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21/07/27

相続・税金・年金

国民年金保険料の2年前納、デメリットもあるって本当か

フリーランスで働く人や、自営業者、学生などが加入する国民年金。保険料は、毎月納める方法だけではなく、前納することもできます。前納すると、保険料が割引になっておトクなのですが、気を付けておかなければならないことも。今回は、国民年金保険料の2年前納のメリットと注意点についてお伝えします。

国民年金保険料の基本的な仕組み

20歳になると、すべての日本国内に住んでいる人は国民年金に加入します。
加入すると、定められた保険料を納めることになります。国民年金保険料は、1万6610円(2021年度)。ただし学生や収入が少ない場合は、保険料の免除や猶予を申請することができます。

公的年金の保障には、老齢年金、障害年金、遺族年金の3つがあります。
年金を受け取るには、保険料の納付条件もありますので、しっかりと納めておくことが大切です。とはいえ、できるだけおトクにしたいですよね。

そこで活用したいのが、国民年金保険料の前納です。国民年金保険料は、6か月分、1年分、2年分を前払いすることができるのです。

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前納の3つのメリット

国民年金保険料を前納するメリットには、以下のようなものがあります。

●国民年金保険料前納のメリット1:保険料が割引される

国民年金保険料は、月額1万6610円(2021年度)です。12か月払ったら19万9320円になります。
これを、6か月分前納すれば1回の納付は9万8850円で810円割引になり、1年間で合計すると、19万7700納付して1620円の割引です。
1年分の前納では、納付額は19万5780円ですから、3540円おトクになります。

・毎月納付と6か月分前納・1年分前納の保険料比較(円)

さらにおトクなのが、2年前納です。
毎月納付だと、2021年分が19万9320円、2022年分が19万9080円で、合計39万8400円になります。それに対して、2年分の保険料を前納すると、保険料は38万3810円になり、毎月納付との差額は1万4590円に。割引額は、年率4%で複利計算された金額です。この年率はかなり魅力的ではないでしょうか。

・毎月納付と2年分前納の保険料比較(円)

●国民年金保険料前納のメリット2:納付忘れを防止できる

国民年金の保険料を前納すると、その期間の納付忘れを防止できることも見逃せないメリットでしょう。
年金には、老齢の他にも、障害、遺族の保障がありますが、保障を受けるには保険料をしっかり払っていることも条件のひとつです。
いざという時に困らないためにも、前納を活用するといいですね。

●国民年金保険料前納のメリット3:納付した年に2年分の社会保険料控除が受けられる

納めた保険料は全額所得控除になり、その分所得税と住民税が安くなります。
2年分前納した年には、2年分の保険料を所得控除することが可能です。税率は、課税所得の金額によって変わりますので、2年分控除することで税率が小さく抑えられる場合などはおトクになります。

前納するなら、気を付けたい注意点

一方、前納する際に気を付けておくべきこともあります。

●注意すること1:収入が2年目に上がったら損の可能性あり

納付した保険料が、納付した年の所得控除になるのは先ほどお伝えしたとおりですが、1年目より2年目の収入が上がったら、損になる可能性があります。
2年目には、所得控除できる年金保険料分がなくなってしまうので、課税所得が多くなる場合があるからです。

各年分の保険料に相当する額を1年ごとにわけて所得控除にすることもできるので、翌年に収入が多くなりそうなら、1年目には1年分の保険料相当額の控除にしておくといいでしょう。

●注意すること2:事前申し込みが必要

年金保険料の前納は、割引率が大きくておトクですが、2年前納には事前申し込みが必要です。事前申し込みの方法は、支払いの方法によって異なります。

・口座振替
「国民年金保険料口座振替納付(変更)申出書兼国民年金保険料口座振替依頼書」に必要事項を記入の上、金融機関か年金事務所に提出します。
申込み期限は毎年2月末です。

・クレジットカード
「国民年金保険料クレジットカード納付(変更)申出書」に必要事項を記入の上、年金事務所に提出します。申込み期限は毎年2月末です。

・現金
現金による2年前納は、毎年2月1日から年金事務所で受け付けています。
「国民年金保険料2年前納納付書発行事前受付申出書(兼納付書作成処理票)」に必要事項を記入して3月末までに提出します。
4月になっても2年前納の申出をすることは可能ですが、支払い期限は4月末です。

必要書類は、日本年金機構のホームページからダウンロードができます。

●注意すること3:決まった期間ごとの前納になる

2年分前納するにはまとまったお金が必要になりますので、「ボーナス月に払いたい」、といった希望があるかもしれません。
しかし、国民年金保険料の前納は、決まった期間ごとになります。
2年分前納は、4月分から翌々年の3月分までの2年分です。前納の期間を自由に決められるわけではないことに注意が必要です。

ちなみに、6か月分前納は4月~9月分と10月~翌年3月分まで、1年分前納は4月~翌年3月分までです。

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まとめ

国民年金保険料を前納すると、割引が受けられる上、納付忘れを防いだり、2年分の社会保険料控除を一度に受けられたりするメリットがあります。ただし、翌年の収入が上がりそうな場合、またはもう上がることがわかっている場合は、所得控除のメリットは限定的になってしまうかもしれません。どちらがいいかは、人により異なりますので、よりお得になる納付方法を選んでください。

タケイ 啓子 ファイナンシャルプランナー(AFP)

36歳で離婚し、シングルマザーに。大手生命保険会社に就職をしたが、その後、保険の総合代理店に転職。保険の電話相談業務に従事。43歳の時に乳がんを告知される。治療を経て、現在は治療とお金の相談パートナーとして、相談、執筆業務を中心に活動中。FP Cafe登録パートナー

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