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24/05/20

家計・ライフ

後期高齢者医療制度、都道府県で「年2万円」も保険料違うのは本当か

後期高齢者医療制度、都道府県で「年2万円」も保険料違うのは本当か

すべての75歳以上(および一定の障害がある65歳以上74歳未満)が加入する「後期高齢者医療制度」。この制度があることで、私たちは高齢期においても安心して医療サービスを受けることができます。
高齢者がみずから納める後期高齢者医療制度の保険料も、重要な財源の一つです。ただ、実は後期高齢者医療制度の保険料は、都道府県によって年2万円も違います。そこで今回は、後期高齢者医療制度の保険料(後期高齢者医療保険料)が決まる仕組みを見ていきます。

国民みんなの支え合いで成り立っている後期高齢者医療制度

厚生労働省の資料によると、2019年度時点における後期高齢者医療制度の加入者一人当たりの医療費は95.4万円。加入者一人当たりの平均所得(公的年金等控除などを差し引いた後の金額)である86万円を上回っており、この数字だけを見ると不安を感じずにはいられません。

そこで後期高齢者医療制度では、患者負担(窓口負担)を除いた医療費の約9割を、公費(約5割)および現役世代からの支援金(約4割)からまかなっています。高齢期も軽い保険料負担で高度な医療サービスが受けられる背景として、若い人たちからの仕送りが財源に多く含まれる点は重大な事実です。

<後期高齢者にかかる医療費の財源>

熊本県後期高齢者医療広域連合「保険料はどうなるの?」より

都道府県ごとに異なる「均等割額」と「所得割率」をチェック

後期高齢者医療制度は、各都道府県に設けられた「後期高齢者医療広域連合」が保険者となって実施されており、都道府県単位で財政および運営責任が明確化されています。したがって、高齢者みずからが納める保険料もまた、住んでいる地域の医療費水準に基づく形で決められているのです。

●保険料率の見直しは2年に一度

保険料は、すべての被保険者が負担する「均等割額」と、被保険者の所得に応じて負担する「所得割額」で構成されています。この「均等割額」と「所得割額」のことを「保険料率」と言い、見直しは2年に一度です。

<後期高齢者医療保険料(年額)の計算式>

保険料(年額)=均等割額+所得割額(※)
(※)所得割額=(前年中の総所得金額等-基礎控除額)×所得割率

公的年金等の収入金額が330万円未満の人は、110万円の公的年金等控除を差し引いた後の金額が総所得金額です。基礎控除額は合計所得金額2,400万円以下の場合は43万円。したがって、年金収入が153万円以下の人は、「(153万円-110万円)-43万円=0万円」となり、所得割は発生しません。

<2024・2025年度の保険料率(都道府県別)>

厚生労働省「後期高齢者医療制度の令和6・7年度の保険料率について」より筆者作成

例えば、年金収入が195万円の場合、2024年度における保険料額は、全国平均で月5,411円とされています。しかし、この数字自体にあまり意味がないことは、最も高い福岡県(月6,357円)と最も安い岩手県(月4,583円)で、月1,774円(年21,288円)違うことからも明らかです。まずは、みなさんが住んでいる都道府県における「均等割額」と「所得割率」がどのくらいの水準かを確認しましょう。

●所得が低い人や被扶養者だった人には軽減措置も

同一世帯の被保険者および世帯主(被保険者でない人も含む)の所得金額の合計額によっては、均等割額が7・5・2割軽減されます。

<均等割額の軽減措置>

筆者作成

「年金・給与所得者の数」とは、同一世帯の被保険者と世帯主のうち、給与収入額(専従者給与を除く)が55万円を超えている人、または公的年金等の収入額が125万円を超えている人(65歳未満は60万円超)の数です。なお、65歳以上の公的年金受給者の総所得金額等は、年金所得の範囲内で最大15万円が控除されたうえで、軽減判定が行われます。

例えば、年金収入168万円のほかに収入がない被保険者である母と、給与収入が100万円の子(被保険者ではない世帯主)が同居している場合、2割軽減の対象です。

<均等割額の軽減措置の例>

兵庫県後期高齢者医療広域連合「所得の低い方と被扶養者であった方の軽減」より

さらに、75歳の誕生日を迎える前日まで(会社の健康保険など)被用者保険の被扶養者だった人は、所得割額がかかりません。均等割額についても、加入時から2年間のみ5割軽減されますが、低所得による均等割額の軽減にも該当している場合には、軽減割合の高い方が適用されることになります。

●保険料の納付は原則として年金からの天引き

後期高齢者医療保険料の納め方は、年金からの天引き(特別徴収)と、納付書や口座振替による納付(普通徴収)の2通りです。公的年金の受給額が18万円以上の人は、原則として特別徴収されて、住んでいる市区町村に納付されます。

