24/03/19
投信ブロガーランキングベスト10に5本「eMAXIS slim」はどんな商品?
新NISAのスタートによって、投資信託に注目が集まっています。日本経済新聞によると、2024年1月の新NISA対象投資信託への資金流入額は実に1兆3700億円とのこと。このうち3400億円が流入しているのが、三菱UFJアセットマネジメントが運用する投資信託「eMAXIS Slim」シリーズです。
今回は、eMAXIS Slimシリーズが人気を集める理由や、シリーズで特に人気があるファンドを紹介。また、eMAXIS Slimシリーズと似た特徴を持つ投資信託も合わせて紹介します。
eMAXIS Slimシリーズが人気を集めている理由
eMAXIS Slimシリーズは、将来にわたって業界最低水準の運用コストを目指し続けることをコンセプトとしているブランドです。2024年3月13日時点で14本のファンドがラインナップされています。
eMAXIS Slimシリーズの特徴は、その言葉のとおり、とにかく信託報酬が低いことが挙げられます。信託報酬とは、投資信託を運用会社に運用してもらうために支払う手数料のこと。投資信託を保有している間ずっとかかり続けるものですから、信託報酬の比率が低ければ低いほど、資産を効率的に増やしやすいファンドといえるでしょう。実際、これまでにシリーズの多くのファンドが信託報酬率を業界最低水準となるよう引き下げています。購入時にかかる購入時手数料や、売却時にかかる信託財産留保額も不要です。
また、純資産総額の大きさも、eMAXIS Slimシリーズが注目を集める理由の一つでしょう。
ファンドは、純資産額が小さくなりすぎると繰上償還され、運用が終了してしまう場合があります。その点、eMAXIS Slimシリーズは純資産総額がどんどん増加しており、2024年2月16日時点で8兆円を超えています。繰上償還される心配は今のところ少ないと考えられます。安心して保有できるでしょう。
そのうえ、eMAXIS Slimシリーズは、純資産額が増えると信託報酬率が下がる仕組み「受益者還元型信託報酬率」を採用しています。今後も人気が続いていけば、さらに信託報酬が下がる可能性があるのは嬉しいですね。
つまり、手数料の安さと純資産総額の大きさが人気の理由というわけです。
実際、投資信託ランキング「投信ブロガーが選ぶ! Fund of the Year2023」では、ベスト10位以内にeMAXIS Slimシリーズのファンドが5本ランクイン。なかでも特に人気のある「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)」は、同ランキングで2019年から5連覇を達成しています。
<投信ブロガーが選ぶ! Fund of the Year2023のベスト10>
「投信ブロガーが選ぶ! Fund of the Year2023」のウェブサイトより作成
eMAXIS Slim人気ランキングベスト5
ここからは、eMAXIS Slimシリーズのファンドのうち「投信ブロガーが選ぶ! Fund of the Year2023」のベスト10に選ばれた5本を紹介します。
●【1位】eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)
eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)は、5年連続ランキング第1位に選ばれている、特に人気が高いファンドです。株価指数MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックスへの連動を目指して運用されており、これ1本で先進国から新興国まで、全世界約3,000銘柄の株式に分散投資が可能です。
投資を始めたばかりの方や、どのファンドを選べばよいか分からない方にもおすすめしやすいファンドといえるでしょう。
●【3位】eMAXIS Slim米国株式(S&P500)
eMAXIS Slim米国株式(S&P500)は、米国の代表的な株価指数S&P500に連動した値動きを目指して運用されています。このファンドを購入することで、世界経済に大きな影響を与える米国株式市場の時価総額の約8割を占める大型株に投資できます。
S&P500の過去30年の平均リターンは、約8%と高め。ブラックマンデーやリーマンショックなどの大暴落を乗り越え、長年成長し続けてきた米国株式市場に投資したい方にぴったりのファンドです。
●【5位】eMAXIS Slim全世界株式(除く日本)
eMAXIS Slim全世界株式(除く日本)は、その名の通り、eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)から日本株式を除いたファンドです。「日本株式には個別で投資しているが、他の国にも分散投資したい」という方が利用すると、分散投資の効果をより高めることができます。
●【6位】eMAXIS Slim先進国株式インデックス
eMAXIS Slim先進国株式インデックスは、MSCIコクサイ・インデックスとの連動を目指して運用されているファンドです。米国株式を中心に、イギリス、フランス、カナダなど、日本以外の先進国20か国以上に分散投資できます。「投信ブロガーが選ぶ! Fund of the Year2018」では1位を受賞し、2023年も6位にランクインしている人気の高いファンドです。
●【9位】eMAXIS Slimバランス(8資産均等型)
