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23/02/07

家計・ライフ

医師の平均年収はいくら?高給取りは今後も続くのか

医師の平均年収はいくら?高給取りは今後も続くのか

医師というと、お金持ち、高給取りというイメージが根強くありますが、それは本当なのでしょうか。人の命や健康を預かる大切な仕事ですし、高度な知識が求められる仕事でもありますが、やはり年収も気になるもの。医師の年収は一体、どのくらいなのでしょうか? また、医師は今後も高給取りであり続けるのでしょうか?
今回は、勤務医と開業医の違いや役職による年収の違いなどについて、徹底調査しました。

勤務医と開業医の違いとは

勤務医とは、病院やクリニックの従業員として働く医師のこと、開業医とは自らクリニックを経営する医師のことです。勤務医と開業医では、働き方も給与も大きく違います。

勤務医の最大のメリットは何といっても安定感です。サラリーマンと同様、雇用されている立場なので、最低限の給与は保障されているうえ、病気やケガで働けなくなってしまった場合にも保障を受けることができます。経営や宣伝に時間を割く必要がないので、医療行為や研究に没頭できるという点もメリットです。デメリットとしては開業医に比べて収入が低く、一定の給与から大きく跳ね上がることは望めないこと、夜勤や宿直など不規則な勤務によってライフワークバランスを保つことが難しいことなどがあげられます。

一方、開業医は自分の裁量で仕事ができるので、比較的自由がある上、自ら経営しているため勤務医より一般的に高給。地域貢献できるなどのメリットがあります。一方デメリットとしては、資金繰りや経営、トラブルの対処なども自力で対応する必要があること、体調不良でも代診が頼めないことなどが挙げられます。経営トラブルや資金繰りなどに失敗すると、一気に赤字というケースもあり得ます。

医師の年収はどれくらい?

今回は、厚生労働省「医療経済実態調査」のデータを基に、医師の年収をご紹介します。国立病院、公立病院の違い、また、病院長の年収にも注目してみましょう。

●勤務医の年収

厚生労働省「第23回医療経済実態調査」より筆者作成

ひとくちに勤務医といっても、病院の開設者は国立・公立・医療法人などさまざまです。
ベッド数が20床以上の医療機関を一般病院、19床以下の医療機関を一般診療所といいます。

平均年収では、一般病院の公立病院が約1470万円、医療法人が約1500万円と高くなっています。一方、病床数の少ない一般診療所は1200万円から1250万円程度。とはいえ、1000万円をゆうに超え、高給と言えるでしょう。

●病院長(院長)の年収

厚生労働省「第23回医療経済実態調査」より筆者作成

医療法人の病院長(院長)ともなると、年収は実に3000万円以上と高給となります。その他の形態でも、2000万円前後となっていることがわかります。
これに対して、開業医の平均年収は約2970万円です。開業医は、医療機関のトップと同じくらいの年収が望めることになります。

ただし、開業医はもちろん、勤務医も、大手企業のサラリーマンと違い、退職金が少ないという特徴があります。
退職金は、大学病院に定年まで勤務する場合には支給されますが、医局を通じて転々と渡り歩いたり、医局を抜けたりした場合にはほとんど出ないことが一般的です。

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医師の年収は下がっている?

このように高給の医師ですが、医師の年収は少しずつ年収が下がっていると言われています。実際に厚生労働省のデータによると、勤務医全体の平均給与は、2016年度の約1271万円から年々下がり、2019年度では約1060万円と4年で約200万円も減少しています。

●勤務医の平均給与の推移(2016年から2019年まで)

中央社会保険医療協議会「第21回・第22回医療経済実態調査」を基に著者作成

年収低下の原因としては、医療費削減の影響が考えられます。
少子高齢化の影響を受け、国民の医療費の負担を軽減するために、医療費適正化の取り組みがおこなわれています。その結果、診療報酬が下がり、医療機関の収益が下がり、それを受け、医師の給与も減額されてしまうのです。

2025年には団塊の世代が後期高齢者(75歳以上)となり、今後もその傾向は続く、または強まると考えられます。この年収低下に伴い、医師のアルバイトや時間外労働が予想され、彼らの就業環境はより厳しいものになるのではないかと懸念されます。

医師になるには、いくらかかるの?

一般的には高収入の部類に入る医師ですが、医師になるまでにもそれなりのコストがかかります。医師になるために入学する医学部は6年間の学費がかかる上、私大医学部の場合はかなり高額です。国公立大学の場合には約350万円ですが、私大の場合は安くても2000万円弱、高ければ4700万円ほどかかる大学もあります。

それに加え、医師を目指すための予備校代、勉学にかかる教科書や専門書代、地元から離れる場合には一人暮らしの費用などもかかるので、大きなお金がかかります。加えて、勉強もたくさんしなくては当然医師にはなれません。年収が高いのは、そうした事情も加味したものといえるでしょう。

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まとめ

医師の年収は、一般診療所の勤務医でも約1200万円と、やはり高い水準と言えます。ただし、退職金が少ないことや、医療費削減の影響を受け、年収が減少傾向にあることなど、厳しい面もあります。さらにその傾向は、2025年に団塊の世代が高齢者となることで、一層強まる可能性が懸念されます。

医療費の削減は私たち国民にとってはメリットのように思えますが、質のよい医療を受け続けるためには、医師への十分な待遇も必要です。その適正なバランスが今後の課題になりそうです。

城山ちょこ ライター

東京海上日動火災保険出身。慶応大学院SDM研究科修了。
2013年よりライターの道へ。執筆ジャンルは金融(保険)、働き方、子育て、結婚など女性のライフスタイル全般。2児の子育てと仕事の両立に日々奮闘中。丁寧でわかりやすい記事をモットーとしています!

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