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25/09/16

家計・ライフ

給与アップしたのに「手取りが減る」4つの原因

給与アップしたのに「手取りが減る」4つの原因

昇給は働く人にとって大きな喜びのひとつです。しかし実際に給与明細を確認すると、思ったより手取りが増えていないと感じたことがある人もいるはずです。これは決して錯覚ではなく、社会保険料や税金の仕組み、そして家族構成の変化といった要因が複雑に絡み合っているためです。今回は給与アップにもかかわらず手取りが減る理由を具体的なシミュレーションを交えて整理してみます。

手取りが減る原因①:昇給を直撃する確実な負担増「社会保険料」

会社員の給与明細で大きな割合を占めるのが社会保険料です。健康保険料・厚生年金保険料・雇用保険料などが給与から天引きされています。給与水準によって標準報酬月額が決まり、その等級に応じて保険料が算出されます。東京都の協会けんぽの例では、本人負担でおよそ給与の15%前後が社会保険料にあたります。

仮に月給が1万円増えた場合、そのうちの約15%、1,500円は社会保険料として差し引かれます。つまり、手取りとして残るのは8,500円程度です。

さらに注意が必要なのは、社会保険料は毎年の定時決定によって見直されることです。4〜6月の給与を基準に標準報酬月額を決定し、その結果が9月分から反映されます。標準報酬月額が上がると、それに合わせて社会保険料も上がります。昇給した年の秋以降に「手取りが減った」「思ったより増えていない」と感じるのは、この仕組みが背景にあります。

また、ボーナスからも社会保険料が天引きされます。たとえばボーナスが10万円増えても、約15,000円は社会保険料となり、手取りの増加は85,000円にとどまります。ボーナスが増えたのに思ったほど自由に使えないと感じるのは、この制度によるものです。

手取りが減る原因②:昇給に合わせて増える「税金」

昇給による影響は社会保険料だけではありません。税金もまた、手取りを削る大きな要因です。特に住民税は前年の所得をもとに計算されるため、昇給してもすぐには反映されず、翌年6月から増額されます。

たとえば、年収500万円の人が月1万円(年間12万円)昇給して給与が増えた場合(控除は給与所得控除・基礎控除・社会保険料控除(15%)のみ考慮)、所得税・住民税ともに年間約8000円増える計算。合わせて年約1万6000円の税金が増えるのです。

さらに、所得税の税率は課税所得が一定の境目を超えると税率が10%から20%、20%から23%…と上がっていきます。これにより、昇給したわりに手取りが増えないということが起こります。

手取りが減る原因③:控除がなくなる家庭環境の変化

税金の増加は制度上の仕組みだけではなく、家庭環境の変化によっても起こります。特に注意すべきは扶養控除と配偶者控除です。

●子どもが扶養から外れた場合

扶養控除は、所得税で38万円、住民税で33万円の所得控除が受けられます。さらに、大学生の年代(19歳〜22歳)は特定扶養親族といって所得税63万円、住民税45万円の所得控除が受けられます。しかし、子どもが大学を卒業するなどして扶養から外れると、
所得税(10%想定):63,000円増
住民税(10%想定):45,000円増
合計で年間108,000円、月約9,000円の負担増になります。

子どもの大学卒業や就職で扶養から外れると、教育費が減る一方でなぜか家計が楽にならないと感じるのは、扶養控除がなくなるための税金負担増が理由です。

●配偶者控除が外れた場合

配偶者控除は、所得税で38万円、住民税で33万円、合計71万円の所得控除です。条件は2025年から「配偶者の合計所得58万円以下(給与収入123万円以下)」に緩和されましたが、それを超えると控除が受けられなくなります。配偶者の所得が58万円を超えた場合には「配偶者特別控除」が段階的に適用されますが、それも所得133万円を超えるとゼロになります。共働き世帯では配偶者控除・配偶者特別控除の有無が手取りを大きく左右します。

手取りが減る要因④:40歳からの介護保険料

ライフイベントとして避けられないのが40歳からの介護保険料です。たとえば協会けんぽの場合、2025年度の介護保険料率は1.59%です。標準報酬月額30万円の人なら、毎月2,385円が追加で引かれることになり、年間で28,620円も介護保険料の負担が増えます。
子どもの大学進学や住宅ローン返済と重なる時期でもあり、手取りの減少は精神的にも負担になるかもしれません。

昇給分を資産形成に振り向けよう

昇給は喜ばしい出来事ですが、その一方で社会保険料や税金、家族のライフイベントによって手取りが思ったほど増えないこともあります。だからこそ昇給のときには、実際にどれだけ手取りが増えるのかを給与明細をもとに計算し、翌年に上がる住民税を見込んで家計を設計しておくことが欠かせません。さらに、配偶者や子どもの控除が外れるタイミングや、40歳から加わる介護保険料の負担も前もって把握しておく必要があります。

そのうえで、増えた分をそのまま生活費に回すのではなく、将来に備えて資産形成に振り向けることが重要です。特にiDeCoのような税制優遇制度を活用すれば、所得控除によって税負担を軽減しながら老後資金を積み立てることができます。昇給の効果を「今」だけでなく「未来」にもつなげるためには、こうした制度を意識的に取り入れることが、家計を安定させる一番の近道です。昇給が一時的な喜びで終わるか、それとも長期的な安心につながるかは、数字を把握して準備を進めるかどうかで決まります。制度を理解し、税制優遇を味方につけて、手取りを守りながら将来の資産を増やしていきましょう。

黒須 かおり ファイナンシャルプランナー(CFP)

女性を中心に、一生涯を見守るFPとしてmoney&キャリアのコンサルティングを行う。幸せになるためのお金の知識など幅広い資金計画とライフプランのアドバイスを手がけている。金融機関にて資産形成のアドバイザーとしても活動中。FP Cafe登録パートナー

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