eMAXIS Slimバランス(8資産均等型)は、国内株式、先進国株式、新興国株式、国内債券、先進国債券、新興国債券、国内REIT、先進国REITの8つの資産へ均等に投資できるファンドです。
リスクを抑えて投資するには、国だけでなく資産の種類も分散することが大切です。eMAXIS Slimバランス(8資産均等型)なら、1本で株式、債券、REITに分散投資が可能です。
eMAXIS Slimシリーズと似た特徴を持つ投資信託を比較
eMAXIS Slimシリーズは信託報酬が安いという特徴がありました。同じように信託報酬が低いという強みを持つ投資信託には「ニッセイ<購入・換金手数料なし>シリーズ」や「楽天プラスシリーズ」があります。
●eMAXIS Slim先進国株式インデックスと<購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックスファンドを比較
ニッセイ<購入・換金手数料なし>シリーズは、その名の通り購入時・換金時の手数料がかからないことに加え、信託報酬も安いことが特徴のインデックスファンドシリーズです。
ニッセイ<購入・換金手数料なし>シリーズの中でも特に人気があり、「投信ブロガーが選ぶ! Fund of the Year2023」で2位にランクインした<購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックスファンドと、同様に先進国株式に投資するeMAXIS Slim先進国株式インデックスを比較してみましょう。
2024年3月8日時点で、eMAXIS Slim先進国株式インデックスの信託報酬は年0.9889%。<購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックスファンドの信託報酬も年0.9889%で、全く同じです。
純資産額も、eMAXIS Slim先進国株式インデックスが6,674億円、<購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックスファンドは6,638億円と、eMAXIS Slimのほうが少し多いものの、ほとんど変わりません。
どちらも信託報酬がかなり低く、純資産額も十分にある、非常に良いファンドといえるでしょう。
●eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)と楽天・オールカントリー株式インデックス・ファンドを比較
楽天プラスシリーズも、業界最低水準のコストを目指して運用しているインデックスファンドシリーズです。eMAXIS Slimシリーズと同じく、積極的な信託報酬の引き下げを行っています。
2024年3月8日時点で、eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)の信託報酬は年0.05775%。一方、類似ファンドである楽天プラスシリーズの楽天・オールカントリー株式インデックス・ファンドは、信託報酬が年0.0561%。楽天・オールカントリーのほうが、わずかに信託報酬が低くなっています。また、楽天・オールカントリーは楽天証券の「投信残高ポイントプログラム」の対象商品。楽天証券で購入することで年率0.017%のポイント還元が得られます。つまり、実質的な手数料は0.0391%ということもできます。
純資産額については、eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)が2兆7,186億円、楽天・オールカントリーが825億円と、eMAXIS Slimのほうがかなり多いです。楽天・オールカントリーは2023年10月27日に運用が始まった商品なので、規模の面ではeMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)と差があります。
楽天証券を利用していて、ポイント還元を得ながらとにかく信託報酬が安いファンドを選ぶなら楽天・オールカントリー、純資産額の多さを重視するのであればeMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)を選ぶとよいでしょう。
ファンドの特徴を理解して投資しよう
投信ブロガーからの人気を集めるeMAXIS Slimシリーズや、eMAXIS Slimシリーズと似た特徴を持つ投資信託について紹介しました。
投資信託を購入したいと思ってはいるものの、どんなファンドを選ぶべきか分からず悩んでいる方も多いでしょう。そんな方は、本記事で紹介したeMAXIS Slimシリーズのように、人気のあるファンドから選ぶのもおすすめです。ただし、「みんなが買っているから」と飛びつくのではなく、しっかりファンドの特徴を理解し、自分に合った商品か吟味したうえで購入するようにしてください。
*本記事で紹介した商品については、あくまでも参考として申し述べたものであり、売買を推奨するものではありません。投資は自己責任でお願い致します。
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木下七夏 Webライター
大学卒業後金融機関に勤め、個人のお客さま向けの営業を担当。退職後にFP2級を取得し、フリーライターに。FPで学んだ知識や金融機関勤めの経験を生かして、生活にまつわるお金の疑問を分かりやすく噛み砕いて解説する記事を作成している。
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