24/05/04
後期高齢者医療制度の保険料が大幅アップ!最大13万円値上がりするのは本当か
75歳以上の人が加入する後期高齢者医療制度の保険料が、2024年度から値上がりします。今回は後期高齢者医療制度の保険料が値上がりする理由や、どれくらい保険料が上がるのかについて説明します。保険料値上がりの影響を受けるのはどんな人なのかも知っておきましょう。
2024年度後期高齢者医療制度の保険料が値上がり
後期高齢者医療制度とは、75歳以上の人が加入する公的医療保険制度です。公的医療保険は国民全員が加入するものですが、74歳までは国民健康保険や会社の健康保険など人によって加入している保険が違います。しかし、75歳からは、すべての人が後期高齢者医療制度に加入する仕組みになっています。なお、後期高齢者医療制度は都道府県単位の「後期高齢者医療広域連合」が運営しているため、保険料は都道府県によって多少異なります。
後期高齢者医療制度の保険料は、均等割+所得割で計算します。均等割とは全員に均等に課される額、所得割とは(前年所得-基礎控除額)×所得割率です。なお、算出された保険料には上限が定められているため、保険料が無制限に高くなることはありません。
後期高齢者医療制度の保険料は2年に1回見直されますが、見直しのたびに保険料が少しずつ上がってきています。2024年度の見直しでは、改正健康保険法が成立した影響で、これまで以上に保険料が上がります。また、今回は保険料の値上げが2024年度と2025年度の2年度に分けて実施されることになっています。
後期高齢者医療制度の保険料が値上がりする理由は?
後期高齢者医療制度の財源は、公費が5割、後期高齢者支援金が4割、後期高齢者の保険料が1割です。このうち後期高齢者支援金は、74歳以下の人が加入している公的医療保険を通じて払っています。
2024年度以降は、現役世代の負担軽減のため、「後期高齢者1人当たりの保険料」と「現役世代1人当たりの後期高齢者支援金」の伸び率が同じとなるよう見直されます。そのため、後期高齢者の負担する保険料が上がることになります。
出産育児一時金の財源の一部を後期高齢者医療制度が負担する仕組みになったことも、今回の値上げの理由です。出産育児一時金の支給額は、2023年に従来の42万円から50万円に増額されました。不足する費用の一部を後期高齢者医療制度から支出し、子育てを社会全体で支え合うことを目指しているのです。
今回の値上げで保険料はどれくらい上がる?
2024年度から2025年度にかけて、後期高齢者医療制度の1人当たりの保険料(年額)がどう変わるかは次の表のとおりです。
<後期高齢者医療制度の保険料>
厚生労働省「後期高齢者医療制度の令和6・7年度の保険料率について」より筆者作成
1人当たりの保険料を月額でみると、2022~2023年度は6575円ですが、2024年度には7082円となり、7.7%の増加です。さらに、2025年度には月額7192円となる見込みで、2024年よりも1.6%増加します。
実際に保険料がどれくらい増加するかは、年収によって異なります。厚生労働省が公表している情報によると、今回の制度改正では、年金収入153万円相当以下の人の負担は増加しないとされています。また、年金収入211万円相当以下の人については、少なくとも2024年は負担の増加はありません。
なお、年収1100万円以上の人は、賦課限度額引き上げの影響を受けます。制度改正がなかった場合の賦課限度額の上限67万円と比較すると、年間13万円、1か月あたり1万830円の負担増加となります。
保険料増加を見込んで備えておくことが大切
後期高齢者医療制度の保険料は2024年度から値上がりしていますが、年収が少ない場合には影響は少なくなっています。ただし、今後も高齢者自身の負担が増える可能性はあります。老後には社会保険料や税金のような非消費支出も発生することを認識し、余裕をもって資金準備をしておくのがおすすめです。
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森本 由紀 ファイナンシャルプランナー(AFP)・行政書士・離婚カウンセラー
Yurako Office(行政書士ゆらこ事務所)代表。法律事務所でパラリーガルとして経験を積んだ後、2012年に独立。メイン業務の離婚カウンセリングでは、自らの離婚・シングルマザー経験を活かし、離婚してもお金に困らないマインド作りや生活設計のアドバイスに力を入れている。
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