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24/01/31

相続・税金・年金

年収300万円でも年金月20万円もらうことはできるのか

年収300万円でも年金月20万円もらうことはできるのか

会社員・公務員の方がもらえる公的年金(老齢基礎年金+老齢厚生年金)の合計は平均14万3973円(厚生労働省「令和4年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」)です。
年金は、老後の大切な収入源であることは間違いないのですが、「もう少しもらえたらいいのに」と思うのも正直なところでしょう。
今回は、年収300万円の人が年金を月20万円もらうために、年収・加入期間・繰り下げはどのくらい必要か、具体的に解説します。

もらえる年金額を計算するポイントを整理

日本の公的年金には、国民年金と厚生年金があります。
国民年金は、20歳から60歳までのすべての人が加入する年金です。それに対して厚生年金は、会社員や公務員が勤務先を通じて加入する年金です。

会社員や公務員は国民年金の「第2号被保険者」。毎月の給与から厚生年金保険料(国民年金保険料を含む)を支払っています。それによって、原則として65歳から国民年金と厚生年金両方の老齢年金をもらえます。なお、国民年金の老齢年金を「老齢基礎年金」、厚生年金の老齢年金を「老齢厚生年金」といいます。

公的年金を月20万円もらうにはどうすべきかを考える際に、押さえておきたい計算のポイントが4つあります。

●①老齢厚生年金と老齢基礎年金で計算方法が異なる

老齢厚生年金の金額は、おおよそ「平均年収÷12×0.005481×加入月数」という式で計算できます。ポイントは、計算式に平均年収が入っていること。この計算式からは、平均年収が多い、加入月数が多いともらえる金額も増えることがわかります。

それに対して、老齢基礎年金の満額は81万6000円(2024年度[67歳以下の金額])。原則として、20歳〜60歳までの40年間(480ヶ月)国民年金保険料を支払えば、この満額がもらえます。しかし、保険料の払込期間が40年に満たない場合は、その分減額されます。たとえば、もし国民年金保険料を全体の4分の3の期間(30年分)しか支払っていなければ、老齢基礎年金の金額も4分の3(61万2000円)になるというわけです。

●②標準報酬月額は65万円(年収762万円以上)が最大

老齢厚生年金の金額は、平均年収が多いと増えるとお話ししましたが、どこまでも増えるわけではありません。

本来、厚生年金保険料は「標準報酬月額」をもとに算出します。
標準報酬月額は、厚生年金保険料などの社会保険料を算出するときの基準となる給与のこと。原則として、毎月4月〜6月の給与の平均額(報酬月額)を等級表に当てはめることで、標準報酬月額がわかります。

つまり、厳密には「平均年収÷12」で該当する標準報酬月額を算定して、「標準報酬月額×0.005481×加入月数」で算出します。

32段階に分かれている等級のうち、もっとも高い32等級の標準報酬月額が65万円です。報酬月額63.5万円(=年収762万円)以上の方は、すべて32等級です。極端にいえば年収762万円でも年収1000万円でも支払う厚生年金保険料は同じで、増える公的年金の金額も同じになります。

なお、毎月の基本給とは別に賞与からも厚生年金保険料を収めます(150万円上限・年3回まで)。これによっても老齢厚生年金額が増えますが、今回は「年収300万円でも」という仮定で計算しますので、賞与はないものとして紹介します。

●③70歳まで厚生年金に加入できる

厚生年金は、原則として70歳まで加入できます。働き続けることで加入月数が増えるため、その分老後にもらえる老齢厚生年金の金額も増えます。

たとえば、60歳から65歳までの5年間、年収300万円で働いた場合、毎年もらえる老齢厚生年金の金額は標準報酬月額26万円×0.005481×60か月=約8.6万円増加します。
同様に、60歳から70歳までの10年間、年収400万円で働いた場合、毎年もらえる老齢厚生年金の金額は標準報酬月額34万円×0.005481×120か月=約22.4万円増加します。

