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23/12/23

相続・税金・年金

「住民税非課税世帯を目指す」はありなのか

「住民税非課税世帯を目指す」はありなのか

住民税非課税世帯になると、医療費の自己負担が減ったり、自治体からの様々な補助が受けられたり、給付金がもらえたりするなどの優遇措置が受けられます。それらにメリットを感じる人の中には「住民税非課税世帯を目指す」という方もいるようです。「住民税非課税世帯」は同じ世帯に暮らす全員の住民税がかからない世帯を言います。

しかし、世の中には、さまざまな事情で住民税非課税世帯になってしまう方もいます。住民税かからないのは、収入が少なく、その分生活が厳しいことを意味します。敢えて、収入を減らし「住民税非課税世帯を目指す」のはありなのでしょうか。住民税非課税になる収入の条件を確認しながら考えてみましょう。

住民税非課税の計算は自治体ごとに変わる

住民税が非課税になる収入の条件は自治体ごとの条例で定められています。収入金額だけで一律にいくら以下というものではなく、扶養家族がいる場合、いない場合でそれぞれの計算式が設定してあります。さらに、生活保護の基準となる「級地区分」も影響します。

級地区分は、物価が高い地域の順番で1級地・2級地・3級地と定められています。1級地は、主に東京23区、政令指定都市、大都市が該当します。2級地は地方都市が該当します。3級地はその他市町村が該当します。お住まいの自治体の級地区分は、厚生労働省のウェブサイトにある級地区分表で確認できます。

級地区分により、住民税が非課税になる収入の条件は異なります。
1級地、2級地、3級地での非課税限度額の計算式を実際の例でみてみましょう。

●【1級地】に該当する横浜市の非課税限度額

前年の合計所得金額が、
・扶養家族なしの場合:35万円+10万円以下の人
・扶養家族ありの場合:35万円×(本人+同一生計配偶者+扶養親族数)+10万円+21万円以下の人

●【2級地】に該当するあきる野市の非課税限度額

前年の合計所得金額が、
・扶養家族なしの場合:31万5000円+10万円
・扶養家族ありの場合:31万5000円×(同一生計配偶者及び扶養親族の合計数+1)+10万円+18万9000円

●【3級地】に該当する銚子市の非課税限度額

前年の合計所得金額が、
・扶養親族なしの場合:38万円以下
・扶養親族ありの場合:28万円×(同一生計配偶者+扶養親族の数+1)+10万円+16万8000円以下

なお、次の場合は、どの自治体においても住民税非課税となります。
・生活保護法の生活扶助を受けている
・未成年者、寡婦(夫)、ひとり親、障がい者のいずれかで前年の合計所得が135万円以下(年収にすると204万4000円未満) 

非課税限度額に対応する年収はいくら?

上で紹介した非課税限度額は「所得」となっています。所得は、給与収入であれば「収入-給与所得控除額=所得」で計算します。所得と年収が異なる点に注意しましょう。
給与収入の場合、年収162万5000円までの給与所得控除額は55万円です。それ以上の収入になれば、収入に応じた給与所得控除額を以下のとおり計算します。

<給与所得控除の金額>

国税庁のウェブサイトより

一方、年金収入は雑収入扱いとなり、「年金収入-公的年金等控除=所得」となります。
この場合、年金を受け取る人の年齢が65歳未満の公的年金等控除額は、年金収入が「60万円超~130万円未満」であれば60万円です。また、年金を受け取る人の年齢が65歳以上の公的年金等控除額は、年金収入が「110万円超~330万円未満」であれば110万円です。この場合も、一定額以上の収入になれば、それに応じて公的年金等控除額を以下のとおり計算します。

<公的年金控除額の速算表>

国税庁のウェブサイトより

これらを踏まえて、扶養親族ありの場合、なしの場合で、給地区分ごとのおおよその年収を算出したものが以下の表です。

<住民税非課税となるおおよその年収 >

国税庁ウェブサイトをもとに筆者作成

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「住民税非課税世帯を目指す」はありなのか?

ここからは、モデル世帯を設定して「住民税非課税世帯を目指す」はありなのかを検証してみましょう。

【モデル世帯の条件】
・1級地に住んでいる夫婦世帯
・夫(60歳):65歳からもらえる予定の年金は220万円
・妻(60歳):専業主婦 65歳からもらえる年金は老齢基礎年金(約79万円)のみ

●検証1:夫婦そろって、65歳から年金をもらったら?

夫がもらう年金は220万円。主婦の妻がもらう年金は79万円です。妻は住民税非課税の条件を満たしますが、夫は上図の年収211万円を超えていますので、住民税は課税されます。

●検証2:夫が年金を60か月繰り上げたら?

原則65歳からもらえる年金を繰り上げ受給すると、1か月繰り上げるごとに0.4%減額されます。
夫の65歳からの年金受給予定額は220万円ですので、60か月繰り上げたら「0.4×60か月=24%」減額となります。そのため、夫が60歳から受け取る年金は「220万円×76%=167.2万円」です。これにより、上図の年収171万3000円以下になるため非課税となります。また妻は60歳の専業主婦なのでこの時点では収入がなく、世帯全員が非課税になります。したがって、住民税非課税世帯となります。
なお、夫が繰り上げした年金は、減額したままの状態が生涯続きます。

●検証3:もし妻がパートに行ったら?

夫が年金を60か月繰り上げすると、年金収入は167.2万円。夫婦2人が暮らすのは厳しいといえるのではないでしょうか。そこで妻がパートに行くことになった場合、妻の年収が100万円以上になると住民税非課税世帯から外れてしまいます。

●検証4:引っ越しで級地区分が変ると?

夫の年金収入が167.2万円で、妻のパート収入が90万円だったとします。これでは生活が苦しいため、1級地から2級地へ引っ越すことになりました。しかし、級地が変れば、住民税非課税の年収も変わります。
1級地では、夫の年金収入167.2万円は非課税ですが、2級地になれば住民税非課税の条件が「159万2000円」となるため、住民税非課税世帯から外れてしまいます。

●検証5:妻が亡くなったら?

もしも、扶養家族である妻が亡くなってしまった場合はどうなるのでしょうか。
夫には、妻という扶養者がいなくなるため、住民税非課税世帯の基準は「扶養なし」で考えなくてはいけません。その場合、住民税非課税の条件は今までの「171万3000円以下」から「105万円」に下がります。住民税非課税の条件を満たさなくなるため、住民税非課税世帯から外れます。

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住民税非課税世帯は目指すものではない

住民税非課税世帯になったとしても、さまざまな要因で住民税非課税の基準から外れる可能性があることを紹介してきました。確かに、住民税非課税世帯になれば、優遇措置はあります。しかし、生活は厳しいでしょう。65歳からもらえる年金を繰り上げで減らしたにもかかわらず住民税非課税世帯になったとすれば、住民税がかかり、優遇措置は受けられず、年金も少ないという状態になりかねません。

住民税非課税世帯は目指すものではありません。目先のことだけに捉われ、判断を誤らないよう注意しましょう。

舟本美子 ファイナンシャルプランナー

「大事なお金の価値観を見つけるサポーター」
会計事務所で10年、保険代理店や外資系の保険会社で営業職として14年働いたのち、FPとして独立。あなたに合ったお金との付き合い方を伝え、心豊かに暮らすための情報を発信します。3匹の保護猫と暮らしています。2級ファイナンシャル・プランニング技能士。FP Cafe登録パートナー

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