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21/08/06

相続・税金・年金

年金繰下げ受給で医療費が2倍・3倍になるのは本当か

老後生活を経済的に安定させたいと考えたとき、繰下げ受給を選択すれば老齢年金を増額することができます。確かに、手元に入る年金が増えるのはうれしいことです。けれども、繰下げ受給で年金収入を増やすことで、75歳を過ぎてからの医療費負担が増えるかもしれないことをご存じですか?今回は、後期高齢者医療制度が法改正によって、一部内容が変更になることと、その影響について解説します。

後期高齢者医療制度の自己負担割合が変わる!?

国民皆保険の日本では、75歳になると健康保険が「後期高齢者医療制度」に切り替わります。後期高齢者が病院へかかった際に窓口で支払う医療費の自己負担割合は、一般の人は1割負担、現役並みの所得がある人は3割負担となっています。

しかし、2022年度後半からは、一部の人は自己負担割合が2割にアップすることになりました。その背景は、団塊世代の高齢化にあります。

2022年頃から団塊世代が75歳以上となり、後期高齢者の人口が増えていきます。後期高齢者医療制度の財源は、公費から約5割、高齢者の保険料から約1割、残りの約4割は現役世代が納める健康保険料から賄われる後期高齢者支援金が使われています。団塊世代が後期高齢者になることによって、現役世代の負担は増えるばかりです。とはいえ、現役世代の負担にも限界があります。そこで政府は、後期高齢者の1割負担となっている人の一部に対し、自己負担割合を2割に引き上げることを検討し始めました。そして2021年6月4日、「医療制度改革関連法」が参議院本会議で可決、成立。75歳以上の後期高齢者のうち、一定の所得以上の人は自己負担割合が2割に引き上げられることが正式に決定したのです。

新たな後期高齢者医療制度の自己負担割合は以下のようになります。

●75歳以上後期高齢者医療制度の自己負担割合(2022年の改正後)

上記の自己負担割合が導入されるタイミングは、2022年10月~2023年3月までの間で政令により決定する予定です。

新設された自己負担割合になる人は、全国で約370万人になるといわれています。ただ、いきなり2割負担になるわけではありません。変更後の自己負担割合が導入されてから3年間は経過措置として、外来における窓口負担の増額分が最大3千円(月額)に抑えられる見込みです。

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繰下げ受給で年金受給額を増やすと医療費負担が増えるかも

65歳から受給できる老齢年金を増額するために、繰下げ受給を選択したい人もいるでしょう。ただし、留意しておきたいのは、年金収入がアップすると社会保険料や医療費の自己負担割合が増えてしまう場合がある点です。今回ご紹介している後期高齢者医療制度の自己負担割合の変更で、これまでなら1割負担で済んでいた人でも、2割負担にアップすることもあります。

たとえば、75歳の単身者Aさんの場合で見ていきます。

Aさんは、老齢基礎年金として年額78万900円(2021年4月からの満額)、老齢厚生年金として年額120万円を受給するとしましょう(その他に受け取れる所得はないものとします)。

Aさんが受給できる年金額の合計は、年額198万900円。年収200万円未満になるので、後期高齢者医療制度での自己負担割合は「1割」です。

しかし、Aさんは年金額を増やしたいからと、老齢基礎年金のみ繰下げ請求して、受給開始時期を70歳まで遅らせていたとしましょう。70歳まで繰り下げると、増額率は42%になります。ですから、70歳以降の老齢基礎年金は、78万900円×1.42=110万8878円となります。

この場合、Aさんが受給できる年金額の合計は、年額230万8878円となり、年収200万円を超えてしまいます。こうなると、75歳からの自己負担割合は「2割」にアップします。

今回、Aさんの試算では2割にアップしましたが、Aさんが公的年金以外にもiDeCoや個人年金保険など、他にも受け取れる年金があり、年収が383万円以上になる場合は、自己負担割合が3割になることもあります。つまり、医療費が2倍・3倍になってしまう可能性があるのです。年金の繰下げ受給や私的年金などで収入が増えた場合、医療費がアップするかもしれないことには留意しておきたいですね。

年金受給額は事前に試算して調整しておこう

ここまで見てきたように、年金の繰下げ受給で年金収入が増えると医療費負担が増える場合がありますが、そのために「年金収入は増やさないほうがいいのでは?」と考えるのは短絡的です。

70歳からの医療費負担の割合を知っていますか?現役世代は3割負担ですが、70歳からの自己負担割合は以下のようになります。

●70歳からの自己負担割合

・一般、低所得者(単身者383万円未満・2人以上世帯520万円未満):2割
・現役並みの所得者(単身者383万円以上・2人以上世帯520万円以上):3割

一般に該当する人は、医療費の自己負担割合は2割です。もし75歳から2割負担になったとしても、これまでと負担割合は変わらないことになります。多くの人は、老後の生活を安定させることを目的に、繰下げ受給などの制度を利用します。それなのに、医療費が増えるのが困るからと、わざわざ年金収入を増やす道を放棄して、ギリギリの生活を選択するのは、希望に反することになるのではないでしょうか。

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後期高齢者医療制度での自己負担割合が2割になることは、許容範囲としてとらえてはいかがでしょうか。医療費には高額療養費制度もあります。所得に応じて自己負担限度額が決められているので、医療費が高額になったときは活用できます。

もっとも、3割負担の「現役並みの所得者」にならないような調整はしたほうがいいでしょう。繰下げ受給をするときは、年金収入の見込み額をチェックしたうえで、受給開始時期を決めるとよいでしょう。
さらに、iDeCoや個人年金保険など、その他の収入も見込まれる場合は、それらの受取方法もあわせて、医療費や納付する社会保険料への影響が少なくて済む方法を検討されることをおすすめします。

前佛 朋子 ファイナンシャル・プランナー(CFP®)・1級ファイナンシャル・プランニング技能士

2006年よりライターとして活動。節約関連のメルマガ執筆を担当した際、お金の使い方を整える大切さに気付き、ファイナンシャル・プランナーとなる。マネー関連記事を執筆するかたわら、不安を安心に変えるサポートを行うため、家計見直し、お金の整理、ライフプラン、遠距離介護などの相談を受けている。

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