年8.6万円の増加ということは、月換算だと7200円ほどです。しかし、仮に65歳から90歳までの25年にわたって年8.6万円多くもらったら、年金額は215万円多くなる計算です。同様に、70歳から90歳までの20年にわたって年22.4万円多くもらったら、年金額は448万円も変わってきます。
年金は生きている限りずっともらえるお金です。今後も長生きする人が増えることを考えると、多くもらえるようにしたほうが安心でしょう。

●④年金の繰り下げ受給でもらえる金額が増やせる

国民年金・厚生年金の受給開始は原則65歳からですが、60〜64歳で受け取りを開始する「繰り上げ受給」、66〜75歳で受け取りを開始する「繰り下げ受給」も可能です。

繰り上げ受給では、1か月早めるごとに年金の受給率が0.4%ずつ減ります。一方、繰り下げ受給では、1か月遅らせるごとに0.7%ずつ受給率が増えます。つまり、年金の毎年の受け取り額は早くもらうほど減り、遅くもらうほど増えます。

また、年金は一度もらいはじめると、その受給率が一生続きます。したがって、何歳まで生きるかによって、年金の「損益分岐点」が変わってくることになります。

繰り上げ受給・繰り下げ受給の年金受給額を65歳時点と比べたときの損益分岐点となる年齢をまとめると、次のようになります。

<年金の額面ベースの繰り上げ・繰り下げの損益分岐点(65歳と比較)>

(株)Money&You作成

表より、繰り上げ受給では80歳〜84歳まで長生きしたら65歳受給より損になること、繰り下げ受給では77歳〜86歳まで長生きしたら65歳受給より得になることがわかります。
なお、65歳時点の年金額を180万円としていますが、年金額がいくらでも損益分岐点となる年齢は同じです。

年金を月20万円もらえるのはどんな人?

以上を踏まえて、年金を月20万円もらえる人を計算してみました。

<年金早見表(23歳から厚生年金に加入した場合)>

(株)Money&You作成

表の上側の青色の行は厚生年金の加入期間と年齢、左側の青色の列は平均年収を表しています。また、表内の金額は国民年金満額(81万6000円)と厚生年金の金額を合計した目安の金額(年額)。64歳までの年金額は、繰り上げ受給はせずに65歳時点で年金をもらった場合の金額です。

年金が月20万円ということは、年金の年額が240万円以上になればいいということです。該当の箇所を赤色にしてあります。平均年収が700万円ならば、63歳まで厚生年金に加入して働くことで「年金月20万円」が達成できます。しかし、それ以下の場合は65歳まで働いても年金月20万円には届きません。

では、65歳以降、70歳まで厚生年金に加入しながら働いたらどうなるでしょうか。

<年金早見表(65歳以降も厚生年金に加入して働く場合)>

(株)Money&You作成

平均年収が600万円より少ない場合でも、65歳以降も厚生年金に加入して働くことで、着実に年金額が増やせていることがわかります。しかし、それでも依然として、平均年収600万円以下の場合は年金月20万円が達成できていません。

では、この表に年金の繰り下げ受給を反映してみましょう。65歳以降、75歳まで年金を繰り下げた場合、受け取れる年金額は次のように変わります。

<年金早見表(65歳以降も厚生年金に加入&年金の繰り下げ)>

(株)Money&You作成

年金の繰り下げによって、「年金月20万円」を達成できる方が増えたのがわかるでしょう。たとえば平均年収が400万円でも、69歳まで働きかつ年金の繰り下げをすれば、以後は月20万円近くの年金が受け取れる計算です。

また、70歳以降は厚生年金に原則加入できないので、年金の繰り下げだけになっています。平均年収が300万円の場合、70歳まで厚生年金に加入して働き、71歳まで年金の繰り下げをすれば「年金月20万円」は達成できる計算です。

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iDeCo・新NISAで自分年金の準備も忘れずに

とはいえ、働く意欲があるかないかにかかわらず、実際は70歳まで働くのは簡単ではないですし、75歳まで繰り下げ受給をする場合には、75歳までの生活費を用意する必要があります。誰もが年金を月20万円にできるわけではないでしょう。

