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23/07/11

家計・ライフ

定年後に年収300万円以上の人はどのくらいいるのか

定年後に年収300万円以上の人はどのくらいいるのか

65歳で定年を迎えた後も、働いて収入を得ている人は少なくありません。ただ、働くと一口に言っても、お小遣い稼ぎ程度なのか、しっかり稼いで生活費をまかなうのか、働き方はさまざまです。そこで今回は、定年後も年収300万円以上の人はどのくらいいるのかを紹介します。

65歳以上の平均年収は300万円超え

「民間給与実態統計調査(2021年分)」(国税庁調べ)によれば、65~69歳の平均年収は338.2万円、70歳以上では300.2万円です。

●65歳以上の平均年収

国税庁「民間給与実態統計調査(2021年分)」より筆者作成

ただし、平均は給料として支払われた金額の総計を、単純に人数で割った数字なので、必ずしも実態を表しているとは限りません。
実際に、どのくらいの人が平均以上の給料をもらっているのでしょうか。総務省の「家計調査(2022年)」から、給与収入金額の分布を見てみましょう。

●65歳以上の人の年収(年間収入十分位階級)

総務省「家計調査(2022年)」より筆者作成

収入金額を10分割したデータを見ると、292万円までが17.6%と最も多くなっています。
次に374万~452万円が15.0%ともうひとつの山になっていて、高収入の人が少なくありません。
年収300万円以上の人は働く人のおよそ82.4%。シニア世代になっても、みなさんしっかり稼いでいるようです。

平均給与の多い事業所・業種は?

とはいえ、給与には男女差もあり、勤務先によっても異なります。
どんな勤務先がよいのか、給与面から見てみましょう。

国税庁のデータでは、勤務先の事業規模別の平均給与額がわかります。
この調査によれば、あまり大きなところより、事業所の人数が5~30人程度の、比較的小さなところがよさそうです。

●事業所規模別平均給与額(万円)

国税庁「民間給与実態統計調査」(2021年分)より筆者作成

中小企業はなにかと融通がきくのかもしれません。せっかく働くのなら、給与は多いほうがモチベーションもあがりそうです。

次に、業種別の平均給与額も見てみましょう。

●業種別平均給与額(万円)

国税庁「民間給与実態統計調査」(2021年分)より筆者作成

平均給与が多いトップ3の業種は、金融業・保険業、電気・ガス・熱供給・水道業、情報通信業でした。
金融関連は安定して高収入業種ですが、営業職に向いている人にとってはやりがいのある仕事でしょう。
電気・ガス・熱供給・水道業は、暮らしのインフラをささえる業種。エネルギー事業は環境問題にもかかわります。今後はさまざまな変化が期待できる仕事かもしれません。ただし、この調査のデータはサンプルが非常に少ないため、金額が高く出ている点には留意する必要があります。
情報通信業もまた、今後の成長が期待できます。シニア世代は苦手意識のある人が多い印象ですが、だからこそ活躍の場があります。

もっとも、定年後の職業は、それまでに培ったスキルや人脈を生かせる業種を選ぶとスムーズです。第2のキャリアスタートのためにも、定年までには経験や適性などもあわせて検討しておくとよいのではないでしょうか。

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年収が高いと税や社会保険料も高くなる

仕事の収入は、やりがいにも大きく影響します。
収入は多い方がうれしいものですが、その分税金や社会保険料が高くなります。
また、高齢になれば増える医療費の自己負担割合にも影響します。70歳未満では年収にかかわらず3割負担ですが、70歳以上でも年収が約370万円以上になると現役並み所得者として、3割負担が継続します。

また、年収は高額療養費制度にも関わります。
高額療養費制度によって、3割負担の医療費が一世帯で上限額以上になると、超えた分が払い戻される、またははじめから払わなくてよくなります。ただし、上限額は収入によって決まります。
70歳以上で、年収が156万~約370万円であれば、1カ月の医療費の上限額は5万7600円。外来受診であればひとり1万8000円、年間で14万4000円が上限です。

しかし、年収が約370万円以上になると、上限額は8万100円+(医療費総額-26万7000円×1%になります。
さらに、外来受診の上限額の設定はありません。

まとめ

65~69歳の平均年収は338.2万円、70歳以上では300.2万円。定年を迎えても、引き続き働いて年収300万円以上しっかり稼いでいる人はたくさんいることを紹介しました。
仕事選びは、仕事の内容や年収の金額だけではなく、自分や家族の健康状態なども考慮に入れたほうがよさそうです。また、公的年金の受取りや資産収入などもあります。それらをトータルで考えて選ぶようにしましょう。

タケイ 啓子 ファイナンシャルプランナー(AFP)

36歳で離婚し、シングルマザーに。大手生命保険会社に就職をしたが、その後、保険の総合代理店に転職。保険の電話相談業務に従事。43歳の時に乳がんを告知される。治療を経て、現在は治療とお金の相談パートナーとして、相談、執筆業務を中心に活動中。FP Cafe登録パートナー

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