なお、支払った保険料は、全額が「社会保険料控除」の対象です。生計を一にする配偶者やその他親族の分を支払った場合にも、その全額を所得から控除できますが、特別徴収されていると本人以外は社会保険料控除の申告ができません。例えば、年金額の高い夫が妻の保険料も支払って節税したい場合には、妻の納付方法を普通徴収に変更するとよいでしょう。

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制度の見直しで保険料率がアップする人、しない人

2024・2025年度の保険料率は、2022・2023年度よりも増加することになりました。いわゆる「団塊の世代」が2025年に全員75歳以上を迎えるとともに、15~64歳の生産年齢人口の減少が加速するなか、後期高齢者医療制度も近年大きな見直しが行われているところです。

<2024・2025年度の保険料率(全国平均の対2022・2023年度比較)>

厚生労働省「後期高齢者医療制度の令和6・7年度の保険料率について」より筆者作成

具体的には、次のようなポイントが見直されています。

●見直しポイント(1):現役世代の負担率の伸びを反映

後期高齢者医療制度が創設されたのは2008年。窓口負担を除く医療費のうち、約5割を公費、約4割を現役世代からの支援金、約1割を保険料でまかなうこととされてきましたが、「現役世代一人当たりの支援金」は、2008年から2022年にかけて1.7倍(2,980円→5,456円)増加した一方で、「高齢者一人当たりの保険料」は、1.2倍(5,332円→6,472円)の増加にとどまっています。そこで今回の見直しでは、それぞれの伸び率が同じになるよう、「後期高齢者負担率」が12.67%(2022・2023年度:11.72%)に引き上げられました。

●見直しポイント(2):出産育児一時金を全世代で支え合う仕組みの導入

健康保険や国民健康保険の被保険者等が出産すると、加入している公的医療保険制度から「出産育児一時金」が支給されます。従来は42万円でしたが、2023年4月から50万円に増額されました。

高齢者医療を国民みんなで支えるという趣旨で発展してきた後期高齢者医療制度。出産育児一時金に係る費用の7%(2024・2025年度は3.5%)を、後期高齢者医療制度からも支援する仕組みが導入された今回の見直しを通じて、世代を問わず国民みんなで子育て世帯を支援しようとする動きが加速することになります。

●制度の見直しに伴う保険料負担をやわらげる4つの措置

すでに75歳以上の人や、2024・2025年度中に75歳を迎える人は、今回の制度見直しを受けて保険料が大きく上がってしまうのではないか、不安に感じているかもしれません。しかしながら、保険料負担が急激に増えないための措置が設けられている点にも注目です。

<激変緩和措置の内容>

①年金収入153万円以下相当の加入者
 制度見直しに伴う「均等割」の増加はなし。
②年金収入153~211万円相当の加入者
 2024年度は、制度見直しに伴う「所得割」の増加はなし(「軽減用所得割率」で計算)。
③年収1,000万円超の加入者
 保険料負担の年間上限額は「2024年度:73万円」「2025年度:80万円」と、段階的に引き上げ(2024年4月1日より前から加入者だった人のみ)。

①に該当する人が約61%、②に該当する人が約12%と推計されているように、(2024年度は特に)制度の見直しによる影響を受ける人は少ないと想定されます。まずは、各都道府県の「後期高齢者医療広域連合会」のウェブサイト上に用意されている保険料の試算ツールも活用して、ご自身や家族の保険料がいくらになるかを試算してみるとよいでしょう。

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後期高齢者医療制度を理解しながら老後のマネープランを考えよう

75歳以上人口の割合がますます高まり、少子化に歯止めがかからないなか、全世代で社会を支えるために必要な見直しが、次から次に行われています。それに伴って、後期高齢者医療制度の保険料負担が老後のくらしをひっ迫するのではないか、不安に感じている人もいるかもしれません。

これから75歳を迎える人は、マネープランの作成を通じて老後の家計を見える化し、対策を講じることが重要となります。今回は、収入(所得)や都道府県によって後期高齢者医療保険料の金額が異なること、さまざまな軽減措置があることなどを解説しましたが、これらの情報はみなさんが現実的かつ具体的なマネープランを立てる上で大いに役立つはずです。

神中 智博 ファイナンシャルプランナー(CFP®︎)、1級DCプランナー

1992年宮崎県生まれ。関西学院大学会計大学院を修了後、NTTビジネスアソシエ西日本で、NTT西日本グループの決算や内部統制、DX等の業務に従事。2022年10月に兵庫県で独立系FP事務所ライフホーカーを開業し、現在に至る。NISAやiDeCoを活用した資産形成など、金融系に関する記事をオンラインメディアでも多数執筆。特に、現役世代が今日からできる老後資金対策に力を入れており、「老後不安バスター」として、だれもが老後に向けて自信を持てる社会を目指して奮闘中。
Twitter→https://twitter.com/lifehawker

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