24/09/04
定年後の再雇用・再就職は「女性」のほうが格差少ないのは本当か
女性の平均寿命は87.14歳、男性は81.09歳と、年々長生きになっています(厚生労働省「簡易生命表(2023年)」。
定年後が長くなっている昨今、再雇用・再就職で働く人も増えていますが、収入の金額は現役時代より少なくなることがほとんどです。
とはいえ、女性は男性にくらべると、それほど収入ダウンにはならない傾向です。
今回は、定年後の再雇用・再就職について考えていきます。
定年後の働き方の傾向
会社員にとって、定年退職は大きなターニングポイントです。
厚生労働省の調べによれば、定年制を定めている企業は94.4%。ほとんどの企業が定年制をとっています。そして、定年を60歳とする企業は72.3%、65歳とする企業は21.1%です。(「就労条件総合調査結果の概況」(2022年)
希望すれば、原則として65歳まで継続して働けますが、定年は60歳の企業が大多数であることがわかります。
平均寿命から計算すると、定年後の年数は女性が約27年、男性は約21年。決して短くはない期間、働けるうちは働いて収入を確保したいと思うのではないでしょうか。
総務省の調べによれば、65歳~69歳でも男性の61.6%、女性の43.1%が働いています。さらに、70歳~74歳でも男性の4割以上、女性の4人に1人は働いています。
<シニアの就業率(2023年)>
総務省「労働力調査」(2023年)より筆者作成
再雇用・再就職は女性のほうが格差は少ない
さて、そんな再雇用・再就職の収入は、現役時代とくらべてどの程度のダウンになるのでしょうか。
公益社団法人21世紀職業財団の調査によると、現役の時に管理/総合職だった男性は、年収が30~50%未満になった人が34.4%と最も多いのに比べて、管理/総合職だった女性は50~70%未満が43.9%、一般職だった女性は50~70%未満が29.0%、70~90%未満が28.8%でした。
<定年前後の年収の変化>
公益社団法人21世紀職業財団「女性正社員50代・60代におけるキャリアと働き方に関する調査(2019年度)―男女比較の観点から―」より筆者作成
定年を境に、男性がガクッと収入が落ちるのにくらべると、女性は比較的その変化はゆるやかで、スムーズに定年後の暮らしにシフトしている様子がうかがえます。
社会的なポジションにこだわることもなく、モチベーションを保って働き続けられることでしょう。
ただし、それは定年前の男女の収入や役職にそもそもの差があったことが前提になっていることには、忘れてはならないことです。
現役時代の収入が少なく、貯蓄や年金が老後の暮らしを支えるには十分ではない場合、定年後の働き方がその後の生活を左右すると言っても過言ではありません。
働き方はリスキリングも視野に入れて
夫婦世帯の標準的な老齢厚生年金の金額は、月額で23万483円です(2024年度)。
しかしこの金額は、夫の基礎年金と厚生年金、そして妻の基礎年金を足した金額です。
夫に先立たれた場合には、経済的に厳しくなる可能性も。
もともとシングルの女性もいますから、女性はいずれ「おひとりさま」になると考えて差し支えありません。
老後の生活設計は、シビアに考えた方が安全です。
現役の時に管理職でバリバリ働いていても、定年退職後にも同様の仕事につけるとは限りません。
また、一般職の事務で働いていた人が同様の仕事につくには、デジタル化など新しい技術にも対応する必要があるでしょう。
定年後の働き方は、定年前から早めに準備しておきたいものです。
リスキングによるスキルのアップデートにより、収入のアップ、確保をはかれます。
働くには健康が大切ですから、身体のメンテナンスもしていきたいですね。
また、資産運用をしていくことで、収入源を増やすことができます。
定年後の暮らしを素敵なセカンドライフにするには、お金の心配は少ないほうがいいでしょう。
今からできることを少しずつ、はじめてみてはいかがでしょうか。
【関連記事もチェック】
・定年後に貧乏転落…注意すべき5つの支出
・60歳以降にもらえる3つの「高年齢給付金」 対象者は?金額はいくら?
・年金収入のみの場合、所得税・住民税がかからないのはいくらまで?
・定年後「給与減」でも働き続けた方がいい5つの理由
・定年後に払い続けると貧乏を招く5つの支出
タケイ 啓子 ファイナンシャルプランナー(AFP)
36歳で離婚し、シングルマザーに。大手生命保険会社に就職をしたが、その後、保険の総合代理店に転職。保険の電話相談業務に従事。43歳の時に乳がんを告知される。治療を経て、現在は治療とお金の相談パートナーとして、相談、執筆業務を中心に活動中。FP Cafe登録パートナー
この記事が気に入ったら
いいね!しよう