しかし、長く働き、繰り下げ受給を活用すれば、公的年金を増やせるのは事実です。自分でできる範囲で年金増に取り組んでいただければと考えます。

また今後、年金制度が変わる可能性もあります。もらえる年金額が減る…といった事態に備えるためにも、税金を減らして老後資金を効率よく貯められるiDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)や運用益を非課税にできる新NISA(ニーサ・少額投資非課税制度)などを活用しましょう。

●iDeCo

iDeCoは、自分で出した(拠出した)掛金を自分で運用し、その結果を60歳以降に受け取る制度です。iDeCoの掛金は毎月5,000円からで、上限は公的年金の種類や企業年金の有無により異なります。最長で65歳未満(会社員・公務員・国民年金の任意加入者のみ)まで加入し、掛金を出すことができます。

iDeCoの大きなメリットは、掛金の「拠出時」「運用時」「給付時」の3つのタイミングで税制優遇が受けられることにあります。

・拠出時…iDeCoで拠出した掛金は、全額が「小規模企業共済等掛金控除」という所得控除の対象になり、毎年の所得税や住民税が安くできる
・運用時…通常、投資で得られた利益にかかる20.315%の税金が非課税にできるため、お金をより効率よく増やすことができる
・給付時…iDeCoの資産は、60歳から75歳までの間に一時金か年金で受け取るルール。一時金の場合は「退職所得控除」、年金の場合は「公的年金等控除」という所得控除の対象になる

iDeCoでは、定期預金・保険・投資信託から運用先を選びます。おすすめはお金を増やすことが見込める投資信託。コツコツ購入することで、安定的にお金を増やせると考えられる「長期・積立・分散投資」が気軽にできます。

●新NISA

新NISAは投資で得られた利益が非課税になる制度。1800万円までの投資で得られた利益にかかる税金が無期限でゼロにできます。2024年に制度が新しくなったので、「新NISA」と呼んでいます。

新NISAではつみたて投資枠と成長投資枠という、2つの投資枠が利用できます。
積立投資専用の「つみたて投資枠」では、金融庁の定める条件を満たす、長期間の積立投資
でコツコツ増やせる投資信託やETF(上場投資信託)に投資ができます。また、積立投資だけでなく一括投資もできる「成長投資枠」では、投資信託・ETFだけでなく株式やREIT(不動産投資信託)にも幅広く投資可能です。つみたて投資枠では年120万円、成長投資枠では年240万円まで投資できます。
なお、つみたて投資枠だけで1800万円投資することも可能。成長投資枠だけだと最大1200万円までなので、非課税投資枠を使い切りたければ600万円はつみたて投資枠を使う必要があります。

iDeCoと違い、新NISAでは資産を途中で自由に売却できます。そのうえ、新NISAでは翌年になると売却枠が復活するので、再び非課税の投資ができるようになります。老後に非課税の資産運用を続けて、資産寿命を延ばしながら取り崩すこともしやすくなっています。

老後のお金の心配は多かれ少なかれ、誰でも抱えているものです。しかし、今回紹介したような年金を増やす方法や、iDeCo・NISAのようなお得な制度があるのもまた事実です。うまく活用しながら、自分年金・老後資金を準備していきましょう。

頼藤 太希 マネーコンサルタント

(株)Money&You代表取締役。中央大学商学部客員講師。慶應義塾大学経済学部卒業後、外資系生命保険会社にて資産運用リスク管理業務に従事。2015年に現会社を創業し現職へ。ニュースメディア「Mocha(モカ)」、YouTube「Money&YouTV」、Podcast「マネラジ。」、Voicy「1日5分でお金持ちラジオ」、書籍、講演などを通じて鮮度の高いお金の情報を日々発信している。『はじめての新NISA&iDeCo』(成美堂出版)、『定年後ずっと困らないお金の話』(大和書房)、『マンガと図解 はじめての資産運用』(宝島社)、など書籍90冊、累計150万部超。日本証券アナリスト協会検定会員。宅地建物取引士。ファイナンシャルプランナー(AFP)。日本アクチュアリー会研究会員。twitter→@yorifujitaiki

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