、税金を減らせます。年金の部分は、なるべく長期間かけて少しずつ受け取るようにすると、毎年の年金にかかる税金や社会保険料も少なくできます。
もっとも、多額のお金が手元にあると使ってしまいそうな人は、多少金額が減っても「年金」を選べば、毎年少しずつ受け取れるので無駄遣いが減らせます。

給与の一部を退職金に回して税金を減らし、手取りを増やす

再雇用・再就職をする際、給与の一部を退職時にもらう退職金に回し、退職時に退職一時金として後払いしてもらうと、税金や社会保険料を節約できます。その結果、手取りを増やせます。

60歳から65歳までの5年間、月給25万円(年収300万円)で働いた場合と、月給20万円(年収240万円)で働き、毎月5万円を退職金に回した場合を比較すると、5年間の税金・社会保険料の合計は約71万円も少なくなる計算です。その分、手取りが増やせます。

<退職金に回す・回さないでどう変わる?>

著書「マンガと図解 定年前後のお金の強化書」(宝島社)

ただし、勤続年数が5年以下で「退職所得」が300万円超のときは「2分の1課税」が適用できません。また、給与の一部を退職金に回すことで、納めるべき社会保険料が減るため、給与を退職金に回さない場合と比べて、もらえる老齢厚生年金が若干減る点は押さえておきましょう。

iDeCoと退職金が受け取れる時は、受け取る順番が重要

iDeCoの受け取りには、退職金と同様に「一時金」「年金」の2種類があり、金融機関によっては「一時金+年金」で受け取れます。

一時金受け取りはiDeCoの資産を一括で受け取る方法で、退職所得控除が適用されます。年金受け取りは、iDeCoの資産を分けて受け取る方法で、公的年金控除を受けられます。

退職金とiDeCoは、どちらを先に受け取るかが重要です。
退職金を先に受け取り、iDeCoを後から受け取る場合、「前年から19年以内」に受け取った一時金が退職所得控除の合算の対象になり、税金が高くなりやすいためです。

一方、iDeCoを先に受け取り、会社の退職金を後から受け取る場合、「前年から4年以内」に受け取った一時金が退職所得控除の合算の対象になります。結論、iDeCoを先に受け取り、5年以上空けてから退職金を受け取れば、退職所得控除がiDeCoと退職金の両方に使えるため最大限節税できます。

実際に、受け取り方の違いで税金がいくら変わるのか、確認してみましょう。
例として、勤続年数30年、iDeCo加入年数20年の人が退職金:1800万円 iDeCo:600万円を受け取る場合で考えてみます。

●60歳で退職金とiDeCoを一時金で受け取った場合

退職所得:(2400万円-1500万円)×1/2=450万円
所得税:450万円×20%-42万7500円=47万2500円
住民税:450万円×10%=45万円
→納める税金:92万2500円

退職所得は、退職金とiDeCoの合計2400万円から、退職所得控除の1500万円(退職所得控除は長い方が適用されます)を引いた金額の1/2、450万円となります。この450万円をもとに、所得税と住民税が計算されます。納める税金は92万2500円です。

●60歳でiDeCoを一時金受け取り、65歳で退職金を一時金受け取る場合

・iDeCo
退職所得:600万円-800万円…退職所得ゼロ →つまり税金はゼロ
・退職金
退職所得:(1800万円-1500万円)×1/2=150万円
所得税:150万円×5%=7万5000円
住民税:150万円×10%=15万円
→納める税金:22万5000円

定年が65歳、または60歳定年でも再雇用終了時の65歳に退職金がもらえるという人は、iDeCoの一時金を先に受け取ることが可能です。
iDeCoの一時金は退職所得控除800万円よりも少ないので、退職所得はゼロとなり、税金がかかりません。さらに5年後に退職金を受け取る際には、退職金の退職所得控除が活用できます。それによって、納める税金は22万5000円に。つまり、税金は約70万円も安くなるのです。

では、65歳で退職金が取れない場合はどうすれば良いでしょうか。
その場合は、iDeCoの一時金を退職金と同じ年に受け取らず、その翌年以降に回しましょう。
iDeCoの一時金に退職所得控除が使えなくても、受け取る時期をずらすことで適用される所得税率が下がり、結果として税金が減らせる可能性があります。

●60歳で退職金を一時金受け取り、61歳でiDeCoを一時金受け取る場合

・退職金
退職所得:(1800万円-1500万円)×1/2=150万円
所得税+住民税:7.5万円+15万円=22万5000円
・iDeCo
退職所得:600万円×1/2=300万円
所得税+住民税:20.25万円+30万円=50万2500円
→納める税金の合計:72万7500円

退職金を一時金で受け取ってから1年しか経っていないので、iDeCoの一時金には退職所得控除が利用できなくなります。しかし、「2分の1課税」は適用されます。
計算の結果、納める税金の合計は72万7500円。60歳で退職金とiDeCoの両方を一時金で受け取ったときの税金は92万2500円でしたから、1年ずらすだけでも約20万円も税金を減らすことができました。

続いて、iDeCoは年金形式でも受け取れるので、この方法でお得になる受け取り方も考えてみます。

●60歳で退職金を一時金受け取り、60〜69歳でiDeCoを年金で受取る場合

・退職金
退職所得:(1800万円-1500万円)×1/2=150万円
所得税+住民税:7.5万円+15万円=22万5000円
・iDeCo
毎年60万円(600万円÷10年)受取り
60〜64歳:60万円-60万円 となり非課税
65〜69歳:60万円-110万円 となり非課税
→納める税金の合計:22万5000円

60歳で退職金を一時金受け取りし、60歳〜69歳の間iDeCoを年金で毎年60万円ずつ受け取ります。この間、公的年金を受け取らずに70歳まで繰り下げを行えば、公的年金等控除をフル活用でき、納める税金の合計は22万5000円になります。公的年金等控除では、60歳〜64歳までは60万円、65歳以上は110万円まで非課税になるので、iDeCoはすべて非課税です。

また、年金で受け取る場合には、まだ受け取っていない部分で運用ができます。仮に運用によって資産が増えたとしても、65歳から69歳までの間は年110万円まで非課税になります。

著書「マンガと図解 定年前後のお金の強化書」(宝島社)

以上、退職金とiDeCoの2つにフォーカスしてご紹介しましたが、受け取り方を工夫するだけで、手取りを大きく増やせることがわかります。
定年前後にはこのように知らないと損する準備、手続き、届け出が数多く存在します。

『マンガと図解 定年前後のお金の強化書』 頼藤太希/高山一恵 著

頼藤 太希 マネーコンサルタント

(株)Money&You代表取締役。中央大学商学部客員講師。慶應義塾大学経済学部卒業後、外資系生命保険会社にて資産運用リスク管理業務に従事。2015年に現会社を創業し現職へ。ニュースメディア「Mocha(モカ)」、YouTube「Money&YouTV」、Podcast「マネラジ。」、Voicy「1日5分でお金持ちラジオ」、書籍、講演などを通じて鮮度の高いお金の情報を日々発信している。『はじめての新NISA&iDeCo』(成美堂出版)、『定年後ずっと困らないお金の話』(大和書房)、『マンガと図解 はじめての資産運用』(宝島社)、など書籍100冊、累計170万部超。日本証券アナリスト協会検定会員。宅地建物取引士。ファイナンシャルプランナー(AFP)。日本アクチュアリー会研究会員。X(旧Twitter)→@yorifujitaiki

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