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23/05/28

家計・ライフ

高年収ほど「高額療養費制度」の恩恵がない?年収300万、400万、800万、1200万円で比べてみた

高年収ほど「高額療養費制度」の恩恵がない?年収300万、400万、800万、1200万円で比べてみた

医療費がたくさんかかったときの自己負担を軽減する制度に「高額療養費制度」があります。高額療養費制度は、医療費を抑えるのに役立つ制度ではあるのですが、実は高年収ほどその恩恵を受けられません。どういうことか、年収300万円、400万円、800万円、1200万円の場合の自己負担限度額を計算して紹介します。

高額療養費制度ってそもそも何?

高額療養費制度とは、被保険者や被扶養者の1か月あたり(1日から末日まで)の医療費の自己負担額が、一定の自己負担限度額を超えた場合に、超えた分が払い戻される制度です。自己負担限度額は、年齢(70歳未満か70歳以上か)や、所得の水準で異なります。

●高額療養費の自己負担限度額(70歳未満の場合)

(株)Money&You作成

また、高額療養費制度では過去12か月以内に3回以上自己負担限度額に達した場合は、4回目からは多数該当となり、自己負担限度額がさらに下がります。
医療費は原則3割負担ですが、治療の内容によっては多額の費用がかかったり、長期間の支払いが必要になったりします。高額療養費制度は、そうした医療費の負担を軽減してくれるというわけです。

年収300万円、400万円、800万円、1200万円の自己負担額はいくらになるのか

高額療養費制度の自己負担限度額は、高年収になると段階的に上昇するため、その恩恵を受けられなくなってしまいます。具体的に、自己負担額がいくらになるか、ここで計算してみましょう。なお、以下は70歳未満・自己負担3割の人が医療機関にかかった場合を想定しています。

年収300万円、400万円、800万円、1200万円の人の自己負担限度額の計算式は、次のようになります。

●年収300万円、400万円、800万円、1200万円の人の自己負担限度額の計算式

(株)Money&You作成

年収300万円の場合、自己負担限度額は特に計算なく、一律で5万7600円となっています。それに対して、年収400万円、800万円、1200万円の場合は、かかった医療費の総額を計算式に当てはめて計算します。

月の医療費が50万円だった場合、自己負担限度額は次のようになります。

●医療費が50万円だった場合の自己負担限度額

(株)Money&You作成

医療費が50万円のとき、窓口負担はその3割ですので、15万円です。年収300万円・400万円の場合は窓口負担が自己負担限度額より多いため、その差額が払い戻されます。といっても、年収が300万円ならば9万2400円戻ってくるのに対し、年収が400万円なら6万7570円と、2万5000円ほど少なくなってしまいます。
さらに、年収800万円・1200万円の場合は自己負担限度額より窓口負担が多いので、払い戻しはありません。

●医療費が100万円だった場合の自己負担限度額

(株)Money&You作成

医療費が100万円のとき、窓口負担は30万円です。年収300万円の場合は、窓口負担が30万円になっても自己負担限度額が一律で5万7600円ですので、差額がそのまま払い戻されます。
年収400万円、800万円、1200万円の場合、窓口負担が15万円から30万円に増えたことによって自己負担限度額が5000円増えています。医療費が30万円の場合、年収1200万円でも払い戻しを受けることができますが、年収1200万円と300万円では、自己負担限度額(=払い戻しの額)に19万6580円もの違いがあります。

●医療費が300万円だった場合の自己負担限度額

(株)Money&You作成

医療費が300万円だと、窓口負担は90万円です。年収300万円の場合は自己負担限度額が一律で5万7600円ですが、年収400万円、800万円、1200万円の場合は自己負担限度額が2万円増えています。さすがにこれほど医療費が高額になると、年収1200万円であっても相応の払い戻しを受けられるのですが、年収300万円とは実に20万円以上の差があることがわかります。

高年収になると、税金や社会保険料の負担も多くなることを考えると、なんだか不公平に感じられる方もいるのではないでしょうか。

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年収800万円を超えるならば医療保険を検討したほうがいい

高額療養費制度は、高額になった医療費を抑えることのできるありがたい制度ではあります。高額療養費制度があるから、医療保険は最低限でいい(加入する必要がない)といわれることもあります。しかし、高年収だとその恩恵を受けにくくなってしまいます。

特に、上の例で示した年収800万円(厳密には、年収約770万円)以上の方は、自己負担限度額が一気に上がってしまうため、いくら高年収といっても大きな痛手になってしまう可能性があります。

たとえば、傷病別の平均的な入院費用を見ると、胃がんや結腸がんといったがんの入院では1回で100万円程度、脳出血や大腿骨頸部の骨折では200万円以上かかっていることがわかります。

●傷病別の平均的な入院費用

公益社団法人全日本病院協会「医療費(重症度別)」(2022年10-12月分)をもとに(株)Money&You作成

自己負担額が3割で、高額療養費制度があるといっても、高年収の人ほど、高額療養費制度の恩恵が受けにくいのが実情です。この場合は、医療保険やがん保険などを検討したほうがいいでしょう。

年収が高くても低くても、病気になるリスクはそれほど変わらないのですから、高額療養費制度を自分が利用したらどうなるのかを確認して、リスクに備えることが大切だと考えます。

頼藤 太希 マネーコンサルタント

(株)Money&You代表取締役。中央大学商学部客員講師。慶應義塾大学経済学部卒業後、外資系生命保険会社にて資産運用リスク管理業務に従事。2015年に現会社を創業し現職へ。ニュースメディア「Mocha(モカ)」、YouTube「Money&YouTV」、Podcast「マネラジ。」、Voicy「1日5分でお金持ちラジオ」、書籍、講演などを通じて鮮度の高いお金の情報を日々発信している。『はじめての新NISA&iDeCo』(成美堂出版)、『定年後ずっと困らないお金の話』(大和書房)、『マンガと図解 はじめての資産運用』(宝島社)、など書籍90冊、累計150万部超。日本証券アナリスト協会検定会員。宅地建物取引士。ファイナンシャルプランナー(AFP)。日本アクチュアリー会研究会員。twitter→@yorifujitaiki

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