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23/07/31

相続・税金・年金

「1日生まれ」は年金がひと月分早くもらえて得は本当か

「1日生まれはひと月分早く年金がもらえてお得」は本当か

65歳から受け取れる老齢基礎年金は、誕生日の「前日」(満年齢到達日)の翌月から受給できます。したがって、同じ誕生月にも関わらず、1日生まれの人は、2日以降に生まれた方よりも1ヶ月早く年金を受け取ることができます。しかし、これは1日生まれの人が得しているわけではありません。今回は、年金制度(国民年金法)における年齢計算の仕組みについて解説します。

法律上は誕生日の前日に年齢が加算される

みなさんは子どもの頃、4月1日生まれの人が1学年上であることに疑問を持ったことがありませんか。実は、今回のテーマとも大きく関連しているのです。例えば、学校教育法には次のような規定があります。

<学校教育法第17条第1項>
保護者は、子の満6歳に達した日の翌日以後における最初の学年の初めから(中略)就学させる義務を負う。

<学校教育法施行規則第59条>
小学校の学年は、4月1日に始まり、翌年3月31日に終わる。

学校教育法以外にも、法律の中には年齢が関係する規定も多くあります。それらの権利や義務が発生するタイミングをより明確にするために、「年齢計算ニ関スル法律」が制定されています。

<明治三十五年法律第五十号(年齢計算ニ関スル法律)>
① 年齢ハ出生ノ日ヨリ之ヲ起算ス
② 民法第百四十三条ノ規定ハ年齢ノ計算ニ之ヲ準用ス
③ 明治六年第三十六号布告ハ之ヲ廃止ス

①は、出生した日から年齢の計算が開始されることを示しています。
②では、歳をとるタイミングについては、民法143条の規定をあてはめることが規定されています。

<民法143条>
週、月又は年の初めから期間を起算しないときは、その期間は、最後の週、月又は年においてその起算日に応当する日の前日に満了する。

先ほどの学校教育法の例で考えてみましょう。2017年4月1日に生まれた児童の場合、その前日である2023年3月31日の午後12時に満6歳に到達します。したがって、保護者は、2023年3月31日から最も近い学年の初めである2023年4月1日から就学させる義務を負います。一方、2017年4月2日に生まれた児童は、2023年4月1日の午後12時に満6歳に到達するため、2024年4月1日から就学させる義務が発生するわけです。

この考え方は、国民年金法でも同じです。では、法律における年齢の考え方を理解したところで、年金制度ではいつから権利と義務が発生するのかを見ていきましょう。

受給権が発生するのは65歳の誕生日の前日

ここでは、国民年金において、いつから老齢基礎年金を受け取れるか、解説します。

老齢基礎年金を受け取るためには、保険料を納付した期間や、免除されていた期間などを合算して、10年以上の受給資格期間が必要です。受給資格期間を満たすと、65歳の到達をもって老齢基礎年金を受給する権利が発生し、請求をすれば翌月分から受け取ることができます。

65歳に到達するタイミングは、先ほど紹介した「年齢計算ニ関スル法律」に基づき、誕生日の前日(満年齢到達日)です。したがって、1958年7月1日生まれの人は、2023年6月30日をもって65歳に到達するため、その翌月である2023年7月分から老齢基礎年金を受け取ることができます。一方、1958年7月2日生まれの人は、2023年7月1日に65歳に到達するため、老齢基礎年金を受け取れるのは、2023年8月分からになります。

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1日生まれは保険料の納付も1ヶ月早く始まる

同じ誕生月にも関わらず、受け取り開始が1ヶ月異なるこのルールは、1日生まれの人を優遇しているのでしょうか。実はそうではありません。国民年金保険料の納付もまた、1日生まれの人は、2日以降に生まれた人よりも1ヶ月早く始まるからです。

日本国内に住む20歳以上60歳未満のすべての方は、被保険者として国民年金に加入し、国民年金保険料を納付する必要があります。先ほどの1958年7月1日生まれの人の場合、 強制的に国民年金に加入していた期間は、20歳に到達した1978年6月30日から、60歳に到達した2018年6月30日まででした。国民年金保険料の納付期間は、加入者になった月から、60歳に到達した月の前月までであるため、未納などの期間がなければ1978年6月から2018年5月までの480ヶ月間(40年間)が納付済期間になっているはずです。一方で、1958年7月2日生まれの人は、1978年7月から2018年6月までの480ヶ月間が納付済期間となります。

つまり、1日生まれの人も、2日生まれの人も、国民年金保険料の納付済期間が最長480ヶ月であることに変わりありません。そして、1ヶ月早く納付が始まる1日生まれの人が、1ヶ月早く年金の受け取りを開始できることはごく自然な流れであり、お得でも何でもないのです。

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まとめ

今回は、年金制度における年齢計算の仕組みについて解説しました。「年齢計算ニ関スル法律」に基づいて、誕生日の前日に年齢が加算されることは、私たちが有する権利や義務が発生するタイミングを理解するうえでも大いに役立ちます。

「1日生まれの人は1ヶ月分早く年金がもらえてお得なのか?」という問いに対する重要な視点は、生まれた日の違いによって特別な利益が発生することはないということです。1日生まれの人はたしかに、2日以降に生まれた人よりも1ヶ月早く老齢基礎年金を受け取る権利を得られますが、1ヶ月早く国民年金保険料を納付する義務が開始されていることからも分かるように、これらはあくまでタイミングの違いに過ぎず、損得で考える余地は全くないと言ってよいでしょう。

神中 智博 ファイナンシャルプランナー(CFP®︎)、1級DCプランナー

1992年宮崎県生まれ。関西学院大学会計大学院を修了後、NTTビジネスアソシエ西日本で、NTT西日本グループの決算や内部統制、DX等の業務に従事。2022年10月に兵庫県で独立系FP事務所ライフホーカーを開業し、現在に至る。NISAやiDeCoを活用した資産形成など、金融系に関する記事をオンラインメディアでも多数執筆。特に、現役世代が今日からできる老後資金対策に力を入れており、「老後不安バスター」として、だれもが老後に向けて自信を持てる社会を目指して奮闘中。
Twitter→https://twitter.com/lifehawker

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